S&P500のETFって本当にリスクが小さいの?ドルコスト平均法で分析してみた①
はじめに
今、株高で投資ブームが再来していますね。
私は日本株式・アメリカ株式・ETFを中心に運用しています。
今回は投資初心者に大人気のS&P500のETFについて、過去からドルコスト平均法をやっていると、どれくらいの損益になるかを分析しました。
ドルコスト平均法とは:
価格変動のある株式などに毎月1回など定期的に決まった金額を買い付ける投資手法です。価格が高い時も低い時も購入し続けるため、長期的に右肩上がりが予測される銘柄に向いています。
S&P500とは:
ニューヨーク証券取引所とNASDAQに上場している銘柄のうちGAFAMをはじめ、アメリカの名だたる代表的な500銘柄の株価を時価総額比率で加重平均し、指数化したものです。
ETF(上場投資信託)とは:
日経平均株価やTOPIX、NYダウなどの指数に連動するように運用されている投資信託の一種です。上場しているため株式と同じように手軽に売買できます。
ここではS&P500のETFで最も歴史の長いスパイダー(ステート・ストリート・グループ)のETF(ティッカー:SPY)で分析してみました。
SPYの上場は1993年1月22日です。
多くの人が気になるのは「どれくらい儲かるか」と同じくらい「どれくらい損するか」だと思いますので、ドルコスト平均法をいろんな日でスタートした場合を分析しました。
SPYの購入単価は現時点では4万円程度になりますので、毎月5万円前後のドルコスト平均法で投資するのを前提条件としています。
グラフは左軸がトータルの損益で右軸がSPYの株価になります。
前提条件
・為替手数料は1ドルあたり25銭
・毎月5万円前後投資
・分配金も全て追加購入に回す(複利の効果を得るため重要)
・どれだけ相場が荒れても鉄の意志で投資を継続する(超重要)
①直近5年間(2016年3月スタート)
記事作成日が2021年3月のため、単純に5年前の2016年3月スタートとしています。
コロナショックで大暴落し、4年間続けているにもかかわらずマイナスに転じたタイミング(2020年3月)があります。
うろたえずに継続していると下記結果となります。
投資額合計:3,161,662円
損益:1,430,127円
5年間合計利回り:45.2%
複利(=IRR(内部収益率)):13.3%
②直近10年間(2011年3月スタート)
記事作成日が2021年3月のため、単純に10年前の2011年3月スタートとしています。
リーマンショックで暴落しまくった後、株価は回復途上にある状態です。
投資額合計:6,162,686円
損益:7,106,253円
10年間合計利回り:115.3%
複利(=IRR(内部収益率)):13.9%
③リーマンショック前のバブルピークの2007年10月
リーマンショックは2008年9月ですが、その前にサブプライムローン破綻があり、株価は1年くらい前から下がり続けていました。なので株価のピークは2007年10月になります。
なおリーマンショックによるバブル崩壊の大底は2009年3月です。
投資額合計:8,230,309円
損益:14,530,552円
14年間合計利回り:176.5%
複利(=IRR(内部収益率)):13.2%
④ドットコムバブル(=ITバブル)絶頂期の2000年3月
ドットコムバブルピーク時からのスタートです。バブル崩壊の大底は2002年10月です。
この後、リーマンショックも迎えますが、③と同じ大底の2009年3月時点では9年間ドルコスト平均法で投資したにもかかわらず、投資総額538万円で損失が174万円というメンタルがえぐられるかなりの地獄を迎えることになります。
その後もマシーンのように続けていると笑いが止まらないような下記結果となります。
これで老後2,000万円問題も解決。
投資額合計:12,711,495円
損益:27,285,391円
21年間合計利回り:214.7%
複利(=IRR(内部収益率)):9.2%
⑤SPY上場の1993年2月
今回の分析では最長の投資になります。1993年は日本ではバブル崩壊でえらいことになっていましたが、当時のアメリカでは順調に経済成長を続けていました。
28年もドルコスト平均法で運用していると、下記の通りとんでもない成果になります。
かなり優雅な老後を送れますね。
悲惨な時期で言うと④と同じく大底の2009年3月時点では16年間ドルコスト平均法で投資したにもかかわらず、投資総額957万円で損失が87万円というメンタルがえぐられるかなりの地獄を迎えることになります。
また、28年積み重なったポジションは相当な額に膨らんでいるため、コロナショックの時は5,020万円積みあがった利益が1カ月で半分近くの2,341万円も吹き飛ぶ時期もあります。
まさにこの世の地獄!!!
メンタルのえぐられ方もチート級ですね((+_+))
でも鋼の意志で投資を貫き通すと地獄から天国に大逆転となります。
投資額合計:16,885,552円
損益:57,416,613円
28年間合計利回り:340.0%
複利(=IRR(内部収益率)):8.5%
結論
上記で特に⑤では16年間投資し続けて損失(957万円の投資で87万円の損失)を被るという悲惨な時期もありますが、ドルコスト平均法は鉄の意志でマシーンのように継続することが絶対条件になります。
その後12年間続けていると341.1%のリターンで5,762万円もの利益にもなります。
もし損失が出た時点でやめてしまうことこそ真の地獄になりますね。
ドルコスト平均法は長期投資が前提のため、長年やっていると大暴落の局面はほぼ必ず発生するため、将来的に地獄を見る日がやってくると覚悟しておいた方がいいでしょう。
それを理解したうえでマシーンのように徹して投資を継続するのが大成功の秘訣と思います。
また、ポジションが膨らんでくると、当然ながら日々の損益の変動額も大きくなってきます。
⑤みたいにコロナショックで2,341万円も吹き飛んでしまうこともありますが、こんな時は相場を一切見ないに越したことはありません。
私はコロナショックの時、トータルの損益は一切見ませんでした。
そうすることで狼狽売りを回避することができます。
よってS&P500のETFは結構なリスクです。
とはいえ長年継続すると圧倒的なリターンを得られる可能性は高いです。
S&P500のETFは上記のスパイダーのティッカー:SPY以外にもブラックロックのティッカー:IVVやバンガードのティッカー:VOOがあります。
どれもS&P500に連動していますので結果はほぼ同じです。
なお私は手数料が最も安いバンガードのVOOを購入しています。
S&P500のドルコスト平均法はあくまでも余裕資金なら、どのタイミングでやってもよく、上記過去事例では20年以上継続すれば大きな収益を得られることが分かります。
注意点としては途中で資金を引きあげることはタイミングによっては損失を被ることがあるため、流動性リスクがかなり悪いという点はありますね。
よってコツコツ投資を続けて老後は安泰させたい人には秀逸な投資手段の一つと個人的には思います。
あと上記は2021年2月時点の評価額になり、現時点では株高の傾向がありますので、後日コロナショック前の株価時点で分析した記事を掲載しようと思います。
投資はあくまでも自己責任でお願いいたします。
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