【エルムS2024】ドゥラエレーデ、プロミストウォリア、ミトノオーの先手争いで悪魔的ハイペースか!?出走馬徹底考察!
皆さんご機嫌いかがですか。中崎です。
8月4日(日)に札幌競馬場で行われます「エルムS」に出走予定の注目馬について、血統分析、アビリティ分析を中心に「エルムS」への展望をお伝え致します。
エルムSを十分に楽しむためにも、各馬の考察は事前知識になりますので、是非最後まで御覧いただければ幸いです。
◆血統傾向について
今年のエルムステークスは例年通り、札幌ダ1700mでの開催となります。
JRAの競馬場は芝コースの内側にダートコースがある関係上、コーナー角度が芝のレースよりもきつく、器用さが求められやすい点が、JRAのダート競馬全体の総論ではありますが、その中でも札幌のダートコースは比較的コーナー角度は大きく、京都のダートコース程度のコーナー角度です。
コーナー角度の大きさは『阪神ダ』→『東京ダ』→『京都ダ』→『札幌ダ』の順で覚えておけば良いと思います。
ですので、札幌ダートは、GⅠチャンピオンズCが行われる中京のダートコースよりも圧倒的にコーナー角度は大きいため、ある意味進路取りはフェアで、中京ダートのようにインコースを通らないと勝負にならないというコースではないという点はしっかりと押さえておきたいポイントです。
ということで、2019年以降の札幌ダートで行われたエルムSと、先週の札幌ダートで行われたレースを中心とした血統分析を行いましたので、今年のエルムSで好走するために重要な血統を4つ挙げさせていただきます。
今回の4つの重要血統は、ぞれぞれ一つずつが大変重要な血統ですので、エルムSに限らず、札幌ダートのレース全体で有用性があるので、ぜひ参考にしていただけばと思います。
それでは、この血統傾向を参考にしつつ、注目馬の考察をしていきたいと考えております。
◆サヴァ
◇前走回顧
▶前走の大沼Sでのサヴァの走りですが、3番枠から道中はロスなく内ラチ沿いを回ってくる競馬でした。
▶3角入口辺りから他馬にスピード負けてしまいポジションを落とすなど、コーナー加速では分が悪い面を見せる走りで、4角では2着ナチュラルハイに外から一旦交わされています。
▶ただ、直線ではレースラップが【12.8-13.1】と失速ラップかつ時計が掛かる消耗戦を、内から渋太く伸びて、差し切る競馬でした。
▶実力が出やすい消耗戦で、今回も出走予定の『ナチュラルハイ』『テーオードレフォン』『フルム』『タガノクリステル』に先着しており、今回のメンバーに入れば当然上位の能力を持っていると評価しなければいけいない馬という見立てです。
◇血統
▶お母さんの『ダイワバーガンディ』がJRAのダートで2勝を挙げた競走馬で、ダイワバーガンディの産駒はデビューした5頭中3頭がJRAで勝利を挙げており、その3頭全てがダートで勝利を挙げているダート適性に秀でた繁殖牝馬という評価です。
▶サヴァはお母さんのダイワバーガンディが12歳の時の産駒となります。
▶配合型としては、『Robertoのクロス(5×3)』が特徴的で、エルムSの血統傾向にも合致しており、パワーやスタミナ、底力を感じる走りをするサヴァの源泉となっていますし、さらに『Ribotを(7+7×5)』を持っていることでより、パワーに振れた血統構成になっているという評価です。
◇アビリティ分析
▶能力的には芝でもリステッド競走を勝っているように競走能力のベースが高い印象ですし、特別登録のある『テーオードレフォン』『タガノクリステル』に直近2走で先着をしているなど、評価すべき点はありますが、重賞戦線でゴリゴリと活躍しているような馬との対戦歴がほとんどないため、今回のエルムSは能力面では試金石の一戦となりそうです。
▶半兄の『ヤマノマタカ』が活躍したのはダートの2000m以上の距離だったことを考えると、サヴァ自身もダートで距離を伸ばして良いタイプなのかも知れません。
