ミッドサマー感想

ミッドサマー感想

「グロい」とだけ聞いて躊躇してましたが怖いもの見たさで見てきました。まずはじめに結局ぐろいのか問題、次に本編ネタバレ感想、最後に残った疑問について、2時間前に見ただけの夏至祭初参加のホヤホヤ人間が適当に書き殴っていきます。間違ってる事あると思うけど許してください。不親切なネタバレ感想になるので観賞後に読む事をオススメします。
読み終わる頃にはスウェーデンに到着すんじゃないかってくらい長くなるかもしれません。

では早速↓

Q.グロかったか?
A.グロいシーンはあったけどグロ映画ではない

確かにショッキングなシーンはあるし不快な描写、グロテスクなショットはあります。が、はいグロテスク!見て!ほらゴア!気持ち悪いっしょ?!とかそういうスプラッタやクソホラーにありがちな不必要な程の「見せつけられる」感覚はありませんでした(個人の感想)。繰り返しますが確かに ショッキング かつ グロテスクな描写 はあったので、血が苦手で…とか事故現場画像なんか絶対検索しないゾ…とか死体のアップキツいです…とか、ちょこっとでも恐怖感があるのならやめた方が無難ではある。がしかし決してグロにフォーカスした映画ではなくメインはあくまで「奇祭という名のカルチャーショック」。そちらに興味があるなら見て損はないと思います。奇祭にブチ込まれた一般人になりきって戦々恐々2時間ちょいを過ごし、最終的に頭イカれそうになる疑似体験を今なら2000円足らずで購入できます。
ただ後味がいいかと言われると…


ネタバレ感想↓

適当にまとめると「カルチャーショックを映像化して目と耳の穴から一気飲みする映画」って感じでした。
どっかで「山田と上田のいないTRICK」て見ましたが私はそうは思いませんでした。私が見たものは人を騙す小細工ではなく、理解不能な異文化だったので(TRICKは大好きです。馬鹿にしてる訳じゃありません)なんも解決のしようがないなと…例えとしては面白いけど。

以下長ったらしいので死ぬほど暇な時に呼んでください。

ここ読んでる人の9割はご存知かと思いますが、この映画の舞台はスウェーデンの片田舎にある「ホルガ」という、知る人ぞ知る辺境の地…詳しくは公式HP見てください。で、「今年は90年に一度の夏至祭あるから見においでよ」と、同級生のホルガ男子に誘われるがまま、主人公のダニーちゃんらアメリカ大学生グループが遥々スウェーデンまで旅立つのです。

今にも別れそうなダニーとクリスチャン

このダニー、精神疾患を抱える妹ともども家族が一家心中してしまうという凄惨な事件に見舞われたばかりで、自身もトラウマを抱え些細な事でパニックを起こしてしまうというとても不安定な主人公です。主人公の精神がお豆腐状態だとそれだけで見てるこっちも不安になるけどまあしゃーない…更に、共にホルガへ向かった彼氏のクリスチャンは、そんな彼女を捨てきれず、かといって好きかと言われると微妙…みたいな中途半端な立ち位置。わりとガタイは良さげだけど心の拠り所にはなりません。ダニー的にはクリスチャンに負担をかけたくない(嫌われて一人になるのが怖い)と思っているようですが、どうしてもクリスチャンに頼る、というか依存してしまう。なあなあで彼氏彼女の関係を続けてるって感じ。元々ダニーは不安症でしょっちゅうクリスチャンに電話し、対するクリスチャンも断って傷つけるのが怖いから仕方なく付き合ってる。いやハッキリさせた方が互いのためになるんちゃうか?サックリ分かれて新たな道を歩み出そうぜ!と言いたい気持ちをグッと堪え見守る他ありません。クリスチャンの男友達はさっさとダニーと別れて楽しく遊ぼうぜ!と腫れ物彼女の事をやや疎ましく思っている様子。それでも別れないクリスチャンを優しいと感じるか優柔不断と感じるかは見る人によるでしょう。哀れみと愛情は傍目に見ると似ているようで異なりますが少なくとも彼女に対しての優しさは持ち合わせているでしょうね。
私としては、すがる先を疑いたくないダニーにも半端な責任感と同情心で付き合うクリスチャンにも、どちらの気持ちも分かるような気がするので一概におまえはも〜コノヤロ〜とはなりません。まあ別れるのも時間の問題だろうけど幸せになれるといいですね。
無理だったけど。

まるでメロドラマのレビューしてるみたいですがメインディッシュは夏至祭です!!!!!!

