【チームで活動する上で必要になる、「ルールを守る」ということをどうすれば確実にできるのかという実験】
私が今携わっている仕事の一つに、地元の県立高校の地域コーディネーターという仕事がある。
あまり聞き馴染みがないかもしれないが、少なくとも私は“先生”ではない。
我々の高校時代のころに比べてその傾向は小さくなってきているかもしれないが、一般的に、学校というところは閉鎖的だ。
その上、校長含めて先生方は忙しく、異動も付きもので、地域の人とつながりをもつということが難しい。
ましてや、地域の人を学校での教育活動に巻き込むというのはさらに輪をかけて難しい。
そこで出番となるのが地域コーディネーターというポジションだ。
地域コーディネーターという言葉の通り、学校と地域を“つなぐ”役割をもつ。例えば、探究授業の中で生徒たちに必要な知識、経験をもつ地域の人を適切なタイミングで授業に招き、共有をしてもらう。
さらに私の場合は、もう一つ、これまでの経験を活かして授業の中のワークショップをデザインしたり、ファシリテーターとして生徒たちの対話を促すことも役割となっている。
この地域コーディネーターという立場も4年目に入った。
今年度は、従来通りの「産業社会と人間」、「2年次の総合的な探究の時間」、「3年次の総合的な探究の時間」での関わりに加えて、新たに2年次生の有志を対象にした放課後のとある活動を任せてもらうことになった。
ココではそこまで細かいことはは書けないけども、その活動では年度を通じて、そのメンバーは具体的なアウトプットの場を成長の機会とするために、人の話を聞き、自分たちで考え、さらに人に伝える、というということを学んでもらおうと思っている。
そのためには、ただ漫然と数をこなすのではなく、人の話を聞くうえで大切にしてほしいこと、考えるということはどういうことなのか、伝えると伝わるはどう違うのか・・・・なんてことを今までの経験を総動員して共有できればと思っている。
とはいうものの、今どきの高校生は忙しい。
部活や教科の宿題、習い事はもちろんのこと、スマホを通じて繋がるSNSやYouTubeの世界にも興味津々だ。
活動の初回だった昨日は、限られた時間でとにかくこの有志15名をひとつのチームと見立ててお互いの理解を深めて、『自分たちで考えた自分たちのルール』というものを決めてもらった。
本当にこの一連の流れが面白くて、ルールとして良いものができたと思っている。
もちろん、私からは、~をすべき、~をしないといけない、なんてことは一言も言っていない。
問いかけたのは、
「みんなが大切にしたいことは何だろう?」
「それを大切にするため必要なルールって何だろう?」
この二点だけ。決めるルールの数も指定していない。
ただ、この問いかけに至るまでにしたことと、
・このチームでどんなアウトプットの場が予定されているのを伝え、
・メンバーそれぞれが活動に参加することで得たいと思っている自分像が何なのかを共有し、
・偏愛マップを使った自己紹介した。
この3点くらい。
結果、決まったルールというのがこの3つ。
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①自分と他人の意見を大切にする
②一人一回は意見を言う
③毎回参加する
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変な話、大人でもなかなかこんなルール自分たちで決められへんで(マジで)‥‥と思ってしまったことはこのメンバーの活動が終わるまで黙っていようと思う。
さて今後は、こうして決めた一見難しいルールが、他人に決められたルールに比べてどれだけ守られるのかを彼ら彼女らに伴走しながら見届けてみたい。