AIが建築設計ツールを操作
巷では「建築設計の仕事はAIに代替される」といった話があり、正面からその可能性について理解を深めたいと思いまして、ちょうど手元にあるCADソフトのRhino 8をChatGPTで動かしてみました。
①ChatGPTはどうやってRhinoの操作をするのか?
まず最初にChatGPTにRhinoの操作ができるか?という質問を何度か繰り返した所、しぶしぶといった感じではありましたが、手順を教えてくれました。こうして、知識ゼロから前向きに会話のキャッチボールができるのは、ChatGPTのすごい所ですね。
ChatGPTはPythonのプログラミングができるので、使用するソフトにPythonスクリプトで指示を受ける機能があれば、間接的に操作が可能のようです。
RhinoにはEditPyhonScriptというコマンドがあります。Pythonスクリプトを入力することで図形の描画ができるコマンドです。またRhinoのプラグインとして標準搭載されているGrasshopperにもPythonで指示できる機能が備わっており(GhPythonScript)、Grasshopperからの操作も可能です。
②ChatGPT×EditPythonScript
まず、EditPythonScriptで立方体の生成を指示してみました。
頂点8つの位置を計算
箱を描画する関数へ頂点の位置を与える
という手順でChatGPTが作業を進めてくれましたが、結果として下図のような立方体ではないものが描画されました。
8つの頂点を正しい順序に並べていないため、箱を描画する関数の仕様上、立方体が正しく描画できなかったようです。この後、スクリプトをどのように修正すべきか細かく指摘したところ立方体を描画する事が出来ました。
慣れの問題もあるのかも知れませんが、狙った成果を上げるには思ったより手間がかかる印象ですね。
また、ざっくりと「東京ドームつくって」と投げかけると、下の図が出てきました。正直、ゼロ回答を想像していましたが、東京ドームを円筒の上に球を載せて抽象化したのには感心しました。ちょっと未来を感じますね。
③ChatGPT×GhPythonScript
次にGrasshopperのGhPythonScriptでChatGPTに描画させました。今回は作業手順を人間側で整理して進めることにしました。
円柱を描く
円柱を正方形に4本配置
直方体を描く
直方体を円柱の上に乗せる
このぐらい手順を細分化すると、何度からエラーを出しながらではありますがChatGPTでも描画できるようです。ここまでで4本の円柱の上に直方体が乗った、建物らしき絵が出来てきました。
この後、「同じパターンを3回繰り返す(3階建てにする)」という作業を試みたのですが、これはうまく出来ませんでした。各フロアの高さをリスト化して実行させようとしましたが、私には難易度が高かったです。
下図は、ChatGPTが作業したGhPythonScriptコンポーネントに最小限の編集を加えて、別コンポーネントと組み合わせて立体を生成したものです。いわばAIと人間の合作です。
ChatGPTと作業してみての感想
AIによる建築設計は、近い未来に実現可能と感じました。一方で作業を通じて「人間だったら簡単なのに」という場面も多々ありまして、建築設計者が活躍するフィールドはどんどん広がるのかも知れません。
未来予想とかをもっと具体的に言語化できたら良いのですが、今回はここまで、とても勉強になりました、という記事です。