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映画「スタートアップ・ガールズ」
上白石萌音と山崎紘菜の出演している新作映画。
スタートアップがそもそもわからない、なんとなくしかわからない。のだが観てみた。平日の昼間の日比谷の劇場はなぜかソロのシニア男性が多い。なぜだ。彼女たちのファンなのか。スタートアップする年ではない。なぜだ。まぁいい。
冒頭、上白石萌音がやってきて初めて二人が会うシーンの設定がわからない(そもそもセリフがよく聞こえない)のでつまづいたが、いざ物語が始めると、典型的なストーリーラインだとは言え、凸凹コンビを観ている楽しみは最低限担保されている。上白石も山崎も技術があるようには感じないけれど、そこにいることの違和感とか、そうじゃないんだこうなんだという苛立ちや勢いみたいなものはドキュメントとして記録されている気がしてついつい観てしまう。
カラオケシーンは問題だ。果たして誰か真剣に彼女たちのキーを確認したのだろうか。まさかその検証すらせずにその場の勢いで原曲キーで歌わせたりしていないだろうか。そのくらい、歌手としても活動している上白石の歌声も、ましてや山崎の歌声も堪能できない。映画の中盤以降で主人公たちが思いの丈をぶつけたり、物語を強く展開させたりするための常套手段としてカラオケはごく自然な素振りでさまざまな映画で頻繁に使われるけれど、ここまでその効果を出せていないカラオケシーンも珍しい。
スタートアップというものの存在や機能や魅力はそれなりにきちんと伝わってきた。山本耕史が不自然なキャラクターすぎて気になってしまうとしてもだ。そういう意味では成功している映画なのかもしれない。せっかくならばもう少し上手く見せて欲しかった。そして、やっぱり誰に向けた映画なのかはよくわからないままなのだった。少なくともソロのおじさんではないだろう。企業のスポンサー映画は、やっぱり難しい。