▶レース後のジョッキーコメントにもあるようにジリ脚タイプで直線では粘り強く末脚を伸ばすタイプでもあるので、ペースは前半から流れて、後半は失速ラップかつ時計が掛かった方が、相対的に浮上してくるという評価をしており、逃げ馬が作るペースは重要になってくる印象です。
▶また、前走の函館のダートコースで見せた通り、コーナリング性能に乏しく、3角に入ってすぐ周りの馬とのスピード差が如実になっていることからも、札幌競馬場は初めてではありますが、函館から札幌に替わってコーナー角度が緩くなる点はプラスという評価です。
▶また、内枠も馬群での追走もこなすので、ダート馬としては比較的注文が付かない点もこの馬のストロングポイントという評価をしています。
◇エルムSでのポイント
・札幌替わり◎⇔実績▲
▶ローテは中5週と間隔は詰めても大丈夫なタイプですが、年明けからコンスタントにレースを使ってきて、エルムSで今年5戦目となるため、上積みまでは期待するのは酷なのかなという見立てです。
▶さらに付け加えると、直近は馬体重の増減が少なかった馬ですが、前走に関しては-6㎏と仕上げてきた感があったので、その観点からも中5週というレース間隔での上積みには期待すべきではないかなという見解です。
▶特に1週前の調整は映像がなかったので、調子の良し悪しは測りかねる部分があるので、当週の調整内容には注目をしたいと考えています。
▶前走の大沼Sは適性的に向かない小回りコースで、3~4角でポジションを下げながらも、直線だけでひっくり返す競馬内容で、能力がないと難しい競馬をしている点は好評価ですが、
▶ただここまで対戦してきてメンバーを見渡しても、重賞で好走できるだけの能力値は測りかねるという見立てですので、
▶先ほども述べた通り、今回のエルムSが試金石になるという評価です。
▶コーナー加速を苦にしている馬の札幌替わりはプラスですので、上りが掛かるラップになった際に、馬券に絡んでくれればなといった見解です。
◆シルトプレ
◇前走回顧
▶前走の赤レンガ記念でのシルトプレの走りですが、スタート後にごちゃついて接触する場面もありましたが、逃げ・先行馬を見る離れた4番手からの競馬でした。
▶勝ち馬の『ベルピット』が3角過ぎから仕掛けて、楽な手応えで先頭に立つのを、シルトプレは3~4角を内を掬う競馬で距離を詰めはしましたが、
▶直線では『ベルピット』に突き放されてしまい、力の違いを感じさせられる競馬でした。
▶3着『ケイアイパープル』、5着『スワーヴアラミス』などダート重賞馬には先着しているものの、『ベルピット』相手には全く歯が立たなかった点を考慮すると、現状の能力で中央ダート重賞に手が届くかどうかと言われると苦しい立場なのかなという評価です。
◇血統
▶お母さんの『エアディケム』はJRAで1戦未勝利の競走馬で、産駒にもシルトプレ以外にはこれとった活躍馬はなく、牝系の活力にはやや乏しい血統背景です。
▶シルトプレはお母さんのエアディケムが17歳時の産駒となります。
▶配合型としては、『Deputy Minister持ち』で先週の札幌ダートの好走傾向に合致していますし、その他にも『Haloのクロス(4×3)』がアクセントとなっている印象で、5代血統表自体はやや重苦しさがありますし、牝系の活力もイマイチな血統構成ではありますが、このHaloクロスがあることで、機動力やスピードが補われている配合型という評価です。
◇アビリティ分析
▶能力的には3走前の川崎記念こそ上位馬には水をあけられてしまいましたが、5走前の日本テレビ盃では『ウシュバテソーロ』にこそ0.9差でしたが、昨年のエルムSの勝ち馬『セキフウ』には0.1差負け、今回対戦予定の『ミトノオー』とは時計差なしでクビ差先着と、地方馬ではありますが、JRA重賞で活躍している馬と比較して、決して見劣るということはないという評価です。
