困った時に役に立つ
林政分野で大学院(修士)までを学んだ後、2010年に住友林業へ就職しました。まず最初は、建材メーカーの商材を建材問屋へ卸す専門商社の仕事を経験しました。
これからは、商流の間に入って口銭を頂くビジネスモデルが今後どうなるのか?という問題はある気がしますが、私は当時の上司から「困った時に役に立つのが商社の役割だ」と教わりました。
2011年3月11日の震災の日は、上司と一緒に新大阪の介護用ユニットバスのショールームを訪問していました。
関西なので震源地から遠くはありましたが、高層階でゆっくり大きく揺れたのを「めまいかな?」と思ったのを覚えています。
そこから建築資材の供給難が始まり、建材メーカーの納期遅延のお知らせが大量に届く日々が始まりました。
多くの建築現場は何とか完工させるための代替品を探していましたが、たまの「在庫あります」という情報もFAXの紙の山に埋もれていました。
先輩社員には仕事を休んで東北へボランティアに行く人も多かったのですが、私は事務所に残って毎日数百のFAXをエクセルへ整理して顧客に配信する事で貢献しようと考えました。
多くはありませんが、整理して発信した内容から欲しい代替品が見つかったケースもあったのは、良かったと思います。
また普段は別の商材を作っている発泡スチロール工場に、欠品した床断熱の代替品をカットしてもらい供給した事も、感謝された仕事でした。
大変つらい時期でしたが、情報が集まる商社に居たからこそ貢献できた仕事だったかなと思います。
起業して運営していく建築家コミュニティも「困った時に役に立つ」という場所になればいいなと考えています。
少し前の話ですが、家族で「すずめの戸締り」という映画を見たのですが、3月11日の日記のシーンがあって、そこから家に帰るまで涙が止まらなくなって、自分自身が被災した訳ではなかったのに、自分でもびっくりしました。
2011年を思い返すと、どこに住んでいようが日本人みんな、命とか生き方について考えていた気がします。