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【100文字Diary】2025/02/12【+900文字】

電気屋をいつものようにウィンドウショッピングしていた。
帰ろうとしたとき、店の出入り口で店員さんに声をかけられた。人柄の良さそうな方にウォーターサーバーの宣伝と契約の説明をされた。
別に時間に余裕があったし、愛想も良い優しい方で第一印象がよかったし、契約するつもりは更々ないが一旦話聞いてみようと思って椅子に通してもらいずっと聞いていた。

割とこちら側に美味しい条件ばっかで、どうやって採算をとるのか、いつまでお客さんに美味しい条件でいるのか、その他条件等といったウォーターサーバー越しの貴社の経営方針や内情に気になることが多く、たくさん質問した。

(このお客様は契約してくれそうだな)
という心内語が彼からは聞こえてきそうだった。

ある程度の興味を聞けて満足したので、元からの意志、“ウォーターサーバーは契約しません”ということを伝えた。
今までならハッキリとそのまま言葉にしていたのだろう。これでも少しは大人になったんだ。

「ここの条件が僕の中で引っかかってて、、、まあ、うーん。ちょっとこれでは契約は、はい、難しいかなあという気分なんですよ、、、」

と柔らかく伝えた。だが、契約しないと伝えた瞬間、店員の雰囲気が変わった。

「そうですか。契約なさらないのですね。分かりました。またの機会をよろしくお願いします☺️」
とこれまでの柔和な雰囲気を一転させ淡白に会話を切り上げた。単純にめっちゃ怖かった。嘘だろ?と思った。


俺はそのあからさまな態度にイラってした。ただ、俺はこれまでの態度を変えず、
「いやあ、本当に申し訳ございません!」
という愛想を良くし腰の低さを保ったのだが、彼は
「いえいえ、それではまたのご縁をお待ちしてます。ありがとうございました。」
と、言葉は丁寧なものの会話を切り上げたくて堪らない、さっさと早く帰そうという態度をもはや隠さずに出してきた。


確かに、向こうからしたら契約する気のない客とこれ以上話すメリットがない。それは分かる。
だけど、最初にあまりにも愛想が良かったからか、その後の態度が一層残念だった。ハッキリ言うなら後味が最悪で、印象がガタ落ちした。


俺も悪かった。興味ある風に接して、自分の聞きたいことは全部聞いて、向こうの商品説明は腹の底では一切響いてない。
ただ、俺は最後まで外面を良くした。

仕事だから金にならない人と話す理由はないから仕方ないのだが。
彼は最後の最後に、最悪の印象の残滓を俺に渡してきた。


あの会社の商品は絶対買わないな、そう思った。
ちゃんと最後まで愛想良くしよう、そう思った。

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