カレーライス / 遠藤賢司(1972)

フォーク全盛期に人気を博した『純音楽家』遠藤賢司の名曲。

三島由紀夫が割腹自殺したその日を、日常的な側面から歌にした曲です。

僕が生まれる10年も前の曲ですが、今の音楽から聴くことのできない『時代の空気感』が、当時の狭いアパートの埃っぽさとともに感じてきそう。

エネルギーに満ち溢れ、日本という国が大きく歩みだした激動の時代。
その時代をテレビが引っ張っていたのであろう、日々ブラウン管から流れてくるのはセンセーショナルな出来事。
なのに、どこか不感症で温度差がある日常を送っているような僕と君と猫のひと時。


野菜と一緒に手まで切ってしまった君と三島の割腹が同列の出来事として描かれていて、しかもその後カレーライスに埋没していく様が、不条理なようで、普遍的なものやなぁと。日常ってそんなんの積み重ね。

飾らず肥大化させず、日常をありのままで完結させているのに、やけに印象的。
「凄い。」と形容していいものか、でも凄い歌やなぁ。

最近知った曲で一番印象的。名曲です。

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