素の"じぶん"が怖くない〜「ぬかつくるとこ」ボランティア〜
この日の私は、仕事の休みを利用して、『ぬかつくるとこ(以下:ぬか)』へ向かっていた。3本の電車を乗り継ぐこと、約1時間半。
(ぬかつくるとこを選んだ理由については、下書きにデータがある。公開するかどうか、完成させるかどうかも未定である)
歓迎の嵐
自然体で肩の力を抜いて(・◇・)/フゥ
岡山駅で少し時間があったため、乗り換える前に、お手洗いにはいったはずなのに、緊張のせいか、乗る前に水分補給をしたからか、駅に降りたら、お手洗いに行くぞ…と思った…
伯備線から瀬戸大橋線に乗り換え、ぼっーとしていたころ、「緊張には勝てないな」と自分に苦笑していた。
4月に行った顔合わせ兼打ち合わせで
特に連絡がないし、危機的状況でもなさそう(素人判断)なので、「受け入れていただけるだろう」と思いつつも、「うっかり連絡し忘れていたということもある」ので、確認の電話を入れた。
それに加えて、乗る電車を変更したい(最初に伝えていた電車が階段を上がって別のホームに行かないといけないのに、乗り換えが3分しかない電車だった💦)趣旨を伝える必要もあった。
その際、
ぬかつくるとこの社用車かな?と思っていたら、
想像の上だった。
そこにいたのは、スタッフさんと利用者(以下:ぬかびとさん)だった。
私のために、作ってくれたオリジナルのもの。
「驚き」と「嬉しさ」がぐっちゃぐっちゃなまま、写真撮影をして、早島駅から『ぬか』へ向かって歩き始めた私たち。
私が来るということで、私のために時間をかけてくれたことが、すごく嬉しい。
私がぬかつくることに惹かれた理由の一つ。
『社会と遮断されていない。ぬかるみ商店などで逆に開けていて、地域の人たちと当たり前に関わっている。』
ぬかるみ商店だったり、ボランティアの受け入れだったり、ぬかびとさんも人に慣れているだろう。感情がぐっちゃぐっちゃで、顔がひきつっていたとしても感動は伝わる、読み取ってくれる。そう思うことにした。
事業所につくと、
〇握手をしてくれる人
〇ザルをくれた人(ちゃんとお返ししました)
〇ハグしてくれた人(スタッフに止められていた笑)など
駅でも、事業所でも、それぞれの形で歓迎を示してくれた。興味をもって、嬉しさを表現してくれることがうれしい。
『ぬか』の歴史が積み重なった事業所
『ぬか』がある早島町は、江戸時代中期には「早島表」で全国的に名を知られる、い草の生産地であった。(早島町公式ホームページより)
『ぬか』は、い草産業を支えた豪農の蔵を改修している場所にある。
外と中でガラリと印象が変わる。
どちらもすばらしい。
中は、和の空間というよりも、モダン。
ぬかびとさんたちが過ごす部屋がいくつかあり、すべて雰囲気が違うように感じた。
落書きさえもいい味をだしており、体感型現代アートの展覧会に来ているかのような空間だ。
2013年に開所。今年で、9年。いや、これは9年そこらで出せる味ではないような気がする。
ぬかびとさんや遊びに来た人(以下:まぜびと)やスタッフさんたちが過ごしてきた、日々の積み重ねと苦労がそこにあるのだろう。
気を付けていたこと
〇時世柄や障害のある方と接するということで、こまめにアルコール消毒するようにした。
〇目線をあわせて会話ができるように、しゃがんだり、視線に映り込んだりするような位置取りを心がけた。
〇ぬかびとさんの行動やぬかの理念に反することをしてはいけないと思ったので、会話をしたり、追いて行くくらいの行動にとどめた。
「一緒にいこー」と言ってくれた時は、嬉しかった。
〇「どこまでならできるんだろう?」とできないこと前提で、考えたり決めつけたりしないようにした。
〇「心は大人、行動は愛嬌」(コナン君かww)と思って、質問したり敬語で会話したりするように、心がけた。
〇なにかをしてもらったら、「ありがとう🌟」
畑作業時は苗を植えるときは私が穴を掘ったので、「植えてもらってもいいですか??」など、その都度、感謝の言葉を口にするようにした。
スタッフの動きを見て感じたこと
〇一緒に遊んでるように見えても、必ず、目の届く範囲にスタッフがいる。場を離れるときは、別のスタッフを呼ぶ。ぬかびとさんだけにならないようにしていた。
〇何かあった時には、近くにいるスタッフが対応する。感情はちょっとしたことで変わるものだ。
〇近くにいてあげた方がいいぬかびとさんには、つきっきりで。だから、しばらく、ずっと抱きしめてもらっていたぬかびとさんもいた。