はい。
まあでもダニーとクリスチャンの関係はラストシーンを考える上で大切なんじゃねーかなと思います。ので書きました。家族を失った不安症彼女ダニーと心許ない彼氏のクリスチャンです。ハイ。

WELCOME TO ホルガ

ホルガにやってきた愉快なメンバーは、
ダニー
クリスチャン
同級生ジョシュ(文化人類学を学ぶ探究心も自尊心も高そうな男。夏至祭の論文書くために来た)
同級生マーク(アホ。女好き。遊びに来た(?))
同級生ペレ(ホルガ出身ホルガ男子。上4人を夏至祭に招いた)

一行はホルガの手前でペレのジモティーと合流。ホルガ男子故の特徴か、二人とも髪の毛クルクルで正直見分けがつきません。ペレのジモティーはイングランドだかイングマートだかインテグラだったか忘れちゃいました。ちなみにジモティーとは某掲示板ではなく地元の友達って意味です。今は死語です。
さて一行はペレの友達から貰ったマジックマッシュルームをキメて日向ぼっこ。マジか。気持ちよさそうに寝っ転がる男性陣の横で、ダニー一人バットトリップしてしまいます。草木と一体化したような幻覚を見るダニー(後のシーンとの対比でしょう)。この幻覚、どこかブラックスワンのささくれを彷彿とさせます。薬やった事ないんですがホントにこんな幻覚見るんでしょうか?正直ちょっと興味あります。
ダニーが我に帰った頃には数時間が経っていました。気を取り直してホルガへ入国…いや入村!

天国ってこんな感じなのかな?みたいな村です。
スウェーデンに美人が多いのはバイキングが美女を拉致ってきた歴史がウンタラカンタラ…というくだりが序盤にありましたがやっぱ北欧の方々てみんな肌綺麗何でしょうか?(その分劣化が早いとも聞きますがそれは置いときます)実際にホルガが存在したらナショジオか世界ふしぎ発見辺りで特集されそうです。色とりどりの草花が咲き乱れ、ここが天国なら白い民族衣装を纏った村人達はさながら天使ですね。なんかもう逆に不安を煽られるんですが。

でも天国の話より地獄の話の方が盛り上がるよね?

さてダニー一行は白鳩の擬人化みたいな村人達に歓待されます。
村にはやけに傾いた建物や、ちっちゃい檻に閉じ込められた大きな熊さん、妙に存在感を放つ三角屋根の真新しい建物、チラチラ見てくる赤毛の美女などなど…メルヘンかつ妙に不安を誘うオブジェクトが沢山あります。しかし浮かれポンチと化した一行はさして気にも留めません。私も熊さんは供物かな?くらいにしか思いませんでしたがまさかあんな事になるなんて…。
そこで一行に紹介される絵巻物。どうやらホルガの御伽噺?をしたためたものらしいです。
この絵がめっちゃこわい。(というか冒頭に登場する垂幕?のイラスト然り今後の展開を超わかりやすく示唆)
恋するホルガ女子→陰毛カット→流れる経血→相手と結ばれる めでたしめでたし

嫌な予感しかしない。

みんなフーンみたいな感じで寝床へ。
どうやらホルガ村、年代ごとに住居が異なるようです。
ホルガでは人の人生を季節に例えます。年齢も明確に区切られており、0〜18歳は春、19〜36歳は夏、37〜54は秋、55〜72歳は冬…といった具合です。9の倍数が境となってますね。(9という数字がキーになってる件については他に考察されてる方が沢山いるのでそちら見てもらえれば)で夏は旅に出て、秋は収穫と労働の時、冬は賢者となると。じゃあ72歳を超えたら?

