奥山ぐらし・早朝、獅子舞がやってきた!
昨日の曇天から一転して、今朝は東の山からまばゆい光が差し込む。
なんとなく蚊帳テントの中で起き出せずにいたら、
ピーヒャラ ピーヒャラ ドンドンドン
笛と太鼓の音が聞こえる。
あ!
毎年、夏至の頃、来てくれる獅子舞だ!!!
末娘と飛び起きて、急いで着替えて、表に飛び出る。
ご近所のママ友さんちの前に、獅子舞はっけん!
「はじめてなんです」と口にするママ友に、
笛のおじさまが説明をされていた。
「いつも、夏至の頃ですよね。今回は早いですね」
「毎年6月20日に隣村に行って泊まるので、その前後にこさせてもらってます」
いつもの顔ぶれでなく、
新しい方や、すごく若いイケメンのお兄ちゃんもいるなあ。
「うちもお願いします」と声をかけると、
そのお兄ちゃんとベテラン風の笛のおじさまが来てくださった。
夫も家の前のプランターのレタスを採っていて遭遇。
玄関を開けてお招きし、御札を頂戴し、刀と鈴で祓って頂き、
獅子を舞って頂いて、末娘、私、そして夫も、みな頭をかんでもらう。
こんな展開は初めてで感動した!
終わった後、イケメンのお兄ちゃんに話しかけた。
「お若い方って珍しいですよね。いつからこのお仕事を?」
「2年目です」
「へえ。どうやってここにたどり着いたんですか?」
「今は、求人募集してるんですよ。インディードとかでも」
ええっ!!!
なんだか、時代は変わったんだなあと、びっくりした。
お礼を伝えて、家の中に入って、三人で
「よかったね。いい一年になるね」と話してて、
「写真撮ってなかった!」と気づいて外に飛び出ると、
御一行は、もう帰ろうとしておられるところ。
(慌てて撮ったのが、見出しの写真)
「今日は、いいお天気ですね。どうぞ、よき一日を〜!」
と声をかけて、車を見送った。
家に帰って、獅子舞のことを調べてみて、びっくりした!
素敵なホームページがあって、基本的な情報がまとめられていた。
こんなのあったっけな?
ざっと目を通して、納得。
2年前に組織改編があり、新しい社中の方も入ったり、
世襲の家元制度も廃止したり、新弟子も一般募集しているようだ。
「あのお仕事をやる人、募集してるらしいで」と子どもたちに伝えたら、
近所の小学生の弟くんは「やってみたい!」と即答し、
うちの小2の末娘も「太鼓やってみたいなあ!」と口にしていた。
スクールバスを見送ってから、ご近所のママさんと、
「奥山を巡る「こども神楽」やったら楽しいかもね」と盛り上がる。
実は、このママさんの呼びかけで、夏休み中に幾日か、
奥山に子どもたちが集って一日過ごす「寺子屋プロジェクト」をやろうと準備しているのだ。
みんなで相談して、自分たちも、奥山の人たちも元気づける活動が始まったら素敵だなあ。
人は、この世に生まれて、一年という周期を重ねながら、一生を生き抜き、遺産を次代へと継いでいく。
この連鎖が切れずにつながった先に、いまの自分がある。
その連鎖をつなげるための知恵と工夫が、先人の生き方、暮らし方の中に散りばめられている。
この奥山は、千年以上つづく回峰行の行者たちの修行の地でもあり、
ここに暮らしていると、新年からの年中行事や四季折々の景観が、いまも繰り返し、継がれているのを実感する。
夏至のこの時季、全国的には「夏越の祓」が行われるが、
この奥山にはなく、代わりに大神楽がやってきて祓ってくれるのだ。
年中行事や村の風習って、どんどんなくなっていくけど、深い意味がある。
その意味に気づき、紡ぎ直していくことが、これからの未来を創っていくのにどれほど大切なことかと、学芸員時代から奮闘してきて、
そのために、この奥山の古民家に引っ越してきたのに、子どもたちの不登校や、明るい先が見えないことで、その気持ちを忘れかけてた。
今回「伊勢大神楽講社」の刷新のことを知れて、すごく勇気づけられた。
古い伝統芸能の世界でも、因習にとらわれず、
新しいやり方で、広く開いて、意欲のある人を募り、
大切なことを、次代へ継いでいけるのだから。
私にできることを、諦めずに、やり続けていこうと決意を新たにしました。
(って言っても、なにができるやろ?!)