戸建てを買うとなぜもやしの髭を取りたくなるのか?
こんばんは。
この題名、書店に並んでいる、意味不明の自己啓発ハウツー本みたいです。
かなり前に見た、忘れられない一戸建てのCMがある。
細かいところがうろ覚えで申し訳ないが、新築一戸建てを買った家のお母さんが、
「家を買ったらモヤシの髭を取る余裕ができました」
のようなことを、嬉しそうに言っている。
「だから・家・建てよう」
というダメダメキャッチが浮かんできそうなこのCMと見た瞬間、
はあ?
別にアパートでも社宅でも、モヤシの髭を取りたかったら取ればいいじゃん?
というより、旦那が自分の人生を質草に差し出して、ローンで買った家で、1袋39円のモヤシの髭を取ってる場合じゃないよね?
そんなことする時間あったら、早く自分も働きに出て借金返済を助けて、80円出して髭なしもやしを買った方がいいんじゃないの?
と思ってしまった。
小学生の頃から私は、この手の広告や新聞記事を右から左に流せず、全ツッコミを入れていくひねくれた子だった。
こんなのに引っかかって家建てる〇〇な人なんていないよね?と思っていた。
最近このCMのことを思い出し、
これはいったい誰に刺さると思って作ったのかもう一度考えてみることにした。
このCMの何が、私の琴線ではなく逆鱗線に触れるのだろう。
「宣伝とは、売るものの良い所を主張するのではなく、それを手に入れた人がいかに幸せになるかを示すべきである」
宣伝の王道理論だろうが、それに沿えばこのCMは及第点。
念願の一戸建てを新築し、時間的・精神的余裕ができた奥さんが、手をかけてご飯を作る時間が持てて幸せ一杯!……
果たしてそうだろうか?
普通に考えたら、
①アパートや社宅から戸建てへ引っ越し、自分もフルタイム勤務
→土地も購入となると、今住んでいるアパートや社宅より郊外へ行く選択肢となり、自分もフルタイムの場合、通勤時間がさらに長くなり、時間的にモヤシの髭を取っている余裕には程遠い。
②アパートや社宅から戸建てへ引っ越し、自分は専業主婦。
→このタイプが一番時間的に余裕はできそう、しかし配偶者のみが稼がなければならない片肺飛行なので、精神的余裕は無いと見た。髭なしもやしを買っている場合ではない。
③夫婦どちらかの実家暮らしから戸建てへ引っ越し
→これは頭金が貯めやすいタイプだから、精神的余裕は①②に比べてあるとは見えるが、下手をするとどちらかの実家から「スープの冷めない距離」に家を求めることになりがちで、真の精神的余裕は?
他にもいろいろなタイプの組み合わせが考えられるが、だいたいこのあたりだろう。
結局誰に向けたCMなのか?
②の夫婦だろうが、その中でも、旦那一人でも十分あまりあるほど稼いでいるカップルには刺さる……いや違う。
有り余るほど稼いでいる人はそもそも、80円出して髭なしもやしを買えばいい。
そっか、すべての原因は
モヤシの髭を取る、という行為が貧乏くさい感じしかしない、ということに尽きるのではないか?
結論:モヤシの髭のために一戸建て4ケタ万円の出費を決める、
というリアリティの無さが原因か。
これを
「ていねいなくらし」
という取り方ができる人に刺さるCM、ということなのかな。
と、1袋1.9ユーロもする髭つきもやしを炒めながら思った次第です。