映画「82年生まれ、キム・ジヨン」
しんどい映画だった。
原作よりも救いがあるラストだったけれど、見覚えのある抑圧に満ちた現実を映像で突きつけられるのが、ひたすらしんどかった。
私自身はまだ学生であるため、“女性”という理由であからさまに差別された経験は少ない。
それでも、この映画の中で描かれていた現実は確かに私も見てきたもの、聞いてきたものであった。
そして漠然と、自分の未来かもしれないと想像していたものだった。
世界は確実に進歩している。それは事実だと思う。
先人達が闘ってくれたおかげで、今私は“女性”であっても選挙権を持てるし、大学だって通える。仕事だって出来る。結婚をしない自由も、出産しない自由もある。
でもまだ「女性は家事、子育てをするべき」、「キャリアを諦めるのは女性側であるべき」、「女性は子供を産み、育てることが幸せ」なんて固定観念は世の中に溢れてる。
少なくとも私が育ってきた時代はそうだった。
「学生のうちに良い人見つけなさいよ」「早く子供を産んだ方が良いよ」「頭の良い女性はモテないんだから」なんてセリフは幾度となく聞いた。
だから私も数年前まで、将来は何となく結婚をして、子供を産んで、仕事を辞めて…なんて人生を歩むと思っていた。それが1年幸せな人生の形だと思ってた。
自分に合う幸せの形はそうじゃないと今は気付けたけれど、気付かぬまま人生を歩んでいたらと考えるとゾッとする。
私もキム・ジヨンのようになっていたかもしれない。
もうこんな思いをしなければならない女性達が居なくなって欲しい。すぐには無理でも、全ての女性達の為に闘ってくれた先人達のように、次の世代の女性達が今より少しでも生きやすくなるようなお手伝いを自分もしたい。
ジェンダー指数だって、この映画の舞台である韓国では段々と改善されて今では日本の方が下位になっている。これは韓国での#MeToo ムーブメントの影響が大きいように思う。
声を上げるだけで変わることだってあるのだ。
大それたことは出来なくても、選挙に行く、SNSで声を上げる、フェミニズムのコンテンツにお金を出すくらいは簡単に出来る。
まずは身近な所から出来ることをやっていきたい。
数十年後の未来の子供達がこの映画を見た時、「こんな酷い時代があったの…?」なんて感想を抱くくらいジェンダー平等が実現されていきますように。