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酒を飲んで酔っ払っていく感覚は、日常にある不思議体験だと思う。

今、これを書きながらほろよいのグレフルソルティを飲んでいるが、思った以上に酔いがまわってきてびっくりしている。

大学時代ブイブイ言わせていた(無駄に酒を飲んでいただけ)時は、ストロングじゃないと飲んだ気がしなかったのに。

大人になって一番の不思議体験と言えば、何と言っても飲酒だ。

アルコールの含まれた液体を口に含むと、頭がぼーっとしてきて、だんだん楽しくなってくるこの感覚はなんとも不思議である。

酒を飲むだけで非日常感を味わえるし、眠くなったら全部忘れて寝たらいいし、酒って控えめに言って最高(完全にアル中の発想)。

よく「居酒屋の雰囲気が好きなんです」という人がいるが、私は家でもどこでもいいから自分が酔っぱらうことが好きだ。

だから初めて不思議体験をしたあの日から10年近く経った今も自主的に酒を買い込み、何も理由がなくてもちょっとだけ晩酌する。

ただ、酒癖が悪いので酔うとろくなことがないとも思う。

電車で寝過ごして飯能の場末のカラオケで一夜を過ごしたり、携帯電話を忘れて翌日居酒屋に取りに行ったり、「タコみたいな踊りしていたよ」と翌日言われたりと、まぁろくなことがない。

酒癖が悪いのは自分に限ったことではない。

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それは大学4年生の暑い夏の日だった。サークルの同期で飲み始めて一時間後、パチンコ帰りのW君が少し遅れてやってきた。そして、W君は封筒からパチンコの成果である一万円札を8枚出してみんなに見せびらかす。

「わー!」「ちょうだい!ちょうだい!」

悪ノリで一万円札に群がる一同。テーブルにいた全員が一枚ずつ一万円札を手にして目を輝かせた。

W君は慌てて一万円札を回収したが、枚数を数えると一枚足りなかった。

当時酔っぱらっていた私たちは、「怪奇現象だ!」とか「マジシャン?」とか言っていたが、後から冷静に考えると誰かがこっそりくすねたのだろう。

メンツ的に素面なら「冗談だよ」と返しそうなもんだが、どれだけ探しても一万円札は見つからなかった。酔って手癖が悪くなるとは、なんてやつだ。

ところが、当時酔っぱらった頭で「なんで一万円足りないんだろう?」と本気で不思議に思ったせいか、嫌な思い出というより不思議体験として深く刻み込まれている。

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私が酒を覚えたのは紛れもなく大学のテニスサークルだ。

現役時代、「週6で飲み会を開いているから、地方出身の一人暮らしの子も寂しくないよ☆」がウリだったサークルも、未成年飲酒禁止を徹底するために酒を飲む会合が一切なくなったらしい(とある新入生の親が大学に密告したのだとか)。

時代は変わったようだが、大人の仲間入りをした人たちには適切に楽しい不思議体験を味わって欲しいものだ。

編集:アカヨシロウ

https://note.com/mamaosao/m/m0fe17fe3ed33


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香山由奈
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