第25話『星々の器』
冬至の日、通行許可証を持っている人だけが中に入れる城塞に囲まれた街があります。
その町の中央にある塔の地下に、正しい道順で入っていくと、柔らかな器の様な何かを見ることができます。
その器の中をのぞくと、星々がきらめき、これから先のことも、これまでのことも全て見通せるということです。
この器こそが聖杯だと考えられ、多くの騎士がこの街を目指しました。
多くの冒険が繰り返されましたが、そもそもほとんどの騎士が街にはたどり着けませんでした。
後に聖杯を発見する騎士、ガラハットが正しい導きを得てこの城塞に至り、この盃を手にしましたが、盃はあまりにも繊細で軟弱だったため、ガラハットの手の中で一度粉々に砕け散ってしまいました。
驚き落胆したガラハットが神に祈ったところ、盃は再び形を取り戻しましたが、器の中にきらめく星辰の様子はそれまでとは全く違っていたということです。