▶ただ、適性的には昨年5着だったエルムSを見ても分かる通り、コーナー加速では分が悪い印象で、直線大外を気持ちよく走らせた際の末脚には見どころはありましたが、4つコーナーを回る周回コースでの序盤のレースの組み立てには課題がある馬という見解です。
▶スタートは五分で出ますが、その後の行き脚が付かないタイプで、中央馬相手の重賞では道中では後方に置かれてしまうことが多いので、今回も同じような競馬になってしまうようとだと、勝ち負けのラインまで届かせるのは苦しいのかなという印象です。
▶あと、砂を被ること自体もあまり良くないので、道中は我慢できても、直線で馬群を捌くのは得策とは言えず、外をグルっと回してくるのが無難ではありますが、それで前を捕まえるだけの脚が使えるかどうかですが、ハイペースによる展開利が欲しい立場なのかなという評価です。
◇エルムSでのポイント
・ノーマーク◎⇔追走力▲
▶ローテ的には中5週と特に気にする必要はなく、今年に入ってからも今回のエルムSが4走目と特段気になる点はないので、あとは調整内容次第になってくるのかなという見解です。
▶馬体重も3走前の川崎記念も-18㎏と大きく減らしていましたが、前走、2走前と戻してきていることを考えると、川崎記念は体調面で整っていなかったのかなという印象で、
▶やはりタイプ的には使いつつ、調子を整えて上げていくタイプの馬なのかなという評価です。
▶能力的には先ほど述べた通り、地方馬として殊更に強調材料もないですが、交流重賞での走りをみても殊更に評価を下げる必要もないという微妙な立ち位置で、
▶レース振り自体が不器用で上手く立ち回れるタイプではないので、能力が拮抗する重賞では手が出しづらい馬ではありますが、
▶人気するタイミングではないことを踏まえると、相手候補としては検討の余地がある1頭という評価です。
◆テーオードレフォン
◇前走回顧
▶前走のマリーンSでのテーオードレフォンの走りですが、馬券内馬3頭とも4角4番手以内で回ってくる前有利の展開を逃げる競馬でした。
▶3角残り500m付近ですでにムチが入っていたのと、4角出口付近で外の馬に交わされるという逃げ馬としては苦しい展開でしたが、
▶直線では粘りの走りで、3着になんとか残したという走りでした。
▶勝ち馬の『ナチュラルハイ』とは斤量0.5㎏差、2着の『サンテックス』とは斤量2㎏差と単純な実力負けではないものの、
▶手応え的には早い段階で怪しくなっていたことを踏まえると、このレースでの勝ち筋は見えづらかったという評価で、特に『ナチュラルハイ』相手には現状での勢いの差は見せつけられてしまったのかなという印象です。
◇血統
▶お母さんの『エミネントシチー』はJRAの芝とダートで3勝を挙げた競走馬で、産駒にはゴールドアリュール産駒で『JRAのGⅠを2勝』『地方交流GⅠを7勝』した『エスポワールシチー』を輩出しているダートの一流繁殖牝馬です。
▶テーオードレフォンはお母さんのエミネントシチーが21歳時の産駒です。
▶配合型としてはエルムステークス、札幌ダートと相性の良い『Deputy Minister持ち(5/父方)』かつ『Roberto持ち(3/母方)』という血統構成は評価ができますし、また『Ribot持ち(7+8×5/血量4.30%)』を血統内に内包していることから、タフさや底力をさらに増強している印象で、前目で競馬をして最後までしっかりと粘れるこの馬の能力の源泉となっている血統構成という評価です。
◇アビリティ分析
▶能力的にはエルムSに特別登録のある『ナチュラルハイ』『サヴァ』に2戦連続で先着を許すなど、このメンバーに入ると大きい顔はできない立ち位置となっているという評価です。
