「花束みたいな恋をした」を恋愛感情持たない人間が見てみた
「花束みたいな恋をした」を観に行って来た。
とても良かった…いつまでも余韻に浸れる映画。
この映画は趣味や価値観が奇跡のように合うカップルが社会に出て徐々にすれ違っていく様子を描いた恋愛映画である。が、恋愛感情を持ち合わせていない私も感情移入して楽しむことが出来た。
この映画で描かれていた麦と絹の関係性は、恋人だけでなく親友などの関係にも通づるものがあると思う。
高校の時、ずっと一緒に居た同じ部活の仲間が居た。クラスは1度も同じにならなかったが、色々な行事などで一緒に楽しい思い出を沢山作ったし、似たような環境だから共通の話題も常に存在していた。
けれども、今ではその子とも年に数回会う程度だ。
今同じ大学で様々な感情を共有している親友とだって、きっと就職したらこのままの関係性では居られなくなる。
“価値観が合う“って、本当に貴重で尊くて儚いものなのだ。同じ人でも、価値観は置かれる環境や時期によって変わっていってしまう。
隣にいる人がずっと同じなんて、何かを諦めなければ無理なのかもしれない。
ストリートビューで2人の姿を見つけた麦は、あの後絹に連絡したのかな。してたらいいな。
絹と麦には、これから先もたまに会うような親友でいて欲しい。たぶん今の2人には、“たまに”の関係がちょうど良い。
“価値観が合う”という事で繋がっていた人達は、価値観の一致に綻びが生じてしまうと距離を置くしかなくなる。
互いに違う“今”を精一杯生きて、たまに会った時に昔のように戻って懐かしむ…そんな関係に変わっていくのだ。
その点、価値観は違っても受け入れ合い、理解し合えるもの同士の繋がりは強い。
芸人さんを見ていても、良い関係性のコンビの多くはコンビ間で正反対の価値観を持っていたりする。
私も価値観が合う部分だけでなく、価値観が合わない部分まで理解し合える関係性を築いていく努力をしたいと思った。
それが“何かを諦める”という事なのかもしれないけれど。
追記。
色々な方の感想を読んでいると、“麦と絹があの後再び会うことはない”という認識をしている方が殆どみたいだ。恋愛ってそういうものなの…?
あれだけ趣味も合っていたし、再会シーンだって同じ行動をしてばったり会ったくらいなのだから、根本的に相性がとても合う2人なんだと思う。そんな相手と「元恋人」というだけで二度と会わないなんてもったいない。と私は感じてしまう。