眺めのよい部屋
ホテルは景色が良い部屋から値段が高い。
住まいもそうだろう。
でも私は最近まであまり重視していなかった。
旅行でも部屋探しでも『どうせ夜帰って寝るだけだから』てな具合だ。
遠くまで見晴らせなくても全然気にしなかった。
目の前のことで精いっぱいだったからかもしれない。
あの頃はあくせく動いて周りに合わせることに必死だった。
でも諦めを覚え身体も少々重たくなり、のんびりと外を眺める余裕が出た時
「日暮れと共に変化する空のグラデーション」
「煌めく水面」
「悠々と横切る鳥」
当たり前だけど『自分が動かなくても景色は動く』事に気づいた。
馬鹿みたいだなと思うけど、死ぬまでに気づけてよかったかもしれない。
眺めの良い部屋に住みたい。