奥山ぐらし・夜、伊勢節の練習会に集う大人と子どもの姿に感動

末娘の登校意欲を、夫と、ご近所のおかあさんが引き出し無事登校

奥山の1学年数名の小さな小中学校にマイペース通学する小2の末娘。

先週は、毎朝、登校意欲が湧かない様子で、火曜・木曜と学校をお休み。

金曜の朝も、布団の中でグズグズでしたが、夫が、前夜から仕込んだサーモンの漬け丼で意欲に火をつけ、末娘はご満悦。
見事、母子でスクールバスのバス停まで行けました。(夫よ、神業ありがとう~!)

なのに、私がやらかしてしまいました。

バスが到着しているのにまだ来てなかったご近所の男の子が、一生懸命走って車道を渡ろうとしている姿を見つけて、思わず、そちらに駆け出した私。

奥山の国道ですが、一応2車線で、ドライブする車がスピードを上げて通過するので、結構危険なので、いつも私は道の真ん中で子どもが渡るのを誘導してるんです。

無事、渡れた男の子と一緒にバスまで戻ったら、「乗らない!!!」と泣き出して立ち尽くす末娘の姿。

男の子のために、末娘を取り残して私が行ってしまったことが悲しかったようで、気持ちは収まらず、涙ながらに「かあちゃんと歩いて学校に行く!」と末娘が口にしたので、バスには先に行ってもらいました。

家までの帰り道、男の子のおかあさんが末娘に話しかけてくれて、彼女の想いを受け止め、安心させる言葉かけをしてくれた後、

夜に伊勢節の練習会があって、まちの子たちも何人かくるから、みんなで遊べることを伝えてくれ、末娘の気持ちは落ち着いたようでした。

前日の夜、家でも伝えていて、末娘は、楽しみにしていたのです。
(人が集まるところは苦手なのに、なぜか)

結局、家に帰ってから、夫に学校まで送ってもらい、末娘はほとんど遅刻せず、登校できたのでした。

夜、伊勢節の練習会に、大人も子どもも集結することに

わが奥山では、毎年、7月18日に行われる夏祭りのときに、各集落の高張提灯が参道に行列し、男衆が伊勢節を歌い上げる中、神社の境内へと進んで奉納されるという、長年続いてきた行事があります。

このとき歌う伊勢節は、楽譜で書き表せない味のある節回しで、練習会の口伝で受け継がれてきたのですが、近年、村人の高齢化やコロナで、新しい歌い手の養成がほとんど進まず。

私は、10年ほど前にこの練習会の存在を知った時、当時のご近所のママ友といっしょに伺ったことがあります。元博物館学芸員の血が騒ぎ、伝統文化の継承に意欲まんまんだったのですが、その場にいた古老に「伊勢節は女は(本番には)歌えない」と明言され、それっきりになってました。

近年は、歌い手不足なこともあって、地域内に練習会への参加を文書で呼びかけるようになり、移住者も参加し、さらに、今回、まちから通う小中学校の保護者にも案内していいという話になり、
この日は、まちの親子も何組か、伊勢節の練習会に集まってくる予定。

放課後、ご近所の男の子がいつものように末娘を誘いに来てくれました。
「遊びに行かへん?」
早めに奥山にやってきたまちの子たちも一緒です。
末娘も含め、6名の小学生と、お宮さんに行ったり、近くの小川に行ったり。

高学年の女の子たちは、「みてみて〜、ヨーコさん」と、自分のスマホで撮った奥山の写真を何枚も見せてくれて「すっごいばえるやろ〜」

夕日で光る川面、投げた石の水しぶき、動画で川のせせらぎ・・・、私にはとても撮れそうにない映像の数々に、「すてきやなあ。センスあるなあ」

ひとしきり遊んで、夕食後の再会を約して、一旦、別れました。

夜、伊勢節の練習会の会場で

夫も、今年は伊勢節の練習会に皆勤して、本番でも歌うつもりで日々練習中。
もともと歌い手が数人しかいなかったのに、今年は、夫も含めて、新人が四人もいるそうです。

3回目の練習会となる今回、会場のわが自治会館の駐車場に見たことないほどの数の車がとまりました。(といっても、10台ほどですが)

歌い手も10名ほど、子どもも10名ほど、集ったようです。

会場の中では、大人たちが伊勢節の練習。子どもたちは、結局、みんな外に出てきて、暗がりの中、かくれんぼを始めました。
(新月前日で、星空がよく見えました)

私は、なんとなく、見守りがてら、会館周辺の窓からの光が届く範囲の草取りを始めます。

「ヨーコさん、だれか来なかった?」
「さあ、どうやろ。人影は通った気もするけど」

男衆の歌う節回しに、時折合いの手を入れながら、結局、練習が終わるまでの2時間、私は草取りを、子どもたちはかくれんぼをし続けてました。

末娘も、まちから通学する一つ下の女の子と遊び続け、
「あさっての夜も奥山に来るから、その時も一緒に遊ぶ約束した!」ですって。

やらされるんじゃなく、やりたくて集まった場で、自由が許されると、子どもも大人も、こんなに楽しそうに過ごすことができるんだなあ。

なんだか、同じ学校の大人と子どもの親密度が、ググッと上がったひと時でした。

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