限界集落に店を構える前衛的地方料理の店「L'évo(レヴォ)」
念願のL'évoに行くことがでた。そこでの食体験が感動的すぎたので訪問記を書こうと思う。
2023年2月10日(金)。天気は曇り。富山駅からレンタカーを借り、進むこと1時間。国道471号線に入り山を登っていけば行くほど細い道が待ち受ける。
対向車線からやってくる車を何度かスレスレで避けながら進んでいくと、ついに目の前にL'évoのお店が目の前に現れた。これまで幾度となく南砺市利賀(なんとしとが)地域には訪問したことがあったが、利賀地域の中でも奥の奥、細い道を下っていく必要がある。
自動ドアを入るとコンクリの壁におしゃれなロゴ。利賀で自動ドアがある店なんて多分ここ以外にないと思う。
予約したのは12:00からだったが、車で到着したのは11:40。到着すると料理をいただくテーブルではなく、待合ホールのような場所に案内された。
「ここは電波が悪いのでぜひ。あ、それとこれでリフレッシュしてください。」と手渡されたのはwi-fiのパスワードが書かれた紙と檜の匂い漂うおしぼりだった。なるほど確かにスマホの電波かなり悪い。
お客さんは私の他に外国人の男性2人組と日本人の男女2人組の合計5人だった。外国人の方はおそらくだけど観光客。外国人がわざわざこんな山奥にやってくるなんてすごい。
そんなことをしていると12時になった。ついに、料理をいただく部屋へ通される。
ドアを開けるとそこには高い天井に採光部分が大きい窓。外は一面の雪。そして、谷口シェフ他数名のスタッフが働く姿が見れるオープンキッチンが見えた。
テーブルと椅子はこんな感じ。スタッフの方にテーブルの引き出しを開けるよう促されたので開けてみると、マスクケース、メニュー表、そしてぐい呑みが入っていた。
こちらがコースのメニュー表。12品もメニューが書いてある。予約の電話をした際に「コースが終わるまで2時間半〜3時間ほどかかります」と案内されたがなるほどそりゃそうだと思った。
席に付き、一息ついているとお店の方が甘酒を注ぎにきてくださった。
甘酒を飲んでいるとprologue、前菜たちがやってきた。写真の通りもう見た目がすごい。全部で5種類あった。全て手で摘んで食べて良いとのこと。
一番左はグジェール。ヤギのチーズが降りかかったシュー生地の食べ物。しっかりあたたかく、そしてサクッとした食感が良い。
次にパリッとしたお煎餅のようなものに乗った富山県産白えび、そして鳥レバー(?)を挟んだビーツのマカロンが出てきた。白えびはもちっと、そしてしっとりしていて美味。誰かに運転してきてもらえばよかった。ああ、お酒が飲みたい。
ビーツのマカロンは個人的にかなり好みだった。口に入れた瞬間、マカロンがの酸味が口に広がりながらもサッと溶け、そのあとにやや重みのあるレバームースの味が押し寄せてくる。味が変わっていく感じ。感動した。
続いて甘鯛のクロケット。
そして県産ゲンゲの山椒味フリット。サクッフワのゲンゲのあとに山椒の風味が押し寄せる。
そうそう、今回はお酒が飲めないということで、飲み物はノンアルコールビールとこちらのノンアルカクテルを注文。クロモジ香る炭酸カクテルといった感じかな。
prologueの次は水蛸。薄く切った水蛸、その下には蛸の吸盤とそうめんカボチャ。梅肉とソースでいただく。横に添えられているのはシェフ自家製キャビア。塩味をあえて抑えているそう。
お次は赤蕪のラベ。狐色になったパン粉の上にお焼きのようなものが乗っていて、さらにその上に赤蕪のラペが鎮座。ラペの上に少しパン粉をふりかけていただいた。
自家製パンもお目見え。レストランに併設したパン小屋で毎日焼き上げているそう。
本コース最初のお肉は月の輪熊。鹿や熊は地元の契約猟師から直接仕入れをしているそう。お料理は熊肉と熊のコンソメの蜂蜜のジュレがかかったもの。
こちらは香箱ガニ、北陸地方で獲れる雌のズワイガニを使ったお料理。卵巣であるオレンジ色の内子(うちこ)をふんだんに使用。
続いて、月の輪熊を使ったお料理2品目はしゃぶしゃぶ。冬に捕獲した月の輪熊だということで、脂身が多い。この熊肉を薄く切り、雉の出汁をつけていただく。お皿右側の緑色のオイルは蕗のとうからとったものだそう。
砺波の有名な素麺、大門素麺を土遊野のヤギのチーズとオリーブオイルを使ったスープでいただく。素麺は大門素麺より特注の半生麺を調達しているとのこと。
そしてお店のメインL'évo鶏。フォルムが特徴的なこの鶏は、L'évoのために飼育している鶏なのだとか。鶏の足部分にお肉や内臓を詰め込み、その周りに利賀のどぶろくを塗し焼いているそう。
近海でとれた甘鯛の松笠揚げ。ソースはカルダモンを使っているそうで、カレーのような味。
メインは猪肉。確かカイノミ(ヒレに近いバラの部分)と教えてくれたような。ナイフの通りもよく、臭みも全くない感動的な味。
県産のよつぼし苺を使ったデザート。ジュレやドライ加工したものなど、同じ品種のいちごでもそれぞれの調理の方法によって、味わいや食感が異なるのが面白い。ムースと小さなクッキーはココナッツ風味。ライムの皮も乗せてあり爽やかな香りが漂う。
いちごは均等に薄く切られていて、透けて見えるほど。芸術的。
南砺市さくさく村のあんぽ柿を使ったスイーツ。白い粉のようなものはマスカルポーネ。まさに利賀村の雪山の如し。
食後はコーヒーと小菓子たち。エゴマのフィナンシェ、プラリネ、アップルタルト、生キャラメルなど。
お食事後に、お店の地下のワインセラーもご案内いただいた。ざっと数百本のワインが所狭しと並んでいた。
ジビエの熟成庫。ニホンジカの他、数日前に入荷したという小型の月の輪熊も保存されていた。
そんな村で私は2019年に結婚式を挙げました。ぜひ併せてご覧いただけると嬉しいです。