レイ川上のユウウツ
芸能関係ぽく言うと、今のボクは【コタツ記者】と揶揄されるやつ。コタツに入ってテレビ見て、そこでしゃべってることをそのまま文字起こしするだけ、みたいなライターの蔑称だ。そして、ボクにもその自覚はある。今自分はコタツ記者ってるな、と。インテル入ッテルな、と。実際、パジャマ着たままコタツに入って書いてるからね。まあでも、うどん屋のカレーうどんだからいいんだけどさ。
それでも。ああ、それでも。
こんなすごいの見たら、そりゃあ書くよ。書かざるをえない。書きたいって衝動を、ボクは抑えることができない。カーソルの上を滑る指が、速すぎて見えないくらいに、フリック入力しすぎて指紋がなくなるくらいに、ボクは今、猛烈に書いてる。書いてるし、描いてる。
ボクがこの記事を書こうと思った理由を、先に挙げとく。
◾️今日は日本プロ麻雀協会24期前期プロテストの日だから。まだ見ぬ後輩たちに、条件戦の考え方を書き残しときたい。
◾️解説の新井啓文さんが誤った解説をし、視聴者がそれに引っ張られてたみたいだから。新井さんはめちゃ謝ってたし、別に文句とかじゃあないけど。
◾️この話は2回戦がメインなんだけど、1回戦がすでにもう面白い展開だったから。
◾️主役は川上レイさんであるものの、他の3選手もそれぞれ死力を尽くしてたから。
じゃあ行こう。以下、常体・敬称略で。
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川上レイは、憂いてた。1回戦南4局、
ラス目の小宮悠がゆっくり牌を倒すと、裏ドラが2枚乗って
立直・一発・一盃口・ドラ1・赤赤・裏裏
倍満の和了りになってしまった。
後のインタビューで川上自身が語ってるのを聞いたところ、この手が倍満だと分かった川上は、すぐに手元の点棒表示ボタンを押したそうだ。赤いデジタル表示は、18200点差を示してる。倍満は16000点だから、耐えたじゃないかと思った人は、麻雀を勉強し直してほしい。
倍満16000+供託1000+小宮自身の立直棒1000+1本場300=18300
なんとこれが、100点まくられてるのだ。
トップにオカがある、いわゆるMリーグルールにおいて、川上がトップをまくられたのは激痛という2文字では表せない痛さだし、逆に小宮の立場からすると4着→トップになる和了りってのは、野球で言う代打逆転サヨナラ満塁ホームランてことになる。小宮悠は北川博敏だったのか。北川博敏を知らないチビッコは、お父さんに聞いてみよう。
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さて2回戦南3局、親番も落ちて、トップ獲得まで18200点差になってるのは朝倉ゆかり。ピンズの清一色で、8000から12000の和了りを目論む。山のどこかに赤牌が入ってるかもしれないからね。
このピンズを二副露させたのが、誰あろう川上なんだけど、下家・朝倉の明らかなピンズ仕掛けに対して、なんでこんな大盤振る舞いしてるのかっていうと、
青山学院大学陸上部風にいうと【ピンズを腹一杯食わせてソーズで打ち取る大作戦】だ。ラス牌の7sが朝倉の手からツモ切られ、
川上がロンの声をかける。表ドラ・裏ドラともにないけど8000点。松嶋桃をかわして2回戦のトップをねらってる人には絶対できない和了りが、こうやって発生したのだった。松嶋じゃなく、朝倉と勝負するための立直が、そこにはあった。
南4局を前に、ポイント状況を整理してみよう。
現状通過ポジション1位は、松嶋桃。
△15.0+65.3=+50.3
通過ポジションの2位が、今の和了りで2着目に浮上した川上レイ。
11. 1+0.9= +12.0
敗退ポジションの3位は、小宮悠。
51.2−45.0=+6.2
4位が、朝倉ゆかり。
△47.3−21.2=△68.5
ここで、着順の観点から、今回の川上レイの勝ち上がりパターンを考えてみよう。
小宮悠・1回戦トップ・2回戦ラス目
川上レイ・1回戦2着・2回戦2着目
松嶋桃・1回戦3着・2回戦トップ目
朝倉ゆかり・1回戦ラス・2回戦3着目
トーナメント戦を戦う上での基本的な心構えとして、【1回戦トップ者は、1回戦3着者に厳しく打つべし】という格言がある。それは、今回のような並びを作られないようにするためだ。
この試合で言うと、小宮は、松嶋にだけはトップを取られてはならず、2回戦のトップが川上なら川上と、朝倉なら朝倉と2人で通過できるようにしたかった。
南4局は、和了り通過の川上が300/500で締めくくる。2100点放銃で着ダウンとなることも気になる中、そして朝倉の三倍満ツモを目指した立直をかいくぐって、勇気を持って前に出たのが見事だった。
立直・一発・ツモ・タンヤオ・ピンフ・ドラドラ・赤赤・裏裏なら三倍満。惜しくも敗れはしたものの、朝倉は最後に乾坤一擲の手作りを見せてくれたのだった。こういうのを「エレガント」と言うので、大会のコンセプトにマッチしてて素晴らしい。
実況解説でさえ間違えるレベルの、難しい条件戦を、針の穴を通すプレイで華麗に通過してみせたのは川上レイ。次のTOP16で1番の注目選手だと、ここでコタツ記者の印を打っておこう。
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こういう手に汗握る条件戦を、やってみたいなーって思うじゃないですか。でもプリンセスオブザイヤー2025は東京だからなあとか、女流プロの試合だしなあとか、考えるじゃないですか。
そんなアナタに朗報です。3月23日(日)富山県にある麻雀スタジアムで、第1回麻雀スタジアムトーナメントカップが開催されることになりました。どうぞみなさん、奮ってご参加ください。
ボク?ボクは締め切り直前までみんなの動向を見てるよ。ボクがエントリーすると、みんなの席がなくなっちゃうからね。
川上レイさん、TOP32通過おめでとうございます。次もクレバーでカッコいい麻雀見せてください。
じゃあね、アディオス!