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疑惑の祝日
永遠に続く呪いのような逃れられない不安感から体調を著しく壊した昨日。しかし、その時はようやく過ぎ去り、翌日は体調も回復して、世界は明るく希望に満ちた景色に変化した。
2月とは思えないほど暖かい日差しに照らされた空気は柔らかく、心地よい風に包まれ元気を取り戻した私の足取りは軽かった。
レンタルの期限が来たので、返却物を入れたレターパックを郵便局の窓口で差し出そうと近くの郵便局に向かった私は、郵便局のシャッターが閉まっていることに不信感を抱いた。
あぁ、そうか。郵便局は昼の休憩時間、窓口の受け付けをしていない時間帯があるんだった。
スマホの時計を見ると、窓口再開まであと2分。この位なら外で待っていよう。
2分後、郵便局のシャッターは開かなかった。再開が遅れているのか。私はもう少し待っ ていようか迷ったが、シャッターが開く気配は全くない。訝しげに佇む私を見て、自転車に乗った若い男性が少しバカにしたような表情を私に向けた。彼は何か事情を知っているのか。
ここで待っていてもすることがないので、いつも行くスーパーの2階のイートインコーナーにでも行こう。
(全くいいかげん・・・・。)
私は頭の中に湧き上がってくる罵詈雑言を必死にかき消しながら、そのスーパーに向かった。
そこのスーパーの2階は、カップコーヒーなども売っていて、1階の売り場で買った食品を食べながらコーヒーを飲んで休憩することができた。
今日はもしかして祝日だっただろうか。祝日であればいつもスマホに祝日と表示されるが、今日はその表示はない。売り場も家族連れの客は、いつもの休日より数が少なかった。Xの投稿なども見てみたが、タイムラインの様子は平日と変わらない。
そもそも、レターパックならポストに投函すれば良いのだ。別に窓口で差し出す必要はない。そうわかっていても、やはりなんとなく窓口で受け付けてもらった方が確実なような気がしてポストに投函するのは気が進まなかった。こういうところが私は融通がきかない。
30分ほどそこで時間を過ごした後、私はそのスーパーの近くの別の郵便局に向かった。
しかし、その郵便局もシャッターは閉まっていた。
(アメリカ大統領も替わったし、ついに郵便局も・・、いろいろ、諸々、etcでついに閉鎖になったか・・・・!。)
驚きと戸惑いで私は軽くパニックになった。
混乱して急ぎ足になりながら、最初に行った郵便局に戻ってみたが、やはりシャッターは閉まったままだった。
狐につままれたような何とも不思議な気分になりながら、私は仕方なくレターパックをポストに投函し、帰った。
帰ってきた私は慌てて手帳を開いた。
「・・・・・・・・・・!」
2月11日、建国記念の日だった。
どうやら私は、昨日、不安に陥れられた呪いからまだ解かれていなかったらしい。