早稲田大学漕艇部における社会調査実習が始動しました!!

3度目の緊急事態宣言が発令され、手放しに喜べないGWとなってしまいましたが、皆さま如何お過ごしでしょうか。

中澤ゼミでは今学期から対面授業が本格的に再スタートし、久しぶりに(人によっては1年ぶり!)ゼミ生同士が顔を合わせることができました。やっぱり対面っていいですね。

さて、現在中澤ゼミ4年では、これまで学んだ方法論を踏まえて、社会調査を実践しています。今年は漕艇部(「そうていぶ」って読みます。ボート競技のことです。)を対象に調査をすすめていきます。

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3大早慶戦・世界3大レガッタの一つでもある早慶レガッタの様子

(画像:ニッポン放送NEWS ONLINEより)


そもそも「社会調査」ってなんぞや??という方向けに、中の人の復習も兼ねて簡単に説明します。以下の内容は、去年ゼミで読み進めた「社会調査の考え方【上】(佐藤郁哉, 東京大学出版会, 2015)」を中心にまとめたものです。

社会学小辞典(有斐閣,1977)によると、社会調査とは

「一定の社会または社会集団における社会集団における社会現象に関して、科学的に、現地調査により直接的に、データを収集し、記述(かつ分析)する過程、およびその方法をいう(以下略)」

と書かれています。なんか分かったようで分かりにくいですね笑

質の良い社会調査を達成するために重要な要素は、以下の3点が挙げられます。

①調査の目的は「新しい知識や情報」を得ること
②その目的を達成するための手段は、「システマティックな探求」であること
「筋の良い問い」に対する「筋の良い答え」を得ていること

各論について少し補足をします。


①社会調査というのは、まだ誰にもよく分かっていない事柄があるからこそ、その事柄に関するさまざまな事実を新しい情報・知見として提供するために行われます。そのため、社会調査を行う際には日常的な疑問を含むさまざまな問いに関して、次の2点について確認した上で作業を進めていかなければなりません。

・現時点でどこまでが既によく知られている事実なのか

・どこからが未知であり、かつ、答えを得ることによって理論的・社会的意義のある問題なのか

これらが、いわゆる「問題意識の明確化」「問題の定式化」などと呼ばれているプロセスとなります。


②「システマティックな探求」というのは、通常、社会科学の領域において広く認められている定番の手順や方法を踏まえた調査のことを指します。「システマティックな探求」を達成するための要素は、大きく分けて以下の3つのカテゴリーに分類されます。

・理論:明確な「理論的根拠」に基づいたり、「先行研究」を踏まえたりして、適切な問い・答えが導かれている(巨人の肩の上に乗る。アイザック・ニュートンが引用したことで有名な言葉です)

・データ:良質のデータが確実な「実証的根拠」として示されている

・方法:「的確な調査技法」を用いてデータの収集が行われ、「適切な推論技法」によってデータと理論、問いと仮説との対応関係が明らかにされている

この3つがバランスの取れた関係で満たされていることが、理想的な社会調査で重要となります。逆に言えば、これらの要件のいずれか(あるいは全て)に致命的な問題がある場合は、欠陥調査となってしまいます。


③良質な答えを導き出すには、良質な「問い」を設定することが何よりも大切です。「問い」を立てられた時点で社会調査の8割は完成している、とまで言い切る社会学者もいます。

筋の良い「問い」を立てるために必要な条件には以下の3つが挙げられます。

実証可能性:データに基づいて答えを出すことが出来るか?

価値・意義:答えを出すことに学問的・社会的・実務的価値があるか?

資源的条件:経費・時間などの制約条件の範囲内で答えを求められるか?(身の丈に合った問い)

また、「問い」は大きく分けて以下の2種類に分けられます。

・Whatの問い(どうなっているのか?):事実関係に関わる問い・物事についての記述に関わる問い
e.g. 早稲田大学漕艇部員の社会的バックグラウンド(親の年収・家族構成など)はどうなっているのか

・WHYの問い(なぜ、そうなっているのか?):因果関係に関わる問い・物事についての説明に関わる問い
e.g. なぜ早稲田大学漕艇部には〇〇(変な風習・伝統)が発生したのか


以上の3点が、質の良い社会調査を行うために必要な要素となります。

私たちは、来週のゼミまでに

・社会調査の進め方についての方針

・調査テーマの設定

・大まかなスケジュール

の3点について決定をするために現在活動をしています。


……お気づきでしょうか

社会調査において最も核となる「問い」について、私たちは敢えてまだ定めません。

次回のnoteではその理由と、プロジェクトについて具体的に決定した事柄について発信したいと思います。

ここまで読んでくださった方へ、本当にありがとうございました!!!!!

皆さまが私の大切なモチベーションです。


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