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「しあわせのかおり」2月26日前口上

ここしばらくの、理解とは何かと考え続けている流れも、そろそろ飽きてきました。
とはいえ、よくよく考えてみればこれも、自分の習性のひとつという感じもあります。普段もやはり考えており、単に強く思うかどうかだけというところでしょうか。
父の従妹なのに歳下という親類が居るんですが、家が近所ということもあって、最近ちょこちょこと顔を会わせる機会が増えています。厳密に数えると、この「ちょこちょこ」の頻度は高いのか低いのかということになりますが、こういうのも、単にタイミングが合うのか、わざわざ合わせるのか、そもそもそれを意識するかしないかということなのかで、単純に全体の時間に対しての割合で「ちょこちょこ」と言えるのかどうかという判断はできない様に思います。

そんなこんなで、その年下のおばが家に寄ったので、なんとなく台所でお茶を飲んでいた日があったんですが、家の外でサイレンの音がして、消防自動車でも出動したのかと思って何気なく外を見たところ、パトカーでした。
パトカーがこんなにも長くサイレンを鳴らしてなんだろうかと思っていたら、隣の工場の敷地に入っていきます。
何事かということで、母も加わり雁首そろえて台所の窓からその様子を見ることになるわけですが、もう完全に野次馬です。
次々とパトカーが集まってきて、警察官が集合しはじめます。なんやかんやでパトカーは五台ほども集まったでしょうか。
ただ、そんな状態でも隣の工場の仕事の音は特に止まらず、事務所の人や工場の人が警官を迎え入れたりということもありませんし、救急車の音も特に無いので、今何か流血沙汰が起きたとかいうことでは無さそうだと、言いながらもとにかく目が離せません。

そうこうしているうちに、近所のお父さんが警官たちを遠巻きにしながら工場の事務所に入っていき、そう時間も経たずに出てきたので、話しを聞こうと思って外に出たところ、近所の皆さんが工場を遠巻きに眺めつつ集まっていました。
聞けば、工場の方でも事態を把握しておらず、どうやら警察官と話をしている白いズポンのアニキが原因で、これだけのパトカーが集合したらしいということでした。
通報したのも工場の人なのか、そもそもパトカーが彼を追いかけていて、たまたま工場の駐車場で追跡が決着したのかもわからないという有様。
本当にこちらとしては、道を挟んで遠巻きに警官の団子と何か話しをしている彼を見ているより他にはなにもできません。

1. 工場か事務所の人をストーキングしている人が現れたので通報。
2. パトカーが彼をここに追い詰めた。

その場にいた近所のお父さんたちも、誰も詳細を把握しておらず、結局は全く不確かな推論を共有するしかありません。
白いズボンのアニキが何者で、何をしている状態なのか、工場の事務所でもよくわからなかったということで、敢えて警官を捕まえて聞こうという人も居ませんでした。
そんな状態で台所に戻って母とおばに報告したところ、二人とも口をそろえて「やだ、気持ち悪い」と。確かにそれ以上のことは言えません。

結局、事態の詳細はまだ把握していませんが、目の前でこうも簡単にわけのわからないことが起こるのだということを実感しました。
母とおばの「あそこの男の人が何かした人で、彼のためにパトカーが集まっている。なんなのかわからないから気色悪い」という感想は、二人揃って口をついて出たわけで、極めて自然な反応だと思いますが、例えばこれを厳密に考えてみると、「知らない、わからないからといって否定から入るのは間違いのもと」というお題にも、簡単につなげられる気がします。
しかし、そういう原則で常に事にあたれるかといえば、やはり、そう意識していられるかどうかにかかっているものだと、そんな風に考えた次第。

さらに考察は続けられますが、ひとまず、しあわせの香りのお料理をお楽しみください。
そうこうしているうちに、お芝居が始まります。

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