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【2】はじまりはネッ友


家庭内のいざこざで人間不信になり
ひたすら家にこもって子供2人の世話と
家事にあけくれていた私は、気づけば40歳になっていた。

子供2人産んで身なりもかまわず
化粧水なんか5〜6年はつけてなかった。
化粧もせず服も古いものばかりでボロボロ。

自己肯定感なんか皆無。
若さもお金もない。


離婚したいけど子供のことや
自分の先を考えると動けない。
このまま老いて死んでいくんだろうかと
真っ暗な中にいたあの頃。

気分転換をしようと
その時世間で人気だった
ソーシャルゲームを始めることにした。

いくつかの候補から選んだ、
マルチプレイが可能なソーシャルゲーム。


その時は、マルチプレイができることは
なにも考えていなかった。


重視したのは、人気であるということだけ。

人気=おもしろいはずだからね。



学生時代からゲームは好きだったので
余裕だろうと思いきや、最近のゲームは
めちゃくちゃ色々な要素が多くて難しかった。

脳トレでもしてる気分で、
毎日子供が寝たあとに、少しずつ進めていた。

もともと研究熱心で凝り性なわたしは、
そのゲームをしているYouTuberの
動画を見たり、攻略サイトを見たりしながら
コツコツと勉強しながらやった。

それでも限界があって、苦戦していたけれど
ゲームをしている間は現実逃避ができたから。

だから黙々としてた。



そんなある日、
一定のレベルに上がったのち
知らないアカウントが私の世界に
アクセスしてきた。


そっか、このゲームマルチプレイできるから知らないひとが入って来れるのか。

おっかなびっくりしながら、
世界に入っていただくと、来たのは…



礼儀正しく、親切な男の子。

色々助けてくれて、「フレンドになろう」と言ってくれた。


久しぶりに話した家族以外の人間との会話にワクワクした。
楽しかった。


こんなに高揚する気持ちになれたのは久しぶりな気がする。
もっと話したい。


でも、その子と話して、彼が未成年の学生であることがわかった。



ごめん、私はきみよりずっと大人。

歳を重ねた自分の立場を思い出して、
切なくなった。

この彼みたいに無邪気にゲームに
のめりこめる立場じゃない。


でもその日を境に、学生の彼は、
定期的に私の世界に来て助けてくれるようになった。

さらに、豊富な知識で
私のキャラ育成なども見てくれる頼もしい存在だった。


「Discordのアカウントある?
それがあれば俺と話せるから」


そう言って、Discordという通話やチャットができるアプリのほうでも繋がって彼と通話をするようになった。

これが私のはじめてのゲームのネッ友だった。

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