そんなスタッフさんたちなので、ボランティアである私にも、優しかった。私の体調(IBS)を気遣ってくれたり、話しかけてくれたり。
私も、割と自由に、部屋を見て回っていたように思う。
スタッフたちは、芸が多彩だ。クセも強い人が多そうだ。
楽器が弾けたり、小道具が作れる人…
私は、その場で、すぐにダンスは踊れなかった(笑)
心境の変化
本業の職場でもよくOKの時に、腕を上げてまるを作ることがよくある(・閉館間際の館内確認の時、・壁面にポスターを貼る時、・遠くから位置を確認する時などに、多用する)。
今回は、すぐそこの距離だったので、体を使って表現する必要はなかったのだが、元気さと快諾を表したかったのかもしれないww
と何度も言っていただいた。心から楽しんでいたりいいなと思っていたりするのが伝わってきた。
今回は、違ったかも?と思っても、一瞬考えて終わり。
その後は、すっかり忘れて、ぬかびとさんたちを観察したり、話したりしていた。
それは、初めてに近い感覚だった。
ランチはぬかの売り
福祉事業所ということは頭においていたつもりだった。ランチ時は障害のある人たちを受け入れている施設であることを感じた。
多種多様な障害を持たれている方がいるため、食事の量や食べやすい大きさに変えたりする必要がある。
それぞれがもつ、困難さを解消するための工夫が要求されるからだ。
同感です!
提供する段階で、「個々の困難を解消する調理をしたものを提供する」方がスタッフにとって、何倍もラクだろう。でも、それを惜しまない。
少し前にTwitterで、「嚥下障害の人に出す飯は食事ではなくエサ」が話題(炎上?)したことも記憶に新しい。(元tweetがわからないので、深堀はしない)
どんな食事であっても、おいしさを追求し、喜んでもらうために、日々苦戦している人たちがいる。
ぬかの職員募集の欄に、
「おいしいごはんを食べれることに熱意がある方」
食に並々ならぬ想いを感じる。
何事もほどほどに
ぬかは頑張りすぎないところだ。
目の前のことに追われ周りをみる気力がなくなったり、自分をなくしたりたりする現代社会。
そんな中で、少し、肩の力を抜いて、目の前に起きるアクシデントに右往左往しながらも楽しむ。
気持ちの良い風に身を任せて、喧騒から距離を置いてみる。少しくらい肩の力を抜く。それくらいが、いいのかもしれない。
面白さ7割・気遣い2割・厳しさ1割
振り返ってみれば、スタッフが本気で怒っているところはほとんど見なかった(梅事件を除いて)。
おそらく、一人ひとりの行動や個性が分かった上で、楽しませ方や落ち着かせ方が、わかっているからなのだろう。
ぬかびとさん一人ひとりが制作作業に励む。
制作道具置き場(絵具やビーズなど)は、わかりやすい工夫がされているように感じた。
『ぬか』でのボランティアを終えて
〇『普段は、名前を書くことが少ないんだよ』というぬかびとさんが、名前を書いてくれてとてもうれしかった。
〇今回は、畑作業をお手伝いした。福祉作業所で、そこそこ野菜を植えられる畑や、立派な庭があること、なくない??
〇ぬかには、本館・畑・ぬかごっこ(子供対象)・離れがある。もし可能なら、今度は、離れにもお邪魔したい。
〇今度は、自由時間の過ごし方をみてみたい。
おわりに
そのことに、驚いている。
そんな風に思えた場所は、今までにあっただろうか。
記事タイトルを初めは、ボランティアだとわかるタイトルにしようと考えていた。振り返りをしていて、知らない間に「素のじぶんをだせていた」ことに驚いた。
活動時間が長くなかったこともあるかもしれないが、疲れて翌日しんどいということもなく、逆に元気に本業をしていた。
一度の体験・体感で、私にとって、『ぬか』でボランティア活動を続けることがよいのか分からなかった。分からないからこそ、分かるまで通いたい。それくらい、奥深い世界や魅力を『ぬか』は作っているのだと思う。
今回、ボランティアをしたことで、ぬかどこをまぜて新鮮な空気を入れる、『まぜびと』になれたならば光栄だ。
関わってくださった皆さん、あらためてありがとうございました!
ぬかつくるとこInstagramや、WebメディアSoar『この人の”面白いところ”ってどこだろう?それが仕事づくりの原点。アートを活かした障害者向け生活介護事業所「ぬか つくるとこ」』を引用・参照した部分がある。