PCケースについて語る。【第三話】CES2023とCOMPUTEX TAIPEI 2023からみる近年のトレンド
このnoteはPCケースについて語る。の第三話になります。
第三話では海外で行われている展示会であるCESとCOMPUTEX TAIPEIで今年発表されたPCケースのトレンドをご紹介します。
はじめに
これから紹介する内容はここ1,2年でいろんなメーカーが発売するようになった、コンセプトとして発表された内容がメインになる。
5インチベイがない!だとか側面がガラスになっている!とかは最近ではなくもう当たり前になってきている内容だ。
とはいってもまだまだ5インチベイ付きのケースやガラスを一切使用していない新作ケースも発売されているので死んだわけではない。
なんか最近こういうケース増えてきたなーという個人の感覚で書いているので大目に見てほしい。
CESとCOMPUTEX TAIPEIって何?
CESはコンシューマー・エレクトロニクス・ショーの略で世界最大級の電子機器の見本市である。
毎年1月ごろにアメリカのラスベガスで開催され、誰でもが聞いたことのあるようなスマートフォンメーカーや液晶ディスプレイメーカー、などなど多くの企業が参加しています。
もちろんPCパーツメーカーも例外でありません。
COMPUTEX TAIPEIは台北国際コンピュータ見本市のことでコンピューター関連がメインの見本市です。
その名の通り毎年5月から6月にかけて台湾で開催されています。半導体メーカーであるTSMCやマザーボードでおなじみのASUSなど数多くのPCパーツメーカーの本社が台湾にあるのも、この土地で開催されている理由の一つ。
2023年もこの2つのイベントが開催され、各社から様々な新製品が発表された。
今回はPCケースにできるだけ標準を合わせて紹介していこうと思う。
【トレンド①】非RGB化
ゲーミングPCと聞くとレインボーに光り輝くPCを想像する方は多いと思うが最近はそうでもない。
光っていても単色か2,3色でまとめ、シンプルかつおしゃれな感じでPCを組む人が増えている。
その流れを作った要因の一つがNZXTのケースであると私は思っている。
昔はかなり攻めたデザインのPCを出していたNZXTだが最近はシンプルなケースが多い。
色も白と黒がメインで落ち着いていてすっきりとしたケースが多く、光モノのPCパーツを使用していても大体は白や紫色に光っていることが多い。
NZXTのケースで組むとみんな同じ顔になる(=個性がない)と揶揄されることもあったり。
そういった流れもあるのか見本市で発表されたPCパーツもRGBに光らないものが多かった。
特にケースファンは躊躇だ。光るPCパーツの代表格であるケースファンも最近は性能重視。あえて光らせないという製品も増えている。
【トレンド②】ピラーレス化
デュアルチャンバー式のケースが流行りだしてからそれなりの年月が経ったような気がするが、まだまだ新作が出続けるということはそれだけ市場でも人気があるということ。
デュアルチャンバー式を流行らせたのはLIANLIのO11Dであるが、その前からデュアルチャンバー式のケースは発売されていた。LIANLIは火付け役といってもいいだろう。
この手のケースの特徴はケースのフロント面とサイド面がガラスになっており、PCケース内がよく見える構造になっていること。
ただしガラスとガラスの角には柱が存在している。これをピラーと言ったりする。
ピラーが存在する一番の理由は強度の問題だろう。しかし、このピラーをなくせばさらに見栄えが良くなる。実際にO11Dが流行りだしたころから中華系のPCケースメーカーからピラーがないケースは発売されていた。
ところがここ最近になって大手PCケースメーカーがこぞってデュアルチャンバー式のピラーを撤廃したケースを出してきた。
強度の問題は解決できたということだろうか。
PCのショールーム化はまだまだ続きそうである。
【トレンド③】省配線化
自作PCを組むうえで一番個性が出るのは配線だと個人的には思っている。
綺麗にする人もいれば、ぐちゃぐちゃっとしたままの人もいる。
PCパーツが増えればそれだけ配線の用も増える。光らせたりUSBから制御できるようなものだとさらに増える。スパゲティ状態だ!
