中村修平のリミテッド解説「ダスクモーン:戦慄の館」
authored by Shuhei Nakamura
※当記事を、事前の承諾無く複製・転載・加工・配布・再出版等することを禁止します。
総論
全体の印象
カードパワーは昂揚前提でこのところの標準レベル程度。
単体として見るなら弱いに分類。
環境速度という点ではかなり癖があり、「早い」というよりは2ターン目にクリーチャーを出していないと著しく不利を被るという環境。
適当に使ってもそれなりの出力だが細部にこだわる事でもう一段デッキパワーが上がるという事が発生しやすい。雑多に見えてちゃんとカードを選ぶ。
全体的に攻める側により利益が多くなっている構造となっているので、アグロ、ミッドレンジのいずれにせよ2マナクリーチャーを非常に多めに積んだ構成が標準となっている。
また、各キーワードが密接に絡んでいるのでデッキを組む際は複合アーキタイプになりやすいも特徴。
2色構成が基本ではあるが上記を守ればアグロである必要はなく緑多色系や色拘束の薄い一部ぶっ壊れレアをタッチする構築を推奨する。
解呪系カードはエンチャント/アーティファクトどちらも触れるものについてはメインボードに入れる価値あり。
ベーススタッツは戦慄予示の存在もあって2/2が非常に幅を効かせていて、ゲーム序盤の2~3マナ域についてはほぼ2/2サイズの戦いになる。
また、2マナクリーチャーには質が良いものが多い。
より後のターンになっても仕事をしてくれるのと、低マナ除去が少ない事もあって、2マナ域に相対させるのは同じ質の2マナ域のクリーチャーとなりやすい。
このあたり前述の2マナクリーチャー過多の要因となっている。
3マナ域と2マナ域に差がほとんどなく、また継戦能力が高いのであれば、デッキ構成を2マナに寄せた方がより良いものになりやすいという理屈。
コンバットトリックもそれに沿って浮きやすい1マナで使える事にかなり価値がある。
他方で小幅なパワー上昇などにも事欠かない事もあってタフネス3に対する信頼感はかなり薄い。
環境の基本除去となっている《焦熱の竜火》で簡単に2アクション取られてだいたいそのままゲームに負ける。逆マジックナンバー。
言い換えると《焦熱の竜火》されないタフネス4からはそれなりに安心感となるがコンバットトリックが+2/+2相当なので序盤のブロッカーとして少なくとも一方を取られなさそうなのは4/4から。
とは言え、タフネス4に向けてはコンバットトリック込みでないと殴れないという状況になりやすいので、状況としてはわかりやすくなる。
本当にクリーチャー戦闘で一息つけるのはタフネス5が必要。
ただしこういったところの1マナの軽重は大きく強さが変化する。
例えば弱いと言ったタフネス3にしてもアンコモン以上にしか存在しない2マナ2/3+は同マナ域に対処を要求していて強いと感じるし、《鍛えられた随伴者》は3マナ枠だからこそ抜群の安心感を持っている。
またせっかくのタフネス5も5マナ域だとそれほどの魅力は感じない。
昂揚付き《不可能な業火》で撃ち落とされたり、より大きなマナ域のクリーチャーに阻まれて苦労することになりがち。
加えて除去の性能自体は割と高めな環境であるというのもよろしくない。
《焦熱の竜火》と同じような話になってしまうが、3マナ以降に豊富にある確定除去に2/2を追加する2アクションもよくある光景。
どれだけスタッツが良くとも一発除去で沈むのなら同じ話。
ここもまたアグロが優勢である理由になっている。
個別具体的な話に落とし込むとすると、《ウィンターの介入》と《焦熱の竜火》には格の違いがあって、《勇み肌の吸血者》はなんかとても強い。
また、殴り合いでタップアウトしているところにはもちろん、クリーチャーが立っているところでも《剃刀族の群れ呼び》は常にぶっ刺さるが、《自然知識の生存者》は非常に状況が限定されてしまっているので使い勝手が悪い。
結論としては、より軽いアクションでわかりやすいゴールであるライフを狙いにいくアグロ戦略はこの手の裏目を引くより、相手に引かせる事が多くなり、相対的に優位に立っているという認識。
この裏目引きを低減できるのであればコントロールを構築する事も可能ではあるがかなりハードルは高いよといったところ。
なお飛行については、ほとんど素通りになるが、飛行自体がそもそもそんなにいない。
流石はダスクモーン。《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》の腹の中という設定なだけはある。
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?