紙の月 レビュー(小さな悪への一歩が大きな闇へ誘う)
ちょっとした出来心が理性を壊していく。
横領や窃盗に手を染める人間の生々しさがありました。
最初は借りただけ、すぐ返すから。
少額懐に入れてみる。
バレない。
慣れてきたら多額へエスカレート。
バレる。
リアルです。
真面目な優等生だった人間が勘違いの正義の名のもとに人の金を奪う。
そして、その金で豪遊し、身を滅ぼしていく。
観ていて飽きない作品でした。
ストーリーが素晴らしく、最後までつながりある形だったのでスッと入ってきました。
若者と不倫の恋に落ち、壊れていく宮沢りえさんは狂気的でしたが、
清潔感ある彼女が演じたからなのか、そこまで不快感を感じませんでした。
小林聡美さん演じる同じ優等生タイプの存在がいたことで、
本当の正義と歪んだ正義が対称的に描かれていたのが印象的でした。
困っている人を助ける、彼らに施しを与えるっていうのがテーマになっていましたが、
誰がどのように与えるのかっていうことが大切な気がしました。
人から奪ったものを与えるのは当然ですが許されません。
その点が終盤で表現されてました。
正義を振りかざす人間は得てして悪事を働いても反省しません。
昨今の自粛警察もそうですが、本人は悪いことをしたと思っていないそうです。
すなわち大変たちが悪い(笑)
今作での宮沢りえさん演じた役もそのタイプのように感じました。
終始展開が気になる面白い作品でした。
気になった方は是非。
以上、「紙の月」レビューでした。
87点。
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