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成人式で思い出す、今はなき「としまえん」のこと

先日、親戚とUSJを訪れた。USJに行くのは2回目だったが、前回は絶叫系に全く乗れない夫と一緒だったため、可愛らしい乗り物が中心。フライングダイナソーやハリウッドドリームといった絶叫系のアトラクションに乗るのは初めて。非常に心が躍った。

同年代女子と一緒に乗ったのだが、みんなが「怖かった」「もういい」などと言っているのを尻目に、恐怖感より「楽しすぎる」「爽快」「あと3回くらい乗れる」という気持ちが上回った。かれこれ5年ほど絶叫系のアトラクションに乗っていなかったが、まだまだイケる。

そう言えば、なんで絶叫系が得意なんだっけ?と考えた結果「としまえんのおかげだ」と思い出した。

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児童期のほとんどを練馬区で過ごした私からすると、遊園地と言えばとしまえんだった。2020年8月をもって閉園したとしまえんだったが、当時の私には刺激的な乗り物がたくさんあった。

■トップスピン

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(西武鉄道さんよりお借りしました)
前列後列で合わせて40人が集合写真スタイルで乗り込み、それを支える2本のアームが回転を繰り返す。途中、真っ逆さまになったところで停止する。

初めて見たとき、乗っていたお姉さんの長い髪の毛が下に垂れ下がり、キャーキャー騒いでいるのを見て、なんという拷問器具なんだと思ったものだ。

■シャトルループ

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(西武鉄道さんよりお借りしました)

スタート地点から一気に時速86 kmで急発進し宙返り。高さ45 m・傾斜角70度のタワーを上昇。ループでは最大6Gの重力がかかる。(Wikipediaより)

これは何と言ってもスタート時の加速と、乗っている観客の歓声がすごい。身長が足らず、姉と父が乗っているのを母と待っていたときは、こんなのに乗って大丈夫なのか?と非常に心配になった。

身長制限で乗れなかった乗り物も、練馬区に住んで毎年としまえんに通っていると、いつしか乗れるときが訪れる。

初めて乗って、無事に乗り終えたときには大人の仲間入りができたようにうれしかった。さらに言うと、私が絶叫系のアトラクションに乗れるようになった頃のとしまえんは、空いていてほとんど待たずに乗れた。

乗り物に乗って出口まで走って次の次の運転に乗車する…。そんなことを繰り返して、絶叫系のアトラクションに強い心・技・体が完成したというわけだ。

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そんなとしまえんラブな小学校時代を過ごした自分だったが、中学校・高校と進学するにつれて、としまえんには足を運ばなくなった。「やっぱディズニーでしょ」「やっぱ富士急でしょ」というメジャーどころの遊園地に目がくらんだのだ。いや、としまえんを軽視していたのかもしれない。

そうして再びとしまえんを訪れたのは、10年前の成人式である。練馬区の成人式はとしまえんで行われていた。

中学から私立に進学したこともあり、一人寂しく振袖で参加した私だったが、そのときには既に「トップスピン」も「シャトルループ」も運転しておらず、ショックを隠し切れなかった(一人振袖で徘徊し、乗り物に乗ろうとしていたのもなかなかヤバいが、今回はとしまえんについて書きたいので深く追求せずに進む)。

そして、その後足を運ぶことなく2020年8月にとしまえんは閉園した。閉園のニュースを聞いたとき足を運ぼうとも考えたが、推しの乗り物を堪能できないうえコロナもあるし、何かいいやと思ってしまった。

とはいえ、遠く離れた大阪のUSJで「絶叫系得意な自分」を誇らしく思った今、育ての親であるとしまえんに、何のお礼もせずお別れしてしまったことを申し訳なく思った。「いつまでもあると思うな親と推し」である。

今後、練馬区の子どもたちから、としまえんという存在は消え、成人式も別のところで開かれることだろう(練馬文化センターらしいが開催できるのか)。

だからこそ、生まれて初めて見た絶叫マシンに驚いたあの瞬間も、飽きるほど絶叫マシンに乗ったあの日も、成人式の日に一人徘徊したあの日のことも、私の中では忘れないようにしたい。

ありがとう。そしてさようなら、としまえん。

文:香山由奈
編集:らいむさん

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香山由奈
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