見出し画像

日本の製造業が終わっているという話

こんにちは。生意気小僧です。

私は仕事柄、日本各地の工場で日々仕事をしています。

今回は、そこで感じた「日本の製造業が終わっている理由」を3つ製造業に携わっていない方向けで話していきたいと思います。

※この記事は私の独断と偏見で書かれていますので、ご了承ください。

終わっている理由1:若くて優秀な人材がいない

私が全国の工場を回る中で一番感じていることは、若い人がいないことです。

若い人がいないということは、どんなに儲かっていてもその会社はいつかなくなるということです。

日本の技術力は世界一だ!という話をよく聞きますが、その技術を継承できなければ意味がありません。

私が仕事する中で感じたことは、特に中小企業は「壊滅的に」若い人がいません。

そりゃ、キツイ、汚い、暗い、給料安い、厳しいの5Kの製造業を選ぶ若い優秀な人なんていないだろうな。と思っています。

私は機械系の大学出身ですが、多くの同期がIT系に就職したことを覚えています。

さらに、私の経験上大企業よりも中小企業のほうが技術力は高い傾向にあります。

そのため、技術がある会社から消えていくということになると思います。

これが終わっている理由その①

終わっている理由2:給料が安すぎる(というか割に合わない)

さっきの話で、若い人は中小企業にいないと言いましたが大企業にいる若い人も技術者になるのかというとそうではありません。

私がよく一緒に仕事をする会社の方がよくおっしゃっているのは、

「若い人が入っても現場じゃなくて、事務に行ってしまう。。。」

というものです。

私も全国めぐる中で痛感しているのですが、とにかく現場に若い人はいません。

今の若い人にとって、現場ほど「コスパが悪い」仕事はないのだと思います。

まず、現代日本は配属の希望がある程度通ります(通らなかったら辞める新人も多い)

さらに、製造業も男女平等のために女性比率が上がっています。

そして、人数比率でいうと今のZ世代は40-50代に比べて出世できる可能性も低いし、出世したときのリターンも期待できません。

そう考えると、技術職でバリバリ働き出世を目指すよりも、事務仕事でワークライフバランスを整えた暮らしをする方がよっぽど合理的なのだと思います。

かくいう私も現場に出て神経すり減らしていても、事務で仕事をしていても給料が同じかむしろ残業が多い分事務の同期のほうが給料が高い現状に「割に合わない感」があります。

そういう意味では、今の若い人は現実的で合理的な選択をするひとがおおいのかもしれません。

これが終わっている理由2:給料が安すぎる(というか割に合わない)

終わっている理由3:中小企業が絶滅するから(近い将来)

先ほど、中小企業には若い人が入らないという話をしましたがそうなると中小企業は消滅します。

中小企業が消滅するときに考えられるパターンは、

1:清算してなくなる
2:吸収合併される

の2パターンです。

1は言わずもがなですが、2であれば問題ないと思う人もいるかもしれません。

実際、吸収されて大きくなった中小企業もあります。

ただ、製造業において事業規模が大きくなると技術力は下がります。(基本的に)

それはなぜかというと、仕事のスタイルが変わるからです。

大企業の仕事スタイルは「薄利多売」
製造業でいうならば自動車業界が有名です。

自動車業界のお客様は工場を見た瞬間にすぐわかります。
デカい、とにかくでかいのです。

数億円、数十億円という金額が簡単に動きます。
機械が数十台、数百台並ぶ光景は異様です。

そしてそういう会社は基本的に同じものをひたすら加工します。
そのため、加工技術のバリエーションは少なく、いかにその部品を効率よく生産するかという技術が蓄積されます。

大企業:生産技術>加工技術
ということです。

一方、中小企業の仕事スタイルは「厚利少売」(薄利もありますが。。。)
機械でいうと50台前後でしょうか。

中には2,3台で家族でやっているなんて工場もあります。

そういう会社は、材料や品物の形もバラバラで嫌でもいろいろな加工技術が身につくのです。

中小企業:生産技術<加工技術
ということです。

なので、中小企業にしか作れないものがある理由は設備的なものではなく、技術的なものなのです。

しかし、日産の下請けいじめのように中小企業(特に下請け)は支払われる対価が安い。。。

私は今よりも技術者の給料を上げなければ、日本から若い技術者はいなくなると思っています。

大企業も中小企業もきちんと給料をあげなければ、そう遠くない将来に日本から製造業が消滅し、海外に移る日が来ます(というかもう来ています)。

最近は、中国や東南アジアの技術者の技術が上がっています。

その理由の一つとして、技術者と事務では給料が3倍違うという話を聞きました。

そのため、優秀な人材、やる気のある人材が集まり技術力が向上しているそうです。

「安くて良いものを」というのが日本の製造現場のスローガンであったかもしれません。

しかし、どの業界も人手不足の現代日本でそんな悠長なことは言っていられません。

「高いけど良いものを世界中に売る」

資本主義社会で当たり前のことをやるべき時が来たと思っています。

これができなければ本当に、東南アジアに製造業はもっていかれてしまう。

そんな危機感を抱きながら、私は日々過ごしています。

日本の製造業に幸あれ。




いいなと思ったら応援しよう!