⑩ 2017/8/27 記憶
その時の記憶が消えない
自分が何を見たのか
その時、誰が何色の服を着ていたのか
彼の指先はどんな形をしていたのか
空や、地面の色はどんなだったか
明確に覚えているのに
けれど
彼の表情だけは思い出せない
多分、幸せな表情だったろう
そこだけ思い出せない
彼のメガネのフレームだけ、覚えている
SNSで、彼の結婚式の写真が飛び込んできた。彼自身ではなく、誰かがシェアしたようだった。
その後しばらくすると、その写真は彼のページから削除されていた。
久々のお休みは、自分の結婚式のためだった。
ただ、それだけだった。
自分が恥ずかしくて
情けなくて
バカだなぁって泣いた。
泣いてもしょうがなかった。
涙さえ虚しかった。
私は小さな小さな、バカな女だった。
ほんとに、自分が嫌だった。
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