株式投資における資金別貸借対照表の使い方 その2

ここでは、資金別貸借対照表において、
「安定資金がどうゆう状況であればオッケーか」
というポイントを説明します。

まとめ
会社の財政状態を判断する際に、安定資金がどのような状態が良いのかをまとめておきます。

安定資金 ランク1から4

ポイント
1. 安定資金がプラスであればOK マイナスであればNG
2. 安定資金と長期借入金(社債)を比較して、安定資金が多ければOK 少なければNG

ポイント 1.  安定資金がプラスかどうか
安定資金がプラスであれば、その会社の財政状態は安定している。
安定資金がマイナスであれば、その会社の財政状態はひっ迫している可能性がある。

① 安定資金がプラスの場合
安定資金がプラスということは、保有している現預金から短期の負債(借入金等)を全額返済しても、安定資金の金額は会社内に残るということです。

安定資金プラス

上の表のとおり、
現預金合計は、350,000千円
流動資金の部(短期借入金)が50,000千円

この状態であれば、融資元から短期の借入金(50,000千円)の返済を迫られても、現預金(350,000千円)があるのですぐに返済が可能な状態であり、財政状態として安定していると言えます。


② 安定資金がマイナスの場合
安定資金がマイナスということは、保有している現預金から短期の負債(借入金等)を全額返済すると、現預金が無くなる(返済しようとしてもできない)状態です。

安定資金 マイナス

上の表のとおり、
現預金合計は、350,000千円
流動資金の部(短期借入金)が500,000千円

この状態であれば、融資元から短期の借入金(500,000千円)の返済を迫られた場合には、現預金合計(350,000千円)から返済しようとしても、お金が足りない状態です。

このように、資金別貸借対照表において、まずは安定資金がプラスであればOK、マイナスであればNGということが言えます。

※短期借入金を、あたかも長期借入金と同じ扱いで資金調達している会社もあるかと思います。
その場合には、安定資金がマイナスでも、財政状態は安定していると言えるかもしれません。
しかし、資金借入のセオリーとしては、財務諸表上の短期借入金は、返済期限が1年以内の借入金です。
安定資金がマイナスの場合において、返済期限に融資元から返済を迫られたときには、返済不能になるというリスクがあることは念頭に置いておく必要があります。


ポイント 2.  安定資金と長期借入金を比較する
安定資金がプラスの会社において、長期借入金(社債等を含む)が無い会社であれば、財政状態は十分安定しています。
長期借入金がある場合においても、安定資金と長期借入金を比較して安定資金の方が多ければ、実質は無借金と言えます。

① 安定資金が長期借入金よりも多い場合
安定資金が長期借入金よりも多いということは、(こんなことはありえないですが)融資元から長期借入金の一括返済を迫られたとしても、安定資金からすぐに返済が可能な状態です。

安定資金 プラス 実質無借金

上の表のとおり、
安定資金 300,000千円
長期借入金(社債含む)250,000千円
この状態であれば、融資元から長期借入金(250,000千円)の一括返済を求められても、安定資金(300,000千円)があるので、すぐに返済が可能な状態です。

② 安定資金が長期借入金よりも少ない場合
安定資金が長期借入金よりも少ないということは、融資元から長期借入金の一括返済を迫られると、すぐに返済ができない状態です。

安定資金 プラス 借入多い

上の表のとおり、
安定資金 150,000千円
長期借入金(社債含む)250,000千円
この状態であれば、融資元から長期借入金(250,000千円)の一括返済を求められても、安定資金に比べ長期借入金の一括返済はできません。

※金融機関が長期借入金の一括返済を求めることは、約定通り返済を行っていれば、基本的には無いかと思います。あくまでも仮定の話です。

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