疑問は翌日明らかになります。

あとはなんか「今日が誕生日」のダニーへホルガ男子のペレが似顔絵を描いてプレゼントしてあげたりとか…彼氏のクリスチャンはすっかり忘れててペレに促されるまま出来合いのケーキの切れっ端でお祝いしたりとか(ここは映画中屈指の癒しシーン)なんやかんやあって就寝。ペレ、この時点でダニーへ特別な感情を抱いてますな。例えばダニーもホルガ仲間になって欲しいなーとかね。(自分も似た境遇で両親を火事で亡くしたって2、3回話してますが、こんだけ言われたらフラグとしか思えませんでした。後述しますがやっぱフラグでした)

鳥になる老夫婦

一夜が明けいよいよ夏至祭の始まりです!!待ってました!ドンドコドンドコ
(夏至祭は9日間続くらしいんですが見てて時の経過が分かりづらかったため何日に何が起こったとか具体的に書けない…これみんなわかったのかな?私がボケてただけですかね)

まずは村人全員揃っての朝ごはん。奇妙な形に並べられた真っ白なテーブルへみっちりと詰めて座ります。マジでみっちりしてて居心地悪そうだなーと思いました。ところでこのテーブルの並べ方にも意味はあるのでしょうか?そして年齢順に座ってた気がするんですがどうでしょう。後で調べてみます。
上座はいかにも72歳っぽい老夫婦
猛烈に不安になる乾杯の音頭を取ります。
スウェーデン語だかなんだかわかりませんが異国の言葉で謎な儀式をされるって恐怖ですよね。
見てるこっちの精神状態は豆腐を通り越して湯葉になりそうでした。

朝食を終えたら村人達ととある場所へ向かいます。
ゴロゴロとした岩場へとやってきたダニー達。やがて目の前に現れた断崖絶壁。
思い出すのは冒頭の絵にもありました、崖から飛び立つ男女の姿です。いや〜来てしまったかという感じです。
ダニー達と村人は崖下から50メートル以上ありそうなほどの断崖を見上げます。崖の上では案の定、老夫婦が儀式の真っ最中です。掌をナイフで切り裂き、ルーン文字の刻まれた石板に大胆な血判をします。この石碑は何体も立ってるんで先輩方もたくさんいるんでしょうね。
もうこの時のBGMとダニーの息遣いが不穏な空気をこれでもかと増長させるんですよね。久しぶりに嫌な意味でドキドキしました。このシーンのみならず映画中の民謡、些細な音のせいで終始心臓の座り心地が悪いんですよね。

まずは奥さんから鳥のように飛び立ちます。アカーン!そして顔から崖下の岩に激突。ここで破壊された顔面が丸見え。即死です。パニックに陥る大学生。とりわけ、ペレのジモティーが誘ったらしいロンドンだっけ?の大学生カップルの動揺っぷりがすごいです。なだめるペレのジモティー。「儀式のこと言わなくてごめんね」ってそこは言っとけよ。トラウマになっちゃうよ。私だったら絶交します。
続いて旦那さんが飛び降ります。めちゃくちゃ綺麗なフォームで足先から墜落します。足先?!死なねないのでは?!と思ったそばから画面に大写しになる激痛に呻く旦那さん、そしてバキバキにひしゃげた両脚…いやいや頭から落ちようよ…それにしても見事なアルファベットの「I」体勢で他に突き刺さるように飛び降りたのでエッ?!wwと思いました。落ち方まではレクチャーされなかったんでしょうか。何にせよ次72歳を迎える方の参考にはなったんじゃないかな…。
死にぞこなった旦那さんを見てホルガ住民はヴーだかブーだか身を捩らせます。これ最初見た時ブーイングかと思ったんですが違いましたね。ホルガの人々は個性を殺し感情を共有している共同体みたいなもので、一人の苦痛は全員の苦痛。ワンフォーオール、オールフォーワン…違うか。
最終的に旦那さんは頭蓋を杵でグシャグシャに叩き割られ死んでしまいます。結構何度も叩き割られて完全にオーバーキルだったんすけどあれ一回じゃダメなの?教えてくれルシール…。
祭の初日から飛ばし過ぎて先が思いやられます。