ファンとファンを数珠つなぎのように配線するデイジーチェーンタイプのケースファンは昔から発売されていたが、ここ最近はそのケーブルすらない。
ファンとファンを本体ごと直接つなげて、最終的に1本のケーブルだけにすることができるケースファンが各社からどどっと発表、発売された。
CORSAIRはケースファンのみならず自社のCPUクーラーや本格水冷用のポンプやGPUブロックなどをすべてデイジーチェーンでつなぐことができる製品を発表した。
Cooler Masterは最初からPCケースに24ピンなどのコネクターが付属したコンセプトモデルを発表した。
専用のケーブルも付属し、スマートかつ美しく内部の配線を行うことができる。
とにかくケーブルのマネジメント問題はメーカーとしても解決したいと考えているようだ。
【トレンド④】組み立て式PCケース
PCケースは本体サイズ以上に大きい段ボール箱に入っていることがほとんどだが、今後そのイメージも変わるかもしれない。
同時期にINWINとCooler Masterから組み立て式のPCケースが発表された。1社ではなく2社から似たようなコンセプトが発表されたということは今後、他車メーカーが続く可能性もある。
海外サイトではピザの箱と表現されていることが多いように薄い段ボールの箱に入っているのがPCケースだ。
組立はユーザーの方で行うことになるし手間はかかる。がもちろんバラバラの状態でメリットがあるからこうやって発表している。
輸送のコストが大きく下がる。
お店に並べたり、倉庫で保管しする際の面積を減らすことができる。
不要になったときにバラバラにして捨てやすい。
PCケースへのカスタマイズ(塗装などのMOD需要)がしやすくなる。
輸送コストが下がるということはそれだけケースの価格も安くなるということ。組立を面倒だととらえるかプラモデルみたいで楽しいと感じるかは人それぞれだが、MODPCなどを作るときに弄りやすいというのもコアなユーザーからするとうれしい要素だ。
【トレンド⑤】液晶という付加価値
簡易水冷型のCPUクーラーのヘッド部分に液晶が付くようになってからいろんなメーカーがこぞって出すようになった。
システムの温度だけでなくアニメーションを表示させることができる液晶は自作PCに個性を出すことができる。
PCのガワであるケースは液晶をつけやすいPCパーツだ。
前面に大きく配置したり、電源カバーに設置したり…
コストを下げてシステムの温度だけを表示させるようにしたモデルもある。
年々熱々になっていくCPUやGPUにメーカーやユーザーも温度への関心は高くなっているのだろう。
ついにはケースファンにも液晶が付くようになった。
『RGBに光らないPCパーツはない』なんて言われるくらいいろんなパーツが光ってきたが、『液晶のついていないPCパーツはない』なんて言われる時代が来るかもしれない。
【トレンド⑥】ITXの時代は終わり?今後増えていくm-ATX用ケース
マザーボードには大きく分けて3種類のサイズが存在するが、安く済ませたい人はATX、小さいPCを作りたい人にはITXを選ぶ人が多い。
中間であるm-ATXはあまり人気がなく、発売されている種類も少ない。
PCケースも例外ではなく、m-ATX用というのは非常に種類が少ない。
しかし最近、そんなm-ATXに光が当たろうとしている。その原因はGPUの巨大化だ。
ITXのケースはほとんどの場合、2スロまで対応していることが多い。
最近はGPUの巨大化によって3スロまで対応するケースも増えてきている。
しかし3スロを超えてくるとm-ATXのマザーボードとほぼ変わらないサイズになってくる。
ITXを使って小さくしたいのにGPUの巨大化によってm-AXTケースとさほど変わらないサイズになってきているのだ。
メモリが4スロあったり、ITXより安かったりとm-ATXのマザーボードにすることによるメリットはいくつかある。
ITXではなくm-ATXを選択することが今後もGPUの大型化が進むのであればどんどん増えていくと思う。需要があればマザーボードメーカーやPCケースメーカーも種類を増やしてくれるだろう。