隣の人、睨んでないです
ある朝のこと。
次の予定までの約1時間、カフェで仕事をしていました。
隣に、お母さん、小学低学年の男の子、保育園または幼稚園に通うくらいの女の子が座りました。
お母さんはノートパソコンを広げてお仕事中。
子どもたちは自由にわいわいしています。
かなりにぎやかではありましたが、もともと、そこまで集中しなくてもできる作業をしていたので、さほど気にならず。
「うんうん、夏休み中だと、子どもたちを連れて行動しないといけないことも多いよね」
と、娘が小さかったころを思い出して、懐かしさを感じながらそのまま仕事をしていました。
もうしばらくすると、子どもたちがかなり騒ぎだし、そのあたりを走りまわり始めました。
お、おう…かなり騒がしいな。
周りにはわたし以外にも人がいたので、お母さん、そろそろ注意するのかな? と思いつつも、もうすぐ席を立つ予定だったこともあり、引き続き気にしてはいなかったのです。
そして、あえてそちらを見ないようにもしていました。
見たことがお母さんに気づかれるとなんだかめんどくさい気がする、という本能? が働いていたのかもしれません。
ですが…考え事をしていたときに、ふっと、その親子がいる右側へ目線を向けてしまいました。
でも、親子のことは見ていません。
その先の壁をふっと見ただけ。
それなのに。
次の瞬間、
お母さん
「ほら、隣の人がすごい目で睨んでるよ! 静かにしなさい」
え…?
隣の人=わたしのことですよね?
まったく睨んでいないし、そもそも見てもいないのですが!
と、心の中で叫んだけど、時すでに遅し。
お母さん
「あなたたちがうるさいから、隣の人に睨まれてたわよ。いい加減にしなさい」
さらに追い打ち。それも2回ともわたしに聞こえるように。
それはないんじゃないかなーー?
と思いました。
そもそもわたしは睨んでいない。
たとえ睨んだとしても、それを理由に静かにさせるのは違うと思うのです。
わたしが睨むとしたら、子どもたちではなく、静かにさせないお母さん、あなたですよ!
と、心の中で反論。
「隣の席で騒がしかった子どもたちを睨んだ」という濡れ衣を着せられたこと、それをわざわざ聞こえるように言われたことで、なんだかとても嫌な気持ちでカフェを出て、次の予定へ向かったのでした。
こんな気持ちになるなら、言えばよかった…
「隣の人、睨んでないです」
って。