▶ただ、逃げ馬なので、自分の競馬に徹することが最善手といった印象で、過去の戦績を見ても好走には、4角で2番手以内で回ってくる積極的な競馬をして、持ち前の粘り強さを生かすような競馬がベターで、
▶馬場もある程度時計の掛かる乾いた良馬場の方が、この馬の適性的には合っているという見解です。
▶札幌競馬場の経験は、昨年7月に3勝Cのポプラステークスで0.8差7着という結果がありますが、ポプラSは向正面で捲って3~4角で外々を回らされる苦しい競馬だったことを考えると、あの一戦だけで札幌適性を判断するには材料が少ないかなという印象です。
▶とにかく逃げ馬としてはスムーズに先手を取ることが重要な馬で、スタートも比較的上手な馬なので、自分の形にいかにロスなく持ち込めるかではないでしょうか。
◇エルムSでのポイント
・消耗戦◎⇔同型馬の存在▲
▶ローテ的には中3週で、前走が中1週だったので、比較的使い詰めでレースに使ってきている状況です。
▶テーオードレフォンはこれまでの戦績からも、多少使い減りするタイプで、レース間隔は開けた方が成績を残してきていることからも、今回は体調面が鍵になってくるという見解です。
▶近走は大幅な馬体重の変動がない馬で、過去の戦績をみても馬体重を減らして出走してきたときの戦績が振っていないことからも、レース間隔も詰まる今回は当日の馬体重は重要になってくると考えています。
▶また、先ほども述べた通り、逃げ馬なのでどれだけロスなくスムーズに自分の持ち込めるかが重要なタイプではあるので、スタートと枠の並びは大事なってくるという見解で、
▶札幌ダート1700mはスタートから1角の飛び込みまでが240mと、函館ダート1700mのスタートから1角までの飛び込みが329mあるのと比較をすると短いので、
▶ダートレースではありますが、逃げ馬にとっては同型馬よりも内枠が欲しいコース形態ではあります。
▶今回は同型馬が実績のある『プロミストウォリア』『ミトノオー』『ドゥラエレーデ』と強力なメンバーであることを考えると、馬券的にはここでは積極的になれる要素が少ないかなという評価です。
◆ドゥラエレーデ
◇前走回顧
▶前走のドバイワールドカップでのドゥラエレーデの走りですが、好スタートを決め、前半から馬を動かして先手を取りに行きく形で、離れた3番手からの競馬でした。
▶勝ち馬からは2.4秒程度離される厳しい結果ではありましたが、『ローレルリバー』『ウシュバテソーロ』『セニョールバスカドール』の上位3頭が怪物だっただけで、
▶レース映像を見ても分かる通り、直線でも粘りの走りを見せています。
▶実際『ウィルソンテソーロ』とは時計差なしの頭差負け、『デルマソトガケ』には0.5差勝ちと善戦していることからも、能力的に国内ダート重賞であれば、中心になれるだけのパフォーマンスは見せているという評価です。
◇血統
▶お母さんの『マルケッサ』はJRAで5戦未勝利の競走馬で、デビューした産駒が2頭ともJRAで勝利を挙げており、近親には有馬記念と菊花賞を勝った『サトノダイヤモンド』がいる血統背景です。
▶ドゥラエレーデはお母さんのマルケッサの初仔で5歳時の産駒です。
▶配合型としては、『ドゥレッツァ』『シャンパンカラー』と同様でドゥラメンテ産駒の成功型の一つとなっている『Danzig持ち』で、かつ『アリーヴォ』『ドゥーラ』と同様にSSを経由しない『Haloクロス(4×5+5+6)』と、『Danzig』からは持続力型のスピード能力を、『Halo』からは機動力とスピード能力を受け継いでおり、ドゥラメンテ産駒としてはバランスの取れた血統構成という評価です。
◇アビリティ分析
▶能力的には3歳時のチャンピオンズC(3着)と東京大賞典(3着)が優秀で、この2レースにおける優秀さは大きく分けて2つあって、
▶一つは、チャンピオンズCが行われる中京はコーナー角度がきつく、コーナリング性能と加減速が求められる機動力が必要な舞台設定となっていて、
