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中村修平のMTGリミテッド解読「基本セット2021事始」
authored by Shuhei Nakamura
※当記事を、事前の承諾無く複製・転載・加工・配布・再出版等することを禁止します。
(1)「基本セット2021」全体の印象
カードパワーは一部を除き、全体的にかなり弱く構成されている。一部の突出したカードと、それに相性の良いカード、もしくはマルチカラーのアンコモンを中心としたシナジーを、いかにかき集めて運用できるかに、デッキの出来は左右される。土地は白系アグロなら16枚、それ以外は17枚が基本値。
少々雑に言ってしまえば、コモンの最上位3枚
《バスリの侍祭》、《うろつく光霊》、《焦熱の竜火》
とそれに続く2枚、
《狩人の刃》、《闇の掌握》
のどれか1種類が沢山取れれば、あとはそれらが使いやすいようにドラフトをすすめるだけで、大体強いデッキとなる。
色の強弱も、コモンの上位カードの優先順にそって
白 > 青 > 赤 > 緑 > 黒
となっている。それに付け加えるなら、とにかく守り難いというのが環境の特徴。コントロールデッキを構築するにはかなり厳しく、アグロデッキが肯定されやすい。これについては複数の理由があるのだが、とはいえコントロールが全く出来ないという言う訳ではない。
概説はこれくらいにして、前半はなぜコントロールの構築が難しいのか、環境のクリーチャーサイズ、除去の質とコンバットトリックについて説明していくことにする。
(2)環境序説
(2.1)マナレシオ
まずはクリーチャーサイズ。マナレシオに沿ってクリーチャーサイズを分けると
【2マナ】 2/2
【3マナ】 2/3or3/2
【4マナ】 3/3相当
【5マナ】 4/3相当
見ての通り、これまでの他のセットと比較して、4~5マナ圏の質が著しく低い。そのために、早いターンに出たパワー3が、それ以降に出てきたクリーチャーと相打ちになる構図となりやすく、必然的に先手を取ってクリーチャーを展開する側であるアグロ戦略が有利な下地となっている。
コモンで壁らしい壁として機能できるのは《ルーンの壁》、大幅に落ちて《賽銭ガニ》くらいというのにも状況に拍車をかけている。何体かタフネス3で壁のような位置づけらしきカードもあるが、効果はあくまで限定的で決して信頼できるものではない。これがコントロールにとっての逆風その1。
環境のマジックナンバーは4。特にタフネスの4は、低コストから展開されるパワー3クリーチャーに対して、相手から先にコンバットトリックを使わざるを得なくさせる。使わせるにせよ、使ってもらうにせよ、後述の除去の性質などから、この環境でのコンバットトリックは先出しさせる事にかなり大きな意義がある。
《墓所に潜むもの》はそういう意味で大きく使用前から評価を上げた1枚。
つい直近のセットのような、高カードパワー環境では4マナ3/4などアンプレイアブルの烙印を押されかねないサイズなのだが、この環境では充分にスタメンをはれるサイズ感。加えて生贄・手札捨て、両モードとも他カードとシナジーを形成する。
パワー4については、タフネスほどには重要視しなくてもよい。というより戦線を突破できるサイズのクリーチャーを作ろうとすると、だいたい4以上に勝手になってしまうというのが正しい。純粋に素のスペックでパワー4のクリーチャーとなると、思いのほか見つけ出すのに難しくなる。そのあたりに、「パワー4以上」がキーワード能力である、赤緑の悲哀があるのだが、それは別項で話すとしよう。
なお、飛行クリーチャーの白と青に2~3枚、黒は《異臭のインプ》、無色に《空中走査器》でパワー3まで。到達持ちでよく見るのは《罠紡ぎ》と《砲塔のオーガ》のタフネス3までと、相打ちが多発するという構図に変化はない。
(2.2)除去
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