命を環と考えるホルガにとって、この儀式は冬を超えた老人が春へ還るために行われているんでしょう。死んだ老人の名は、新たに生まれる子供に付けられます。
よく映画に登場するキリスト教徒が死ぬことを神の元に帰るなんて言いますが、宗教によって死生観が異なるって奇妙で面白いですよね。仏教なんかは輪廻転生だし。クリスチャンが「彼らからすれば、老人を施設に入れる俺たちの方がイカれてるかもしれない」と言いますがその通りですね。ちなみに私はどっかの神様に肩入れしてるわけじゃありませんが転生はしたくない…死んだらそこでお終い、何も無くなると思ってます。というか自分が死んだら生まれ変わるとかしなくていいので…チョイと寂しい気もしますが。星になるのはいいかもですね。ちいちゃい星になって流れて消えます。
これだけ違う考えがあればホルガの信仰もさして特殊な事ではないような気がしてきました。実際にありそうこういう風習。あってもいいが関わりたくはない…けどちょっと見てみたいかも。奇祭体験VRとか今後登場しそうです。しないか。
まあ他国から見りゃナスとキュウリの乗り物作って先祖を迎えるお盆なんかも相当イカれてると思いますがね。因みにナスはゆっくり歩く牛、キュウリは速く走る馬と、それぞれ意味があるらしいですね。

ここで思ったんですが。
ホルガの夏至祭は90年に一度とのことですが、その間に72歳を迎える人って何人もいるはずだよね?
寝床に歴代のホルガ女王メイクイーンの写真が何枚も貼ってありましたが、90年に一度しか儀式を行わないなら女王が何度も入れ替わる筈ないよね??
この儀式しょっちゅうやってんな?!?!?!

何話してたっけ。ナスの味噌汁の話でしたっけ。

老夫婦の飛び降りにショックを受けた一行は一刻も早く帰ろうと荷物を纏め始める…かと思いきや、焦っているのはダニーとイギリス大学生コニーとサイモンくらい。文化人類学を学ぶ彼氏クリスチャンと探究心の塊ジョシュはむしろ論文のため積極的に奇祭に参加しようと意気込む始末。こんな二人置いてみんなでうちに帰ればいいのに…。殺されそうだけど。
半パニックのダニーを宥めるホルガ男子ペレ。自分もかつて両親を失ったが喪失感とは無縁だった。だって「家族」がいるから…。ダニーの事は本心から気にかけてたように感じます。だからこそ、家族を失ったダニーをホルガへ引き入れたいとか考えてたんでしょうか?

マークとジョシュ、消える

忘れかけていたアホの同級生マークの出番です。
マークは飛び降り夫婦の遺灰が巻かれた聖なる枯れ木にあろうことか立小便をします。いやあくまでも他所の土地なんだからそんな目立つところで小便すんなよと。ていうか何故トイレでしない?!案の定聖なる枯れ木に聖水を掛けたことでホルガの怒りを買うマーク。死亡フラグがより確固たるものとなりました。(展開上無理やり枯れ木に水を掛けたと思えなくもなかった)
そもそもマークは何のために同行したんでしょうか?美女とセックスするためでしょうか?ストックホルムでエッチしたい的な事を言ってたんですがまあ真面目に何かする気はなく単なる観光でしょう。コミカルでも頭の回転の速い三枚目キャラはホラーやサバイバルものでも生存率高めですが、ただのアホでかつ女好きとくれば生存率は一気に下がりますよね…そういやディープブルーでヒロインを差し置いて黒人のコックが生き残った時はめちゃ嬉しかったなあ。

次の日のごはんはミートパイとレモネードです。
飛び降り夫婦に動揺しまくっていたイギリス人大学生カップル、コニーとサイモンの姿はありません。何でも、彼氏のサイモンが先にトラックに乗って帰ってしまい、コニーも後を追うように村を出たとのこと。
一緒に帰らないのはおかしい、不審がるダニーを他所にミートパイを頬張る彼氏のクリスチャン。もぐもぐしているとおや?口の中に違和感が。取り出してみるとそこには陰毛
入村時に見せられた絵巻物を思い出します。
陰毛を切り取り経血を流す少女。
じゃあ血は…?
クリスチャンの飲み干したレモネードだけ妙に色がオレンジっぽかったのは気のせいではありません。
オエ…