▶逆に東京大賞典が行われる大井はコーナー角度が緩く、持続力が求められ、かつ白砂の重い砂で時計が掛かるタフな舞台設定となっており、
▶この2つのレースでは、ほぼ真逆の適性が求められにも関わらず、しっかりとこなしている点
▶もう一つは、チャンピオンズCと東京大賞典では、古馬と3歳馬の斤量差が1㎏しかなく、3歳馬が好走しやすい有馬記念やジャパンカップの斤量差2㎏とはわけが違う点で、
▶過去にチャンピオンズCと東京大賞典で好走している3歳馬は怪物クラスの馬ばかりで、3歳馬にとって過酷な条件のレースで2度好走している点を評価しています。
▶今回のエルムSに出走予定の馬たちとは一切対戦歴はありませんが、チャンピオンズC(3着)と東京大賞典(3着)の実績だけでも、現役日本ダート馬の中でも屈指の存在と評価して差し支えないと見ているだけに、当然、今回も注目すべき実力の馬という見解です。
▶札幌ダートは2歳時に未勝利勝ちをしていますが、先ほども述べた通り、どんな条件でも結果を出している馬だけに、札幌替わりは特段気にする必要はないという見立てです。
▶あとは前で競馬をしたい馬で、スタート後からしっかりと出して行ってポジションを取りに行くタイプだけに、今回は同型馬との兼ね合いが鍵となってきそうですが、2~3番手でも競馬を成立させることができる馬なので、この点が、他の逃げ先行馬よりもアドバンテージになってきそうという見解です。
◇エルムSでのポイント
・実績◎⇔勝負度合い▲
▶ローテ的にはドバイワールドCから中17週と休み明けになります。
▶3歳時にはUAEダービー(2着)から帰国初戦に日本ダービーを走ってはいますが、ダービーがスタート直後に落馬競走中止となっているので、ドバイ帰りのローテの良し悪しを判断する材料として乏しいというのが正直な感想です。
▶ただ、ドバイ帰り以外の休み明けのレースを見ていても、それなりに休み明けから問題なく走ってくるタイプですので、あまり気にする必要もないという印象です。
▶あとは馬体重についてですが、セントライト記念の時に+18㎏で524㎏という馬体重で走った以外は、デビュー以来510㎏前後の馬体重で走っており、4歳夏を迎えて馬体的な成長をしてくる可能性もありますが、基本的には510㎏前後を目安にしておけば良いのかなという見立てです。
▶ただ、実績的に今回のエルムSが目標ということもないでしょうから、メイチで仕上げてくることは考えづらいですし、
▶そもそもGⅠでも2、3着と勝ち切れないタイプでもあるので、取りこぼしというケースも想定すべきという印象です。
▶今回のメンバーに入れば、ダート重賞勝ちこそないものの、芝GⅠホースで実績的には上位の存在ですし、ダートでのレース内容も評価できると見立てている馬だけに、オッズ妙味は薄いとは思いますが、馬券の軸としては当然無視できない存在という評価です。
◆ナチュラルハイ
◇前走回顧
▶前走のマリーンSでのナチュラルハイの走りですが、スタートを決めてある程度出して行って逃げ先行馬の一列後ろのポジションからの競馬でした。
▶直線では前が開かずに待たされる時間もありましたが、スペースが開いたところに突っ込んで行って差し切る反応の良さと瞬発力を示した競馬となっています。
▶相手関係的には、今回のエルムSにも登録している2着『サンテックス』より斤量1.5㎏背負っていましたし、3着『テーオードレフォン』に対しては斤量0.5㎏恩恵があるという立場ではありましたが、レース内容を見れば、マリーンSについてはナチュラルハイが強い競馬をしたという評価で差し支えないという見解です。
◇血統
▶お母さんの『ニシノシュクラン』はJRAで5戦未勝利の競走馬で、産駒にはナチュラルハイ以外にはこれといった活躍馬はおらず、近親に遡っても牝系として決して活力があるとは言い難い血統背景です。
