青年愛妻家は死んだ 2023.5.15
わたしは昨日から青年愛妻家となった。
青年愛妻家として迎えた初日の朝、わたしは死者となった。
愛妻の夢の中で。
いつものようにわたしが先に起きて、ニヤニヤとモーニングルーティン(誰も興味はないだろうが明日はこれについて書くつもり)をしていると、妻が起きて一言。
「あんたが死ぬ夢見たわ」
お、おう。そんな夢を見たわりに、なんで楽しそうなんだ?
そこには面白い理由があった。
「あんたは死んでるけどな、電話はできるみたいで私と子供らとで電話しながらあんたとご飯食べてたわ」
お、おう。いや、でも、死んでる、よな?なんでそんなに明るい感じなんだ?
実際ははうんうんと相槌を打って聞いているのでこのクエスチョンたちはわたしの心の声である。
「なんで悲しくないかって言うたらな、あんたがめっちゃ楽しそうやったねん。何も食べなくてもいいし眠らなくてもいいし、高層マンションみたなとこに住んでめっちゃおっきな図書館で本読み放題やでーって。もちろん、はたらかんでいいから1日23時間くらい本読んでるって言うてて、お前らも来いよーとか言うてたで」
「ユートピアやないか」
思わず口に出してしまった。
んでもって残りの1時間はなにをしとるんや、わたし。
「喉痛いって言うてそのまま死んでいったから、喉に要注意やで」
今のところ、喉はなんともないが今日はいつもより3つほど多くのど飴を舐めておいた。
いや、そんなことはいい。
これはもしや青年愛妻家失格ではないか。
初日にして称号剝奪か?
いやまぁ、これはあくまでも妻の夢であるからある意味で妻の愛がもたらしたユートピアを楽しむことは青年愛妻家として当然のことであるからして……。
ちょっと何言ってるかわかんない。
生きていることが楽しいからまだまだ死にたくはないけれど、死んだらそういうユートピア的な世界があると思うのは悪くない。
誰にもわかりっこないんだから、せっかくなら楽しい妄想をしたいものである。
妻の夢で楽しそうに死んでいるわたしに笑わせてもらった、青年愛妻家であった。