一方聖なる枯れ木に聖水をかけてしまったマークは、未だに一人のオッサンから殺意の篭った目で睨まれています。このオッサンは飛び降り夫婦の子供だったりするんでしょうか。「俺殺されたりしないよな?」とこの後殺される人みたいな台詞を呟くマーク。そこへ助け舟を出すかのようにこっちへ来てと誘う少女。渡りに船とばかりに付いていくマーク。誰か彼に危機感の三文字を教えてあげてください。
殺される描写はありませんが、マークが殺されたのはこの時でしょう。

探究心の塊ジョシュは、より村の風習を知ろうと村長にとある場所へ案内してもらいます。
大量の書物が納められるその建物には、ルビラダーとかいうホルガの聖書が保管されています。
この聖書、純粋な者の手によって延々と綴られているとのこと。一体どんな人が書いてるのかかというと、近親相姦によって誕生した障がいを持った村人の事なんですね。俗世に汚されず根元を見つめることの出来る存在として、彼のような存在は重要だそう。聖書を絶やさぬよう、恐らく意図的に近親相姦を行い障がいを持つ子を産んでいるのでしょう。ちなみに定期的に外部の血を取り入れる事により村の血が濃くならないよう調整しているらしい。(ペレが今回同級生を呼んだのも…)
当然聖書は撮影禁止です。撮るなよ!絶対撮るなよ!!とダチョウ倶楽部されます。当然ジョシュはこっそり撮影し、当然襲われて死んでしまいます。
なおこの時ジョシュを襲った男、妙に顔の歪んだマークっぽい何かだったので最初はゾンビかと思いました。後に他の方の感想を見て「マークの皮を被った村人」だとわかりましたが…。(ちなみに皮を剥がされたマークは最後に登場します)

キノコで覚醒するダニー

残ったのはダニーと陰毛を食べたクリスチャンです。
ジョシュもマークもいなくなりアレ?となる二人。さらに聖書ルビラダーも盗まれたと村が騒がしくなります。当然疑われるダニーとクリスチャン。
ここでクリスチャンは村のご婦人から呼び出されます。
聖書盗難について尋問されるのかと思いきや、
「あなたマヤのことどう思う?」
(マヤとは冒頭からチラチラ見てくるミートパイに陰毛を混入した赤毛の美少女です)
クリスチャン、村人が自分とマヤの子を求めていると察します。とりあえずその場は逃れるクリスチャン。

一方ダニーの方は女王を決めるダンスコンテストに参加することに。トレーラーでも流れるポールの周りをクルクル回るアレです。みんなと同じように白い民族衣装を着て、花飾りを身につけて、マジックマッシュルームティーを飲み干します。前回はバットトリップという結果に終わりましたが、今回は成功!自然と一体となり蟠りから解放されたかのような悟った表情を浮かべています。
見ていて感じたのが、村人と同じ格好をしたこの辺りから、ダニーに笑顔が増えたなという事です。
自分に心から共感してくれる者のいない孤独。そして自分の存在意義を見出せない彼女にとって、ホルガという共同体は救いになり得るのかもしれません。

始まるダンスバトル。最後まで踊り続けた者が女王の冠を戴くというシンプルなルールです。それはもう手を繋いでクルクルクルクル踊りまくります。ただ踊りゃいいってもんでもないらしく、ストップ!逆方向に!とか途中で邪魔が入ったりします。楽しそう。音楽もいいですね。次々と脱落者が出る中、余所者であるはずのダニーは中々粘ります。きっと三半規管が半端なく強いのでしょう。そして極限状態の中、マジックマッシュルームティーで最高にハイになったお陰かなんとダニーがスウェーデン語ペラペラになります!
「あなた話せるじゃない!」「私たちダンスで通じ合ってる!」て…
マジックマッシュルームってすごい!!!!!
キノコで覚醒したダニーに敵はなく、とうとう最後の一人となり見事メイクイーンに!デカい花冠を戴き一瞬にしてホルガの女王へと出世します。

