チック・コリア エレクトリック バンド(Chick Corea Elektric Band)の思い出のアルバム
2021年2月9日チックコリアが亡くなりました。79歳とはいえ、近年は精力的に活動している様に見えていたので、急な訃報に、非常に残念な気持ちになりました。
僕にとって、"チック・コリア"は、ジャズの世界への入り口でした。彼の"エレクトリック・バンドを知ってから、彼の過去の作品や"Return to Forever"、その他の沢山のソロ作品を聴くようになりました。
その後、チックが有名になるきっかけになった、"マイルス・デイヴィス"のバンドに興味を持ち、僕のジャズの世界が大きく広がりました。
僕がチックコリアを初めて知ったのは、大学1年生の頃、バンド仲間の先輩が、"Chick Corea Elektric Band"をコピーしていたのがきっかけです。
1986年まさに、このアルバムがリリースされたばかりの年でした。本来であれば、ここでApple Musicのリンクをシェアしたいのですが、驚くことに、"Elektric Band"のアルバムは一枚もサブスクにもストアにも存在していません。なんという事でしょう。必聴盤ともいえるこのアルバムをシェアできないなんて。
ただ、Youtubeには、当時僕も見れなかったライブ映像が多数上がっています。
Chick Corea Elektric Band - Bern Jazz Festival 1986 (FULL LIVE)
結成当時の"Chick Corea Elektric Band"は、"チック・コリア" 、"ジョン・パティトゥッチ"、"デイブ・ウェックル"の3人編成で、+ギターリスト(スコット・ヘンダーソンとカルロス・リオス)というバンドでした。
2枚目の"Light Years"以降は、ギターリストに"フランク・ギャンバレ"、サックスに、"エリック・マリエリサル"というメンバーを加え、このバンドのベストメンバーが揃いました。
Chick Corea Elektric Band - Light Years (1987)
この映像の冒頭、ドラムの"デイブ・ウェックル"が、ギター型のエレクトリックドラムを弾いてるのは貴重な映像ですね。
この頃、チックは"KX5"というヤマハのショルダーキーボードコントローラーを使って、ステージの前に立って演奏することが多く、後にそのイメージが強くなりました。
僕がリアルタイムにこのグループを追いかけはじめたのは、3枚目のアルバム"Eye of the Beholder"です。
このアルバムから、チックはこのバンドでは封印していた"アコースティックピアノ”も演奏する様になり、サウンドもよりダイナミックに、アルバム通してのコンセプト色も濃くなりました。
出たばかりのこのアルバムを、良い音で聴きたくて、当時御茶ノ水にあった"響"というジャズ喫茶で、このアルバムをリクエストして、流してもらった事をよく覚えています。
ただ、ジャズ喫茶の雰囲気とは明らかに違ったエレクトリックで、ダイナミックなサウンドで、片面(レコードだったので半分)しか聴かせて貰えなかった記憶です。
4枚目の"Inside Out"は、バンドとしてのアンサンブルも極まり、チックも新しい機材をドンドン取り入れていたイメージです。このアルバムで初めて、バンドとしてミュージックビデオを販売しました。おそらく、バンドの人気も最高潮だったのではないかと思います。
Chick Corea Elektric Band - Inside Out (Official Video)
1991年に発売の"Beneath the Mask"は、前二作からは方向転換して、よりポップなアルバムに、人気も知名度も高くなり、収録曲の"99 Falvor"は、当時YAMAHAが発売した最新のシンセサイザー"SY99"のデモ曲として、シンセサイザーの中に内蔵されました。
この曲を聴くために、いち早く展示されている楽器店に行ったことを覚えています。
このアルバムツアーの後、バンドは一旦メンバーを入れ替え、"Chick Corea Elektric Band II"として、アルバムを出しますが、一枚きりでした。
その後、2004年にオリジナルメンバーで再結成され、2019年の東京JAZZフェスティバルにも出演しています。
ファンになってからは、来日の度にライブに足を運び、最後のステージは、2019年の東京JAZZフェスティバルでした。
91年頃、最初に"Chick Corea Elektric Band"のステージを見てから30年近くの時間が経っていましたが、彼らのステージには、全く衰えが感じられず、非の付けどころが無い素晴らしいものでした。
今の音楽サービスで、"Chick Corea Elektric Band"の曲が聴けないのは非常にもったいないですね。