株式投資における資金別貸借対照表の使い方 1
ここで言いたいことは、
「決算書の現金残高だけで、その会社の良し悪しを判断しないで」
ということです。
資金別貸借対照表は、企業の財政状況を表します。
企業の財政状況を読むにあたっては、「安定資金」を見て下さいといいました。
では、「安定資金」とは何を意味しているのでしょうか?
安定資金とは、
安定資金 = 現金残高 - 短期的な負債
この算式を説明すると、
「会社が保有している現金」から、
「すぐに支出が必要な現金」を差引いたものを、
安定資金と呼びます。
安定資金の判断としては、
安定資金がプラスであれば、その企業の財政状況は良い、
逆に、マイナスであれば、その企業の財政状況は悪いと判断します。
会社が保有している現金とは、
文字通り、決算期末において、会社が保有している現預金残高です。
すぐに支出が必要な現金とは、
金融機関からの短期借入(返済期限が1年以内の借入)や、経費や税金の未払金などを言います。
安定資金がプラスということは、
会社が保有している現金から、すぐに支出が必要な現金を差引いても、まだ現金は残っているということです。
安定資金がマイナスということは、
会社が保有している現金から、すぐに支出が必要な現金を差引けば、手許に現金は残らないということになります。
ということは、その支出の期限までに、新たにお金を借りてこなければ、資金がショートしてしまう状況です。
上の図のように、
年商 100億円
年間利益 1億円
現金残高 100億円
短期借入金 150億円
という会社の場合、年間利益の100倍、年商と同程度の現金を保有しているわけですから、
すぐに倒産は無いのではないかと判断できます。
しかし、この会社の場合の安定資金は、▲50億円です。
短期の借入で現金残高を賄っているのですから、
金融機関にはしごを外され、短期借入金の借り換えができなければ、
資金がショートしてしまいます。
このように、現金残高が潤沢にある会社が、必ずしも良い会社というわけではないということです。
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