ダンスのあとはみんなでご飯ですね。ハエのたかる肉料理やお花で飾られた食卓へ着席します。上座についたダニー。そういえばクリスチャンはどこ?と辺りを見れば、オッサンに囲まれてやたら顔色の悪いクリスチャンの姿を見つけます。クリスチャン、ダニーがスウェーデン語をマスターしている傍らでヤバいクスリを飲まされていたのでした。めっちゃキツいキノコだったんですかね?感覚が過敏になりすぎて、隣のオッサンに猫騙しをされただけで視界が覚束なくなるほど心身共にヤバい状態です。
そんなヤバいクリスチャンを他所にダニーはニシンを丸呑み(未遂)したり聖火リレーしたり人力車に乗ったりわりと女王を満喫します。そして五穀豊穣を祈るため少し離れた場へ移動…している間に満を持してクリスチャンとマヤがヤってしまいます

ガヤがスゴいベッド(?)シーン

お薬によってフラフラのクリスチャン、もう誘われるがままにマヤの元へ行ってしまいます。追い討ちとばかりにアッチの元気がでる粉を吸わされ準備は万端。(この村いろんなクスリがあるんですね)いざマヤの待つ部屋の扉を開けるとそこには、花々の上に身を横たえるマヤ……と一列になって待ち構える全裸のおばさま達。

エッ…??????????

いやもう一番エッ?なのはクリスチャンのはずなんですが花に誘われる蝶々のようにフラ〜とマヤの元へ歩み寄ります。この時点で全員全裸ですがモザイクはなし。そしていよいよ挿入…したのはいいが超至近距離で何か語りかけるおばちゃん!しかし止まらない腰!!喘ぎ出すマヤ!!喘ぎ出すおばちゃん達!!!

エッ?!?!?!?!?!?!?!

そうだった。この村は凡ゆる感覚を共有してるんでした。そんなわけで古屋の中は喘ぎ声の大合唱みたいになります。おばちゃん達も自らを慰めながら日頃の鬱憤を晴らすかの如き大声で喘ぎまくります。もうどんな顔して見てりゃいいのかわかりません。もちろんその大合唱は五穀豊穣の祈りを終えたダニーの耳にも届きました。ダニーは制止を振り切り(あんま強く引き止めてませんでしたが)扉の隙間から中を覗いてしまいます。ダニーショック。号泣しながら逃げるようにその場を離れます。家族になったホルガのみんなも声を揃えて泣き真似します。あっちで嬌声こっちで号泣ともうすごいことになってますね。盾と矛ではないんですが、大爆笑してる人と大号泣してる人が並んでたらどうするんでしょうか?そもそもそんな問題は起こらないので考えるだけ無駄なんでしょうか。
はい、そうこうしてる間にクリスチャンはフィニッシュします。笑っちゃうのが、クリスチャンのピストンを助ける様に後ろからおばちゃんが押し込むところですね。ていうかいくらクスリを盛られたとはいえちゃんと勃起するのがすごい。ムードもクソもない上何人もの他人に囲まれたら萎えそうなもんですが…。どうなんでしょう?
で、マヤは「赤ちゃんを感じる!」的なこと言いながら着床を促すようにゆりかごのような運動をするのですが、ここで私は思いました。

月経(レモネード事件)と時期が被ってるなら妊娠しづらいのでは……?

それともあれは経血じゃなかったのか…?祭りがここまで計画的ならこんなポカやらかすはずはないし血を保管しといたとか?んーなんかだんだん不快になってきました…
オエ…

そして用済みとなったクリスチャンは我に帰り、なりふり構わずフルチンで飛び出します。
モザイクなんか必要ないとばかりに手で股間をガードしながら全力疾走、とにかく明るいホルガ村を逃げ回り見つけた先の鶏古屋へ飛び込みます。しかし、そこで待っていたのは忘れていたサイモンの変わり果てた姿でした。やっぱりというか知ってたというか、コニーよりも先に帰ったのではなくコニーよりも先に殺されていたんですね。天井から吊るされ眼孔にはヒマワリ(?)を生けられ、極め付けは翼のように背中から引き摺り出された両肺…この肺、未だに動いてるように見えたんですが気のせいですかね。気のせいであって欲しいです。ある種の芸術作品のようでシンメトリーな絵面が結構綺麗でした。哀れっぽさもひとしおですが…。
調べてみたらこれは「血の鷲」という、実在する処刑方法で、生きたまま背中を開かれ肋骨を切り取られ肺を引き出されるという凄まじいものだそうで。公式サイトによるとこの時サイモンはまだ息をしていたそうです。気のせいじゃありませんでした。
しかし「血の鷲」が展示されているのが「鶏小屋」というのが、なんとも皮肉がきいてて最高ですね。

