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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

青い保存記録のメモ

・前提として、「ともあれソシャゲは滅ぶべき」と思っている。

・加えて、当初のスタンスは「生徒に性的なアプローチを掛けるカス野郎を成熟した大人として持て囃すようなコンテンツに手を出す程、私は落ちぶれちゃいないが……」であり、根本的な感情は今でも覆らない。

・ただ4th PV を見ていたらときめく部分があったので、メインストーリーに触れることにした。エデン条約編を筆頭にプロットの評価が高いことは聞いていたので、その側面での期待が生じた。

4th PVより

・煌びやかなサイバーワールドは普通に好きであるし、記号的な美少女の乱立も表現手段の一つとして好きだ。

・エデン条約編の悪名高い必須戦闘(注: プレイ開始の少し前のアップデートで緩和された)を越えるのが当座の目標だったが、これは一週間程度であっさりクリアできた。周年記念のボーナスを活用できたおかげと考えると、普通は2,3倍の期間が掛かるのだろうか。

・ゲームシステムに関しては事前にあまり知らなかったのだが、自分がプレイしたものだと『宝石姫:Re』が近い。過去に「やればやる程QOLが下がる」という評価を下したDMMのR18ゲームと比較すれば課金圧は大分マシで、遊べないことも無いが、結局は数字の大小比較をやらされているだけという印象が拭えない。単純に楽しい瞬間が少なく、長期的に遊ぶにはモチベーションの維持が辛い。嫌ソシャゲ家なので、対人アリーナや陣営ボーナスが出てくるだけで気を削がれる。

・短期的に遊ぶ分にはやりようはあって、3章24話に備えていかに効率的に戦力を整えていくか、スキル情報を眺め、wikiで速習しながら考えるのは楽しかった。

・まだ最終編は未完なことを考えると、適当なところで切り上げて、次の周年イベントになった時にまた集中的にプレイしようかと思っている。

ストーリーとキャラに関して:

・タイトルのセンスがかなり好きだ。語感で期待感を煽りながら、読了後にはすとんと落ちるものが多い。特に『失ったもの、手放さなかったもの』『友情と勇気と光のロマン』『不可能な証明』等。

・ゼロ年代の美少女ゲームという評判は小耳に挟んでいたが、思っていた以上に巷ではそう言われていて、実際に読んだ印象としてもそうだった。特に、対策委員会編はミニマルな泣きゲーをやっているようで、とりわけ不思議な読後感だった。
・あの文量でホシノをヒロインとして見れるようになっているのは、構造の奇妙な作用と言うべきか。逆に、ホシノ以外の生徒の描写はかなり薄っぺらに感じてしまう歪な章だとも思ったが。

・パヴァーヌ編は、分かりやすくSF的な要素もあり、掘り下げの余地がかなりありそうだった。やたらと多い登場人物も含め、他のイベントも履修していることが前提だったのかもしれない。

・エデン条約編は何分、事前知識を付けてしまっていた為、身構えていて素直に楽しみ切れない部分もあったかもしれない。1~2章は良かったが、3~4章はプレイアブルキャラクターの好感度調整をどうするのだろうかと余計なことを考えながら生徒の一挙手一投足を見守っていた感がある。
・補習授業部の目的が、テスト勉強から武力衝突に、そして異教間融和にシフトしていく綺麗な筋書きが好きだ。それは全て他人の心に踏み込めないという『不可能な証明』に端を発していて、奇妙な一貫性があった。

・ゲヘナへの敵対心を始めとした学園内の憎悪が如何にして確立され、伝播・強化されていたのかという謎。キヴォトスに世代という概念があるのかよく分からない。時勢が時勢なので、トリニティ内の感情も、所与のものであるよりか、意図的に増幅されたものとして想像してしまう。この辺りの描写の薄さは条約編のウィークポイントだと思っているが、詳細に描写されたとてそれはそれで消化に難儀しそうではある。

・ハナコという汚言症の問題児がいることは事前に知っていたが、思ったより飲み込みやすいキャラクターだった。性欲が特定個人に向くことが少ないからだろうか。前世代的な美少女キャラ、例えば白井黒子よりは余程好感が持てる。
・彼女の人柄(本性)について記した他人の感想を眺めると、意外と相反する内容が書いてあったりする。結構解釈の別れるキャラクターなのか、と興味深かった。

・ミカは個人的に反応に困るキャラクターだった。自覚的に悪辣なキャラクターは好みであると同時に、"友情"を理由に内面化した差別感情を擁護する人間はかなり嫌いだ。(敢えて言語化したせいで好感度が明確なマイナスの域に傾いてしまったかもしれない)

・ヒフミとアズサの交感が更に見たくなったは言うまでもない。過去イベントの筋書きについては一部しか知らないのだが、『夏空のウィッシュリスト』は復刻希望の筆頭である。

後日追記

時は過ぎて2024初頭、最終編は読みかけのまま、ゲームからはすっかり離れてしまった。カルバノグや百花繚乱のシナリオが追加されたらしいが、内容に関しては伝聞が届くのみである。某シナリオの悪評により、続きを読む意欲は大分萎んでしまったのが正直なところだ。

その一方、積極的な擁護者はいるようで、次のような夥しい熱量の感想を見かけた。

精読した訳では無いが、面白い感想だと思った。素人なりに、テクストの外部の重要性は理解しているつもりだ。顔も知らない一読者の批評のおかげで一生に何回出会えるかというレベルの面白さを見出せた作品もあるし、翻訳小説の巻末解説に対して「何てつまらない読み方をするんだ」と嘆いたこともある。

現状、自分はそこまでコントロヴァーシャルかつハイコンテキストな物語を楽しむ精神的余力を持っていないので、あくまで他人事としての思いになるが、こんな風に全力でテキストと相対している人間に畏敬の念を覚えるし、開かれた場にこういう思考が置かれていることに安堵する。物語は面白く読まれるべきだし、それ以上に興味深く読まれるべきだと思う。

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