麻酔
入院中、ERCPという手術を受けました。
簡単にいうと、胃カメラみたいなもの。
極細のカメラを胃から腸へ通し、腸の裏にあるすい臓へ。
さらにその中のすい管と呼ばれ細い管の中にカメラを通します。
もちろん麻酔なしでは耐えられません。麻酔が効きにくい
私は超強力な麻酔、「プロポフォール」を使用。
マイ○ル、ジャク○ンさんは、この薬の副作用的なもので、呼吸が
停止して亡くなったと言われるほど、強力な麻酔。
手術室に行くと、主治医、助手、麻酔を調整する麻酔科の先生、
万が一呼吸が止まった時のための呼吸器科の先生、看護婦4人
でスタンバってます。
看「じゃ~、横になりまちょ~ね~」
私を安心させるためか、赤ちゃん言葉の看護婦さん。
思わず、「ばぶー」とイクラちゃんになりそうな自分を押さえつつ
横になると、胃カメラ用のマウスピース。
この状況なら、本当に「ばぶー」と看護婦さんに抱きついても
許されるんじゃないかと思ってると、麻酔科の先生が麻酔を入れ始めます。
先「は~い!じゃあ、眠くなりま~す!!」
ピッピッピ、という音とともに、機械ポンプが点滴を通して、強制的に
私の体に麻酔を送り込みます。が。。
・・・
眠くならない。
いつもなら、ストンと寝てしまうのですが、今回はなぜか、目が
パッチリ。
先「あ、あれ・・まだ寝てない。なんで・・?」
私が聞きたいです。
ここで大量に麻酔を使うと、手術中に足りなくなり、途中で目が
覚める可能性があります。私が焦ってると、看護婦さんが私の
ところによってきます。
そして、両手で私の体全体を優しく、ギュッと抱き包みます。
看「ねんね~ん、ころ~りよ、おこ~ろ~りよ」
もうちょっと起きてたいかも。
看「あ・・あれ・・まだ起きてる・・」
当然です。
だって、口の内側のほっぺを奥歯で噛みしめて耐えてますから。
看「う、歌がまずかったかな・・じゃ、じゃあ、日本昔話しのテーマ・・」
看護婦さん、再び私の全身を抱き包み、歌い始めます。
看「ぼうや~、よいこだ、ねんねしな」
いや、もうちょっとだけラブリーな夢を
看「は~やく、ねてくれ」
・・・
看「はじまらね~」
うわぁ、怒ってるぅ
思わず、噛みしめた奥歯から力が抜けた瞬間、目の前が真っ白に。
次の瞬間
看「起きて、早く!はよ、起きて!」
さきほどの優しさは、いずこへ。
今度は私の頭をバシバシ叩きながら、麻酔から覚醒させます。
まだフラフラな私、千鳥足で部屋に戻りながら、次の子守唄を期待
する冬の昼下がりでした。