アルメニア生活記10🇦🇲
アラヴェルディでの生活は終わりを迎えた。のどかな町はなぜか性に合う。ここなら海外でも住めるのではないか。そんなことも思うが、実際海外移住なんてそんなに甘くない。さてそんなアラヴェルディから、またジョージアに向かうことになるのだが、これがまた面倒なのだ。大きな街からなら、直通でバスが出ていたり、途中の経由地まで行き、乗り換えが可能だったりと、融通が聞くのだが、ここはそんなに栄えた町ではない。そのため、どこに向かうにしても少しばかり面倒なのだ。私たちは当初国境までのバスを探したが、そんなものは無かった。さてどうしようかと思っていたところ、1人の女性が話しかけて来た。「何か手伝いましょうか?」さすがアルメニア。この女性もしっかり美人だった。「ジョージアに行きたい」そう答えると、何やら調べてくれた。確かにここからのバスはない。ここからは国境までタクシーしかない。彼女はそう教えてくれた。幸いにも国境に近い町なだけあって、値段もそんなにはしない。仕方なくタクシーのドライバーと交渉をしていると、彼女も入って何やら、料金交渉をしてくれている。そして念には念を入れて知り合いにまで電話をして料金の確認までしているではないか。なんて優しいのだ。
結果、タクシーの運転手も最初から正規の料金で話しをしてくれていたみたいだ。疑いすぎて申し訳ない。そう感じた。彼女に最大限のお礼と記念撮影だけすると、「良い旅を」といって足早に消えていってしまった。姿が見えなくなってからも、彼女の香水の匂いだけがそこには残っていた。
なんとか国境まで到着したはいいものの、ジョージアに入国してからの移動手段がないことにかなり困っていた。そこでアルメニア側にいたタクシーの運転手に色々と聞いて見ると、ジョージアの首都トビリシまで送って行けるとのこと。そこは陸続きの国のいいところである。色々交渉した結果、何かと問題のない値段に落ち着いた。もちろん、ジョージア側に行き、バスを探したほうがいくらか安く済むのだが、この辺の国は時間があってないようなものだ。だからこそ、その日のうちにトビリシにたどり着ける確信がなかった。次に行きたい町はもう決まっている。そのために2泊も3泊も足止めを食らうのは勘弁だった。てことで、またタクシーを使った。日本だったら、もう破産しているかも知れない頻度でのタクシー移動。しかしこれもまた物価の安い国だからこそできることだろう。
ジョージアをかっ飛ばして走るアルメニアナンバーのタクシー。その車内に座るアジア人。文章にすると不思議な感じがするが、これもまたこの国ではなんの不思議もないことなのだ。
3時間は走ったであろうか、やっと見慣れた街が見えて来た。首都トビリシ。正直、もう見るものは何もない。こんな時にどんな言葉が適切なのかは私は知らないが「飽きた」というのが最もピンと来るはずだ。発展した街並みも、活気のある人々も、少し飽き飽きしていた。やはり都会は苦手なのだろう。たまに飲みに行くくらいが丁度いい。そんなことを思いながらも、今まで訪れた国の全てで首都を訪れているのだからよくわからないものだ。
トビリシに着いたのはもう夕方だった。その日のうちに次の町に向かうことは難しかったので、仕方なくトビリシに1泊することに。とは言うが、中心地から離れたバスターミナルに程なく近い宿を選んだ。こんなところからも、飽きていることを確認できた。
さて久しぶりに戻って来たジョージア。次はジョージアの西側には楽しみにしていた町がいくつかある。今回はどんな旅になるのか。私はとてつもなく揺れる二段ベッドの上でこんなことを考えていた。