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演劇だ、演劇。演劇離れがあるのなら、新たに呼び込むんだよ。ということで。

大阪で公演を打つ先輩が、客の入りが悪くてドキドキしているという。
次の週に富山県で公演を打つ我々も、客の入りが悪くてドキドキしている。

通り一遍の、コンテンツがどうのこうととかいう分析は念頭に置いておいてもらうとして、ここでは割愛する。様々なものから様々に人が離れているし、そもそも人がいなくなっている。
日本国民は貧乏になり、同時に無料の暇つぶしでも十分に時間を過ごすことができる様になっている。
現状、無料で時間を消費していること、消費しやすいものに乏しくなった金が流れていく傾向にあり、こうした世の中の流れというのは、紛れもない事実。
「そんなもんわざわざ選ばない」というのは、選べるものがあふれかえっている今、何に対しても言えることなので、前置きと「わざわざ対策」はほどほどにして、とりあえず、富山県の田舎でのんびりと暮らせるおかげで、好き放題で演劇自体の模索ができています。ということをお知らせしたいところ。

予備知識がもうちょっと欲しいなら、劇団血パンダのあらましと団員の紹介は以下。10月26日、27日に公演があります。
今からほんのりとですますでいきます。

そもそもずっと模索しているだけれど、今回の公演はいつもより明確に、「演劇が人に美的体験をもたらすには」どうしたらいいのかという試行錯誤のひとつの地点なので、鑑賞者ひとりひとりの来し方と行末も同時に刺激する現在進行が展開されます。
「フィクションを見る」「映画ではなく演劇を見る」ことについて人が感じることのできそうな知的刺激の仕組みについて、台本を書いた私、仲が、今の知見と能力でねじ込めそうなものは、概ね綺麗に盛り込みました。
演劇を見ることになるので、目の前で生身の人間がフィクションを立ち上げていることについてと、そのフィクションの内容と、見ている自分自身についてを扱っています。

必然的に、「自分は幻想文学やメタフィクションの構造に詳しいぞ」と自負のある人は、なんらかのパズルのピースをあらかじめ持っている可能性があるので、きっと余裕を持って楽しめる筈。
文学かぶれとか、文芸者、シネフィルなみなさんには、よりおすすめな演劇になっていると思われます。
近所で、そんな感じで振り切っている作る側の人間も少ないので、友達がほしいです。

俳優たちは、各々の個体性に従って戯曲を立ち上げますが、基本的に作演出の仲は、90年代関西の「静かな演劇」から流れてきているので、「表現を見せる」熱量の演技ではなく、「そのままを見て取らせる」式のふるまいをします。
ただし、現在血パンダの取り組みとして「セリフを言ったら負け」「なにかをしたら負け」というルールの明確な言語化をすすめていて、これはとにかく、「表現」しようとして全てが記号化していくのは、時間の中に何らかの圧力を生じさせるために、生身の人間が実演するパフォーミングアーツの可能性を見た場合には、かえって非効率なのではあるまいか。という問いに根差した模索となっております。記号よりも文脈。なにかを見せるのではなく、見ざるを得ない状態を作って圧していく式という塩梅です。

そんなわけで、今回の公演『追走する円環』は、ある程度明確な構造と法則に従って進行しつつ、やや詩的なセリフをかなり日常会話に近いタイミングで会話として立ち上げていくにも関わらず、これを見る人にとっては、他人の会話の盗み聞きとはまた違う種類の意味の奔流、情報量との対峙を体験してもらう様に準備しています。
客席に来ていただくと、結果的に、否応なく展開していくものを見ながらじっと動けないで頭を働かせる状態になるわけですが、昨日この話を、お世話になっているマリンバ奏者にしたところ、「悪夢を見ている感じか!」と見事に言い当てられたので、ここにも記しておきます。
この演劇として見える様子のそこかしこに、目論見通りの美的体験が生じれば、観劇自体の快楽について、観客となったみなさん一人一人の問いへの回答のひとつとなり、問い自体を研ぎ澄ますための糧になりたいのでした。

劇団血パンダは、「なぜ、そんな名前なのか?」という問いを誘発し、「実はその問いを誘発する目的でつけた意味のない名前です」と答えるための劇団名で、そんな連中の「演劇」自体に生じる警戒心は本物のはず。まずは、その警戒心を裏切るスリルからどうだろう。
多くの自分自身を裏切る行為の中でも、かなり安全な方なので、オススメです。

遠くから交通費と宿代を使ってやってきても、近所で見られる代わりのものや演劇が思い当たることもあるまいと思うので、全国各地からの来場を待っています。
むしろ、うちの近所におまえらと似通った感じで、もっと面白い劇団があるぞ、とか、似た様なことを考えていたけど、これはどう扱うんだとか、そういう話ができれば、余計にありがたいです。田舎でやっている弊害が、まさにそのあたりに尽きる感じ。お願いします。

血パンダのYoutubeチャンネルで、今回の公演の稽古を垂れ流しています。ネタバレもへったくれもなく、本当に無造作に全垂れ流しなので、良い様にご利用ください。

会場の内川Studioのある富山県射水市の旧新湊エリアは、なんせ寿司が安くて美味いので、ぜひ回っていないところでどうぞ。観劇前にランチで済ませておく感じがオススメです。

公演日:2024年10月26日(土)/27日(日)
開演:15時/18時 (30分前開場)
場所:内川Studio(射水市本町3丁目4−13
料金:2,500円(前売りのみ)リピート1,000円
チケットはPeatixにて販売しております。https://blood-panda.peatix.com/


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