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雑感74 人と空間と

 建築家・妹島和世さんの対談を聞いた。妹島和世の名前を知ったのは、かれこれ二十年前くらいになる。もう既に、SANAAとして世界的に活躍されていた。SANAAは、Sejima and Nishizawa and Associates で、サナアと呼ぶ。
 たくさんいる建築家の中で、妹島和世さんを覚えていたのは、建築作品が素敵だったから。当時読んでいた建築雑誌は写真が中心で、写真に対するキャプション程度の説明しかなかった。建築は実物ありきなので、実物だけで勝負するところがある。わたしは実物を見たわけではないけれど、「これはいい」と思ったのだった。
 なぜ、SANAAの建築をいいと思うのかはわからなかった。やっと先日の講演で解明したような気がする。妹島和世さんが繰り返し言ったのは、「いろいろな人が集まれる場を作りたい。いろいろな人がいれば、意見の違いや問題も出てくる。それでも、集まれる空間を作る」「空間が人に影響を与え、人が新たに空間を作る」
 建築は生き物のようだと思っていた。わたしは上手く説明できなかったけれど、妹島和世さんはその答えを持っていた。建築は動かないけれど、人の使い方次第でどんどん変わっていく。
 建築を小説作品にしたことがある。たぶん、これからも作ると思う。そして、いつか妹島和世さんの物語を作ってみたい。



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