▶ナチュラルハイはお母さんのニシノシュクランが12歳時の産駒となります。
▶配合型としては、『Bold Ruler持ち(6+7+7/母方/血量3.13%)』と『Roberto持ち(4/父方)』で、エルムSの血統傾向に合致しています。
▶『Bold Ruler』はスピードと持続力、『Roberto』はパワーとスタミナの源泉となっており、上りの掛かるダートレースで最後までしっかりと走り切るナチュラルハイのタフさを、この2つの血脈がしっかりと下支えしているという評価です。
◇アビリティ分析
▶能力的には『テーオードレフォン』には直近は2戦連続で先着していますが、『サヴァ』には大沼Sで先着を許しているという力関係です。
▶2走前の大沼Sについては4角から直線入り口までの通った進路(内外)の差が影響した部分もあるでしょうが、斤量は1㎏サヴァの方が背負っていた点も考慮すると、大沼Sについてはサヴァの方が強い競馬をしていたのかなという評価です。
▶適性的にはタフな消耗戦で浮上してくるタイプと考えていて、特に上りが掛かる競馬、ラスト2Fが12秒後半から13秒台を刻むような消耗戦で、近走は勝ち負けしていることからも粘り強さがこの馬の信条ですが、
▶近年の札幌開催のエルムSは、上りが速くなるレースが多く、そういった観点からすると、エルムステークス向きではないのかなという印象です。
▶ただ、昨年ですが1勝C→2勝Cと、札幌ダート1700mで連勝をしているように札幌のダートコースはこなしているので、展開が向いてくれることが好走の条件となりそうです。
▶スタートも速いですし、馬群での競馬、内枠での競馬も苦にしないタイプなので、競馬に行って注文が付かないタイプなので、
▶今年の実績馬でかつ消耗戦と相性の良い逃げ先行馬が多いメンバー構成ならば、
▶当然、上りが掛かる競馬が得意なナチュラルハイにとっては、ペースや展開の恩恵が巡ってくる可能性も視野に入れて予想は組み立てるべきという見立てです。
◇エルムSでのポイント
・消耗戦◎⇔速い上り勝負▲
▶ローテ的には中1週→中3週と間隔が詰まっている状況ではありますが、過去の戦績を見ていると、使いながら状態を上げているタイプでもあるので、ここはこなして欲しいなという評価です。
▶馬体重的には前走-6㎏と絞って結果を出している通り、470㎏台中盤くらいが好走率が高いという見立てで、レース間隔も詰まるので、極端な馬体増や馬体減が無い方が、馬券を買う立場としては安心材料なのかなという見解です。
▶夏場のレースを2戦使ってきている状況で、上積みまで見込むのは酷な状況かと思いますが、ペース的に厳しい展開で浮上してくるタイプだけに、
▶今回のメンバーでは実績は上位馬に劣りますが、嵌れば馬券内も十分に想定できる馬という見解です。
◆プロミストウォリア
◇前走回顧
▶前走の昨年(2023年)の帝王賞でのプロミストウォリアの走りですが、スタート直後に躓きながらも1角までにハナを取り切る積極的な競馬でした。
▶上位3頭『メイショウハリオ』『クラウンプライド』『テーオーケインズ』には歯が立たずという競馬にはなりましたが、道中では『ライトウォーリア』に直後に迫られてプレッシャーを受けながらの競馬だったことを考えると、恵まれた展開ではなかったですし、
▶差し馬が台頭しているペースを考慮しても、この馬としてはしっかりと走っており、着差だけを見て、殊更に評価を下げる必要はないという見解です。
◇血統
▶お母さんの『プロミストパーク』はJRAの芝とダートで5勝を挙げた競走馬で、産駒はデビューした7頭中5頭がJRAで勝利を挙げているアベレージの高い繁殖牝馬です。
▶プロミストウォリアはお母さんのプロミストパークが18歳時の産駒となっています。