ところでこんな手の込んだ処刑をチャチャっとやってしまうホルガ村、相当手慣れてますね。
なんかサスペンスとかに出てくる死体(サイモンは生きてましたが)ってやたら凝った方法で展示されますが、解剖知識のない一般人には至難の技ではないでしょうか。某ハンニバルレクター博士ならまだしも…もしかすると、旅に出る「夏」世代が医学の道へと進み、そういった技術を村に輸入したのかもしれませんね。
そんなこんなでクリスチャン、これはヤベーと古屋から出ようと振り向くと、待ち構えていた男に妙な粉を嗅がされ気絶します。クリスチャン、短期間にヤバイもの摂取しすぎじゃなかろうか。

クライマックス

村人の中心に居るのは花で飾り付けられたメイクイーンダニーです。
気絶したクリスチャンも車椅子の上で目を覚まします。ところが、声も出ず手足も動かせない全身が麻痺している様な状態です。行末を見守ることしかできません。
ここで明かされる夏至祭のラストは、村から4名、外部から4名、そして今からダニーによって選出される1名の、計9名の生贄を捧げよというものでした。
これまでに死んだ人間をフワ〜っと思い出してみます。
村からは投身夫婦の2人
外部からはサイモン、コニー、ジョシュ、マークの4人
村の人数が足りませんがここは抜かりありません。既に立候補者が2名いたのです。序盤でマジックマッシュルームをくれたペレのジモティーその辺のおじさんです。
残すは9人目。候補者は動けないクリスチャンとくじで選ばれた男性のどちらかで、女王ダニーに選ぶ権利が与えられます。
ダニーが選んだのはクリスチャン。
ここで何故クリスチャンを選んだのかは想像するより外はありませんが、ダニーはクリスチャンの裏切り(正常な判断が出来ない状況下だったので仕方ないとは思いますが)で完全に吹っ切れたんじゃないでしょうか?ただでさえホルガという「家族」を拠り所に感じ始めていたので、クリスチャンは必要なくなったとか(自分の誕生日も忘れてたし)。そして自らが生まれ変わるため、クリスチャンを消し去る必要があったとか。クリスチャンからしてみれば踏んだり蹴ったりですよね。私も最初はハァ〜?!今まで自分に寄り添おうとしてくれた彼氏じゃろ?!と思ったのですが、そんな事はこれまでダニーが一番感じていたでしょう。だからこそ、この感情を捨て去る事でダニー自身が救済されたんじゃないでしょうか。ダニーが初めて自分のための選択をした瞬間だったのかなと思います。
クリスチャンからしてみれば本気でたまったもんじゃありませんが!!!!!

