国語の先生が選ぶ素敵絵本 no.2 「そらまめくんとおまめのなかま」小学館
こんにちは。現在1歳児の息子を子育て中の中学校国語科教員です。この「国語の先生が選ぶ素敵絵本」では、息子に読んだ絵本の中から「これは…!」と思った1冊を自分の備忘録も兼ねて記録していきたいと思います。
今日の1冊は、小学館の「そらまめくんとおまめのなかま」(2019年)です。
気持ちの良いリズムで読める言葉の並び
えだまめにグリーンピース、ピーナッツ、さやえんどう…。この絵本は、そらまめくんの仲間のおまめたちが紹介されていくというものです。豆のさやが現れ、「なかにいるのは どんなまめ?」と問いかけたあと、ページをめくるとなかにいるおまめが出てくる、という問いと答えの繰り返しになっています。
よくあるシンプルな構成の絵本なのですが、一番の魅力は言葉のリズム。ちょっと声に出して読んでみてください。
「ちいさいね なかにいるのは どんなまめ?」
「な~がいね なかにいるのは どんなまめ?」
「かたそうね なかにいるのは どんなまめ?」
一定のリズムが刻まれるのが感じられませんか?
この「どんなまめ?」という問いかけは、全て5音、7音、5音という定型になっているのです。
5・7・5、というと俳句の音数が多いと思います。でも、それだけではありません。日本語において、5音、7音というのは、その組み合わせ方に関わらず、読んでいる私達にとって心地よいリズムがうまれる音数なのです。
タイトルの「そらまめくんと おまめのなかま」も7音の繰り返しになっていますし、一番最後のページの「みんななかよし おまめのなかま」も同様です。
このようなリズムがあると、読んでいる方も聞いている方も心地よくなるので、私は大好きです。たとえ声に出して読まなかったとしても、私達は心の中で声を出して読んでいることが多いので、言葉のリズムを自然と感じているはずです。
「おおきい」「ちいさい」「ながい」「かたい」
そしてこの絵本のもうひとつ良いところは、形容詞がたくさん出てくるところ。豆の形状とともに「おおきい」「ちいさい」「かたい」「やわらかい」などの形容詞に親しむことができます。
子どもの発語は「ママ」や「わんわん」などの名詞から始まります。次の二語文は「まんま」+「たべる」、「おそと」+「いく」等の名詞+動詞の形をとることがほとんどでしょう。でも、言葉をさらに豊かにするのは、修飾語だと思います。大人気の「だるまさん が」シリーズは助詞の使い方を学ぶことができますが、この「そらまめくん」シリーズは形容詞を学ぶことができるので、おすすめです。
もしも出産祝いのプレゼントで絵本を考えている方はこのそらまめくんの赤ちゃん絵本シリーズもぜひ候補にいれてみてください。
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