▶配合型としては、『Bold Ruler持ち(5+6+6+×7/血量7.03%)』や『Nijinsky持ち(5/母方)』など、エルムSの好走血統に合致しています。
▶『Bold Ruler』はスピードと持続力、『Nijinsky』はスタミナの源泉となっており、前半から飛ばして後続に脚を使わせて粘りこむ展開を得意とするプロミストウォリアの粘り強さ、しぶとさをこの2つの血脈がしっかりと下支えしているという評価です。
◇アビリティ分析
▶能力的には今回の特別登録のメンバーとは対戦歴がないので、直接の能力比較は難しいですが、
▶2走前のアンタレスSでは59㎏背負って自らが作り出した消耗戦を、直線では早々と脚が上がりながらもゴール前まで凌ぐ強烈な走りでした。
▶ちなみにアンタレスSで0.4差をつけて負かした馬が、後のJBCクラシック、帝王賞を勝利する『キングズソード(斤量57㎏)』です。
▶ですので、能力的には当然、このメンバーに入って引けを取るようなことはないので、ポイントとなるのは『1年1か月振りの長欠明け』と『7歳』という馬齢という見立てです。
▶スタートも速いですし、先行力もある馬で、これまでの成績からも自分でレースを作って、後続馬になし崩し的に脚を使わせる展開が向いており、それを実現するだけの強烈な粘り強さが武器という評価です。
▶また、良馬場での実績もありますし、重や稍重などの時計が速い馬場も苦にしないタイプなので、当日の馬場状態をそこまで気にしないで問題ないタイプという見立てです。
▶ただ、タイプ的には心肺機能の強さが信条のような脚質なので、息の入りが重要になってくるため、この部分は長欠明けの影響が如実に表れてきそうなポイントだけに判断が悩ましい1頭という印象です。
◇エルムSでのポイント
・消耗戦◎⇔長欠明け▲
▶ローテとしては、2023年のチャンピオンズカップを右後肢の肉離れと筋肉痛で回避し、2023年の帝王賞以来のレースとなるので、1年以上実戦経験からは遠ざかっている訳ですが、これまでも故障などで順調には使ってこれてはいないものの、長欠明けの初戦から能力全開という成績でもないのは確かです。
▶また年齢的にも7歳を迎えており、ここまでのレース数が少ないので使い減りしていることはないと思いますが、加齢による能力の影響は正直走ってみないと分からない未知数な部分です。
▶馬体重的には500㎏を超える大型馬で、前走が+10㎏の530㎏で走っていたことを考慮すると、長欠明けで更に馬体重が増えていた場合には嫌いたいですし、馬体重が減っているくらいの方が馬券的には買いやすいのかなという印象です。
▶フォトパドックを見る限りでは、胴回りの造りがゆったりしている持続力に振れた馬体という見立てで、アバラも若干浮いているので太目感はなそうです。
▶ただ、一週前の調整が栗東坂路で4F(53.7)-1F(12.2)という時計で、4Fを51秒台で走り、ラスト1Fを12秒台前半でまとめて来れる馬としては、やや手控えた調整内容となっており、時計面、また動きにも物足りなさを感じるのが正直なところです。
▶能力的には疑う余地はないものの、消耗戦を得意とするハードなレースで相対的に浮上してくる馬にとって、長欠明けは分が悪いというのがセオリーだと考えているのと、調整内容も軽くはないですが、良かった頃よりも負荷が軽い点を考慮しても、やはり一度使ってからなのかなという見立ての1頭です。
◆ミトノオー
◇前走レース回顧
▶前走の平安Sでのミトノオーの走りですが、中盤で12.9-12.8-12.8-12.7と比較的ぺース緩む展開で、逃げたミトノオーにとっては展開利があった競馬でした。
▶直線では200m過ぎで脚が上がっていましたが、前半のセーフティリードを生かして、猛追する2着馬『ハピ』をクビ差凌ぎ切る競馬となっています。
