でんぱ組に心臓ぶち抜かれた話
■はじめに
2020年4月、たまたまツイッターで見かけたこの動画で、
私は心臓ごとぶん殴られたような衝撃を受けた。
・メンバーもスタッフも全員がテレワークで作り上げた曲
・ MVが出来上がるまでの過程はSNSで公開されながら行われていた
・どんなテイストの曲がいいかの投票や、イラストやコーラスにはSNS経由でファンが参加
この前提3個だけ知って、まずは観て欲しい。
もう、初見の時は訳が分からないほど泣いた。めちゃくちゃ泣いた。
もともと、でんぱ組については曲をいくつか知っている程度でメンバーの顔と名前も一致してなかったし、正直何かいつもごたごたしてるなぁ、とかメンバー全員バックグラウンドのアクが強いとか、そういうマイナスな印象しか持っていなかった。
そんな私の先入観は、この140秒でぶっ飛ばされたのであった。
動画の公開から1ヶ月以上が経ち、何回も観て聴いて少しずつ自分の中で整理できてきたので、この感動を忘れてないためにも、自分が気持ちを揺さぶられたポイントをまとめてみる。
■衝撃を受けた3つのポイント
1)在宅なのに、悲壮感がない
動画が公開された当時は、緊急事態宣言が発令されてから1週間後。
この時期は全国的にも感染者が連日報道され、今のテレビのように「おうちで楽しむ♪」みたいな風潮がまだ一般的に浸透しきっていなかった時期だと思う。スーパーとかドラッグストアとか、何ならネットもめっちゃピリピリしてたし、ピリピリのピークだったかもしれない。
イベントやライブの中止・延期が相次ぎ、日頃からエンタメ業界にとてもお世話になっている身としては本当に心苦しい時期だった。
そしてこの時期よりちょっと前くらいから色んなアーティストが出し始めた、歌やダンスを家で収録した動画たち。
私はこういった動画に元気をもらいながらも、どうしても見えてしまう生活感のある背景や、耳から伸びているマイク付きイヤホンの存在感や、人によってブレる撮影環境や画質に、「あぁ、こういう形じゃないと何かを残せないんだ。エンタメ業界どうなるんや…」と心のどこかである種の不安を抱いており、
さらに、普段はゴリゴリに外で遊んでるであろう人たちから発信される「家で過ごそう!」というメッセージにはなんか無理してる感を感じていた
(めちゃくちゃ失礼な書き方だと思うんですけど、どうしてもうまい表現が思いつきませんでした。ごめんなさい。テレワークならではの見る側のしんどさがあるよねという話です。)
一方で、この「世界公認 引きこもり!」のMVは、ファンによる愛あるイラストが所狭しと詰め込まれていて、なおかつメンバーの”見たくない方の生活感”は全然見えない。目まぐるしく動くカラフルでスパークでキラキラした色彩の中で、部屋着(これも個性出てて可愛い)のメンバーがダンスで、リップシーンで素敵に自分を魅せている。
元々は引きこもりやオタクの集まりであるという彼女たちの「おうちにいたって通常運転だ!」はめちゃくちゃ説得力ある。彼女たちは家に引きこもることに関してはプロ集団なのだ。
こういった、「リモート収録ならではの見る側のしんどさ」みたいのを感じなくていいから、何回も安心してリピートして観てられるPVなのかなと思った。
2)数の暴力
私は多くの人が制作に参加してるよ〜系の動画にめちゃくちゃ弱い。
九州新幹線開通のCMとか、ニコニコ大合唱みたいなやつだ。
この動画を人に勧めるとき必ず言うワードが「ニコニコ動画の”お前らの愛で画面が見えないww”みたいのに感動してたタイプには絶対刺さる動画」なのだが、我ながらいい表現だなと思っている。
で、前述の通り、このMVには多くのファンが参加している。
私がこのMVで特に好きなポイントの1つは、ファンが参加できるパートが一定のプロに限定されてないところだ。
こういうのって結構モノ作りや演奏が得意な人の腕前発揮する場になりがちだと思うんだけど(それも決して悪くはないんだけど)、投票で、イラストで、コーラスで、色んな形で参加できる。何なら参加してなくてもSNSで制作過程が公開されているから、出来上がっていくワクワク感を一緒に体感することができる。
私はもちろん参加してないし、その制作過程も後からちょろっとしか観ていないんだけど、多くの人を巻き込んだんだな愛されるんだなってことがよくわかるMVで本当に素敵だなと思った。(そして間奏のツイッターの画面が大量に出てくるところでまたボロボロに泣く)
今となっては前よりは自粛にも慣れて、比較的落ち着いてきた方ではあると思うんだけど、MV公開当時は未来が全然見えなかったし、なんならこの先の待ちわびてた予定がバンバン潰れてく中で、
「MVの完成が楽しみ」って未来に対してワクワクさせる気持ちを持てるだけでも、めっちゃ救いだし凄いことだと思うんですよ。
そんな気持ちをたくさんのファンに抱かせたでんぱ組とその周辺の大人たち、本当に神でしかない。
3)歌詞がバキバキに心に刺さる
もうこれはただ観てくれ。そして心に刺さった部分を熱く語り合いたい。
ワードに歌詞を打ち込んで出力して、熱く感じた部分に下線とかメモをつけながら理解を深めあいたい。(出典:つづ井さん)
私がめっちゃ好きなフレーズが
“「在宅」って名の剣で世界を照らせ”ってところ。
家のことを”バトルフィールド”、在宅のことを”世界を照らすための剣”と前向きに表現するの、本当に神の所業でしかないし、厨二心とオタク心に刺さりすぎてびっくりする。
■終わりに
私は元々趣味がゲーム・読書くらいしかないので、あまり今の生活でも不便はしていない。
仕事も2月からずっとテレワークなので快適なくらいだ。
でも、漠然と「しんどいな、辛いな、この先どうなっちゃうのかな」って思いはずっと持ってて、でもそういう感情を認めることがなぜか怖くて蓋をしてて、自分とうまく付き合えていなかったなと思う。あんま寝れてなかったし。
この動画に出会って、何でかは全然わかんないんだけど、そういう漠然とした不安や恐怖みたいなことを感じている自分を自然に認めてあげることができたし、前向きに今できることをこなしていこう、おいしいものいっぱい食べて楽しいこといっぱいしようって気持ちに、無理なく(ここ重要!)なることができた。
つらつらと書きなぐってきたけど、いいものって理屈抜きに心にぶっ刺さってくるし、マジで世界観変わるんだよなぁ。そしてもっとうまく言語化して残せるようになりたい…。
収益とかよく知らんけど、とにかく再生数伸びてくれ…そして公式のCD音源とか楽譜とか出てくれ…(本音)
感動したことを書きなぐっただけで、でんぱ組に関しても制作過程に関してもちょろっとインタビュー記事などを読んだだけのまだまだ新参者です。色々間違ったことかいてるかもしれませんが、私がめちゃめちゃ感動した事実だけは確実に本物なので、どうか許してくれ…
ブログ書くなんてマジで15年ぶりくらいだし、こんなに長文を書いたのは初めてかもしれない。文章書くのが苦手な私がどうしてもブログに残したい!って思うくらい、とにかく衝撃的だったのだ。
せっかくなのでこの出会いを大事にしていきたいなと思い、今日も私は動画サイトの海に潜るのであった。