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転職で年収を上げたい人へ「あなたの価値をお金で表せますか?」
「あなたの価値をお金で表せますか?」
先日何度か目の転職活動を終えたのだが、それを面接で回答に困った。どう答えれば良かったのか、未だに考えている。
◇◇◇
今回の転職の目的は年収アップ。転職サイト数社に登録し、一旦、「想定年収:450万~」を目安に探すことにした。
運良く面接まで漕ぎつけた「想定年収:450万~」の会社の面接で、体よく受け答えを進め、終盤に差し掛かったときに面接官はこう聞いた。
面「ご縁があった際、希望年収はいくらですか」
私「はい、求人票にあった通り450万を希望いたします」
面「失礼ですが今、もっと年収低いですよね? なぜ、450万円もらえると思うのか、教えてください」
私「(……。)」
そう、このちょっと意地悪な質問が冒頭で紹介した「自分の価値をお金で表す」質問だ。
後で知ったのだが、求人票にある「想定年収」というのはあくまでも‶想定“であって、‶下限保証“というわけではないらしい。「完全に騙された」と思ったのだが、転職エージェントに聞けば、「想定」と書いてあるだけなので、そういうものらしい。
それをまったく知らないもんだから、営業していた頃に培ったアドリブとハッタリで悪あがきを続けた。
しかし、数値的根拠に満足の行く回答を出せず、最後に申し訳程度に「貴社の規定にお任せします」あえなく撃沈。面接は不通過だった。
自分の価値とは?
自分の価値を証明するには、どうしたら良かったのだろう?
年収だと大き過ぎてわかりづらいので、日当に割ってみようか。
450万を365日で割ると12,328円。
フリーライターとして稼ぐなら、365日間1日も休まず、12,300円くらいのWEB記事を納品し続ける? そんなに案件をもらえるだろうか、なかなか難しそうだ。
しかも、それを理由に面接で戦うためには、「365日間1日も休まず、12,300円の記事を納品した」という経験が必要なので、今は使える根拠ではない。
結局のところ、実績を基にするしかないのではないか。
要は、「私は同じ仕事で450万円もらっていたので、同等の価値を生み出せる人間です」が一番説得力ある回答になる。
関わる仕事が変われば、自分の価値が上がる?
しかし、それでは一向に年収が上がらなそうなので、「仕事が変わったら価値を生める」という線を考えてみよう。
例えば、編集プロダクションでほぼ企業の広報誌を制作している今は、良いものをつくったとしてもクライアントに「良い出来だ! 来月も頼むよ」と言われるのが最上級。どんなに良いものをつくっても売り上げは変わらない。まず、売上を教えてくれない。
ただ、WEBメディアの会社に入って同ジャンルの記事を制作し、それがヒットすれば、「売れる企画が作れる人」という自分の価値を証明することができる。
では、「貴社で私の価値を証明させてください」と言えば良いのか。セリフがかっこよ過ぎて、ちょっと寒気がするぞ!
ただ、「証明させてください」そう言っている時点で、残念ながら根拠にはならない。
企業にとって、人材採用は大きな買い物
そもそも、なぜそんなシビアな質問を企業は投げかけて来るのかと言うと、企業にとって、人を一人採るのは大きな買い物だからだ。
社員を一人雇うためには、家賃や設備投資、研修費などで毎年年収の1.5~2倍の金額が必要と言われている。そして、10年20年と勤続する場合には、トータルの投資額が上がっていく。
少なく見積もっても、450万円×1.5倍×10年=6,750万。
それだけの投資を無駄にしないために、面接では念入りにその人の価値を確かめ、できれば安くお買い上げできるようにと思っているのだ。
そんな背景があって、全国の企業で「前職の年収が低かっただけで、同じ仕事をしているのに、他の社員よりも年収が低い社員」というのが発生している。
以前の会社で、「(前職の年収が低いせいで)中途なのに新卒1年目よりも給料が低い社員」がいると知ったときは、心が痛んだ。
結局は、企業にとって必要な存在かどうか
死ぬほど数字を挙げている営業、業界で名の通った専門家、企画する本すべてがバカ売れする編集者……。
そんな”神”になれない限り、サラリーマンとして給料を上げようとしたら、この年収アップゲームは続いていく。
今回の転職活動でも何とか内定をもらえた。それでわかったことと言えば、面接官に「来て欲しい!」と思ってもらえたら、想定年収まで届かずとも内定はもらえるということ。それで入社するか否かは任せるということだ。
そんな簡単に、大幅に年収は上がらない。だからこそ、コツコツと地道に上げていく方法を見つけるしかない。
転職活動が終わっても、自分の金銭的価値を考え、価値を高める活動は続けていくべきだと思った。
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編集:円(えん)さん
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