▶マイペースでレース中盤にラップを落としている点は鞍上のファインプレーといった印象で、もう少し後続馬に突かれる展開だと苦しい競馬になっていたことが想像できますが、
▶ただ、2走前のマーチSでの積極的な競馬でハイペースを押し切るような走りで好走をしているのを考慮すると、逃げ馬としては競馬に幅があるタイプなのかなという印象です。
◇血統
▶お母さんの『シダクティヴリー』はカナダ産で海外ダートの重賞レースを勝っている競走馬で、産駒、近親ともにミトノオーが出世頭という血統背景です。
▶ミトノオーはお母さんのシダクティヴリーが17歳時の産駒となっています。
▶配合型としては、『Bold Ruler持ち(6+6+7/父方)』や『Nijinsky持ち(5/母方)』とエルムSの好走血統に合致します。
▶同型馬の『プロミストウォリア』と同様に『Bold Ruler』はスピードと持続力、『Nijinsky』はスタミナの源泉となっており、逃げて粘りこむ脚質を得意としているミトノオーの持続力としぶとさを、この2つの血脈がしっかりと下支えしているという評価です
◇アビリティ分析
▶能力的には今回の特別登録のメンバーとは対戦歴が多くはなく、比較が難しいところではありますが、2走前のマーチSではペイシャエスに先着しており、5走前の日本テレビ盃ではシルトプレに先着を許していることが、挙げられますが、
▶やっぱり逃げ馬なので、自分の形に持ち込めれば能力を発揮できますし、展開的に向かないと脆い部分もあるので、単純な能力比較だけでは評価が難しい印象です。
▶適性的には直近2走は逃げて、直線で脚が上がりながらも粘りこむ競馬をしていることからも、消耗戦向きな印象で、粘り強さを発揮するためにも、マイペースに持ち込む競馬が必須という見解です。
▶実際、直近では9戦連続で初角を先頭で入っているだけに、2番手で競馬というタイプではなく、ハナを取り切りたいタイプという印象です。
▶そうなってくると同型馬の存在が鍵を握ってきそうで、ハナ争いになりそうな『テーオードレフォン』『プロミストウォリア』『ドゥラエレーデ』と比較すると、ミトノオーはゲートこそ速いですが、テンの1Fの速さ的にはやや分が悪い印象で、
▶1角までの距離がそこまで長くはない札幌ダート1700mでどれだけ先手を主張していくのかが、ポイントとなりそうです。
◇エルムSでのポイント
・スタート◎⇔距離短縮▲
▶ローテ的には中10週となりますが、レース間隔を詰めても開けてもあまり成績に差がないタイプなので、ローテは特に気にする必要はないという見解です。
▶馬体重的には4歳初戦となったマーチSで+16㎏と馬体的な成長を見せて、順調に成長している印象です。
▶調整については、1週前が美浦の南Wで調整で流す程度となっており、2週前に同じく南Wで6F(83.4)-4F(53.0)-1F(12.1)という時計を計時しています。
▶今年に入ってからはコースで追った際に時計は昨年ほどは出しておらず、手控えた調整をしてきているので、時計的にはそこまで気にする必要はなさそうです。
▶フォトパドックを見る限りでは毛ヅヤは良いです。また体型的にも胸が深く心肺機能の高さが伺えますし、クビ差しも太くパワーを感じる馬体という評価です。
▶逃げ馬で好走パターンが決まっている馬なので、同型馬との兼ね合いが最大のポイントにはなりそうですが、
▶今回は距離短縮になる点と、そもそもそこまでテンの速さがあるタイプではないだけに、ハナを取り切るのか、番手で我慢させるかによって、
▶レース全体に影響、特にペースに影響が出てきそうで、ややオーバーペースになった際の粘り強さで『プロミストウォリア』『ドゥラエレーデ』『テーオードレフォン』を上回れるかどうかではないでしょうか。
▶『プロミストウォリア』『ドゥラエレーデ』が本調子で参戦してきた場合は苦しい展開になるという見立てです。
◆エルムSのまとめ
それでは!