そして9人の生贄に選ばれたクリスチャン、熊さんにされてしまいます!
意味わかりませんね。いや意味はあるんです。
入村したときに、小さい檻に大きな熊さんが入っていたといいました。この熊さん、終盤に再登場したときは既に腹を掻っ捌かれ綺麗に整頓された臓物を取り除かれるところでした。しかしモツ取り出し係のこの男、他の村人にも解剖方法をレクチャーする手練れである事から察するに、血の鷲サイモンを手掛けたのも彼だったんじゃないですかね。
で、中身をすっかりくり抜かれた熊さんの中にクリスチャンがスッポリと入れられてしまいます。めちゃくちゃクオリティの高い熊の着ぐるみを着た状態で、口の穴から顔を覗かせる姿が状況と不釣り合いなほどかわいいというかオモロイというかこの後待ち受ける運命を考えると笑っちゃいけないんですがまあ笑っちゃいます。ていうか手足動かせないのに目だけ見えてるって恐怖ですよね。歯医者で麻酔打たれて口の中弄られるだけでも怖いのに抵抗もままならないまま熊さんの中に詰め込まれるとか恐ろしすぎて漏らしそうです。
熊は北欧神話のシンボルらしいです。なんでも、崇拝の対象になったり、戦士達が毛皮を着込んだり…でも熊になったクリスチャンへ向けられた言葉は正直あんまりポジティブなものではなかったので、良い意味ばかりではないのでしょうか。
そんな熊さんと化したクリスチャンは三角屋根の妙に新しい小屋に連れて行かれます。同じように、8名の生贄も小屋の中へ。皮を剥がされたマークやジョシュっぽいのもいます(書き漏らしてしまいましたが、ジョシュの足がどっかの家の生垣から突き出ているのをフルチンで逃げ惑うクリスチャンが発見するシーンがありました)。変色したコニーらしき死体もリヤカーに乗せられていましたが溺死とかしたんでしょうか。
村の立候補者2人も着席し、特別に何かようわからん液体を与えられます。ペレのジモティーには「痛みを感じなくなる」と、もう一人のオッサンには「恐怖を感じなくなる」と、プラシーボ効果を期待してかペロッと液体を舐めさせます。
熊さんクリスチャンは意識のあるままど真ん中に座らされます。この位置だと外からも丸見えです。
さていよいよ生贄を捧げる時。建物に火が放たれます。次々と燃えていく生贄たち。ペレのジモティーにはプラシーボ効果がガンギマリしているのか悲鳴ヒトツ上げませんが、もう一人のオッサンの方は効きが悪いのか絶叫します。まあ例え効果があっても、このオッサンに与えられたのは「恐れを感じなくなる薬」なのでどのみち痛みは感じるのでしょう。可哀想に…。
クリスチャンは気づいたらボウボウ燃えてました。炎の中浮かび上がる熊さんのシルエットがなんとも虚しい…。この小屋だけ新しいのはこうして儀式の度に建て替えるからで、ペレの両親が火事で死んだというのも生贄として立候補したからだと考えると辻褄が合います。

燃え盛る小屋を見て、ダニーは晴れやかな笑顔を浮かべるのでした。

おしまい

わからないこと

・90年に一度だと説明がつかない
72歳投身儀式、メイクイーンの人数など

・マヤの準備
経血の件

・ペレはダニーに恋してたのか
妙に絡んでたのはダニーをホルガに引き入れたかったから?

・一発でマヤの子供ができなかったらどうするの?
わかりません。万が一に備えてクリスチャンを確保した方が良かった気がします。

・ダニーがメイクイーンになるのは計画の内?
計画の内ではないと思います。なぜならメイクイーンを外から呼ぶ必要性がないから。男性を呼ぶのは外部の血を取り入れるため必須だったんでしょうが、その点から考えると女の用途は生贄くらいしかないんじゃないでしょうか?しかし生贄の人数はダニーを抜いても足りています。
そもそもダニーはホルガへ来る計画ではなかった。ホルガ旅行は、はじめは男子4人で行く計画だったはず…(と思いましたが、チケットの枚数を考えるに予定通りの人数ではあった?もしペレがダニーに恋していたのなら、夏至祭に乗じてダニーをホルガに招くため意図的に呼んだ可能性もありますね!)。内一人はホルガ出身のペレなので、生贄として必要な外部の5人(熊含む)はクリスチャン、ジョシュ、マークの3人+イギリスから連れてきた2人で足ります。
なので村に来た時点で、ダニーには殺されるかホルガの一員になるかの二択しか用意されていなかったのだと思います。結果ホルガの一員となる事を選びましたが、メイクイーンになったのはたまたまの偶然だったんじゃないですかね。ダンスバトルで勝つ保証なんてありませんし、キノコでまたぶっ飛ぶ可能性だって十分ですしね。ある意味ぶっ飛んだ結果にはなりましたが。

考察はリピートしてる方がより詳しく書いてるかと思うのでそちらをご覧になった方が何倍もためになるかと思います。

一回見た感想としては…まあ結構感想困るんですけど…文化の違いってすごいなあってのとクリスチャンほんと可愛そうだなって感じですかね。
そしてダニーはホルガで幸せになるのか…私はやがて今回の事もトラウマとして蘇る日が来るんじゃないかとそんな気がします。

書き始めたときは鑑賞二時間後なのに、気づけば5時間後になってました。

おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?