ボクはあの日、園りさの麻雀にシンデレラを見たんだ。
このアルパカnoteの中には、2年経った今でも、まあまあのアクセス数を集める記事があります。Twitterとnoteとの違いは、文字数制限だけじゃなく、こういうところにもあるんですよね。未来永劫において検索にかかる可能性があるというか。
シンデレラリーグがシンデレラファイトになって華々しくスタートを切った2022年の、しかも開幕戦で、見事トップとなった椿彩奈さんを書いた時のやつです。
ボクはその後、協会の出場選手が一巡するまでずっとアルパカnoteに書き続け、シーズン2開幕前にオファーを受けて、以後は公式で書くようになりました。他人事なら、ボクが1番のシンデレラだよなあって思います。
まあそんなワケで、前回のシーズン2はアルパカnoteに1文字も書いてないシンデレラファイトを、今日は書いてみたいと思います。腕が鳴るぜぇ。
シンデレラファイトシーズン3
オフライン予選ファイナル
グループA♯1
以下、常体・敬称略で。
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シンデレラを見つけた、と言わざるをえない。
一般的に、シンデレラというと、
■カボチャの馬車
■お城
■舞踏会
■ガラスの靴
■王子様
このような言葉が使われがちだが、実は本質はそこじゃない。シンデレラの本質は、灰にまみれ艱難辛苦を乗り越えた先にある栄光なのだ。今の言葉を使うなら【ギャップ萌え】と言い換えてもいいかもしれない。
南2局0本場、園りさは苦しい局面を迎えていた。
ラス即脱落の、いわゆる【シンデレラシステム】において、自身より1400点下でラス目の千歳りみから立直を受ける。
もしこれがいつものリーグ戦なら、あるいは相手にしなかったかもしれない。自分の手形がもっと悪ければ、きっちりオリることができたかもしれない。しかし、234の三色を目指して一向聴にまでこぎつけていた園は、何かに魅入られたようにチーテンを取ってしまった。
ここで放たれた2pが、千歳の嵌2pにヒットすると、裏ドラが6sになり、立直・一盃口・裏裏の8000に化ける。
千歳の立場からすると、夕陽に向かって万歳三唱してからダーッと走り出したくなるような、嬉しい和了りだ。一気にトップ目に立ち、勝ち抜けが目前に迫る。
一方の園。痛みに耐えて次局に向かう。
そうやってラス目で迎えた南3局の親番。
事前のアンケートに、
ポジティブ←7654321→ネガティブ
という項目があって、1番ネガティブだと自分のことを評した園が、4巡目にネガティバーの真髄を発揮する。
345の三色を見切り、受け入れを最大にする打3s。こうしておけば、ツモ2p〜8pの全てで好形聴牌になる。1番親リーが打ちやすい受け方だ。
ボクも同じネガティバーだから分かるんだけど、この4sの暗カンも迷ったんだと思う。子方から立直が飛んできたりしたら、押し引きが格段に難しくなるからだ。
でも園は、蛮勇を奮って「カン。」と宣言した。新ドラ表示牌は、元ドラ表示牌と同じ2pになり、園のネガディバーは3pを持ってることよりも、(2p減った…。)と思ったに違いない。
新ドラが内村の七対子に2枚乗り、さらに園がほしい8pは、内村の手からツモ切られ、
キー牌の5pは、七瀬美希に。
七瀬はこの後ツモ6pも引き入れたが、園の河に1枚あって、自身が暗刻にしてる1pを外す。園に聴牌を入れさせず1局消化したいという、クレバーな打ち回しだ。
陽南まこと一緒に麻雀barフルフラッシュの店長を務める七瀬。団体は園と同じ協会だが、ここは個人戦の戦い方に徹した。
山にたっぷり眠ってた有効牌は、1枚たりとも引けず、鳴けず、南3局は四軒ノーテンで流局に。
南4局1本場、園はラス抜けの条件まで
■1300・2600は1400・2700ツモ
■3着目の内村を3900は4200直撃
■8000は8300出和了り
となっていた。試合後のインタビューで「トップになることは考えてなかった。」と語った園だが、一気にトップまで行けるコースもあった、と後に知ることになる。
まずまずの配牌をもらうものの、問題は打点。役牌の發は貴重な打点の種だったが、園は対子落としを選択。發が暗刻になる未来に期待せず、受け入れが広い全体役のタンヤオに寄せていく。この辺にもネガティバーが出てるのだろう。
3着目のラス親・内村も黙って見ているわけではない。場風の南をポンし、一目散に和了りへと向かう。
そんな中、園に待望のファースト聴牌が入るものの、ここはダマテンを選択。というのも、このまま立直をかけてツモ和了ったとしても、裏ドラが乗らなければ3着目の内村に届かないのだ。
返す返すも南2局の8000放銃が痛いし、南3局のノーテン親流れが痛い。苦しい時間が長い。南4局の、聴牌が入った後でさえ、園のじりじりした時間は続く。
それでも、園は歯を食いしばってツモ切りを続け、ダマテンを続行する。ツモ6pになった時高めとなる6pが場に切られ、4sのくっつきである5sも他家に吸収されていく。園の未来が、少しずつ、しかし確実に閉ざされていくのが見えてしまって辛い。
「和了れる」という意味での本当のファースト聴牌は、親番・内村に入った。4pを暗刻にしての36m待ちだ。内村はここで1500は1800を加点すると、次局ラス目の園にさらなる条件を突きつけることができる。
園は絶体絶命のピンチ。
ここで、ようやく園のもとに舞踏会への招待状が届く。真紅の5sを引き入れ、打4sで立直に行く。高めの3sならどこから出ても8000でラス抜けできるし、安めの6sでも一発か裏ドラが1つ乗れば…
頼む神様!
今まで我慢した園に!
何か1つお与えください!
一発か!
ツモか!
表ドラか!
裏ドラか!
頼むよ!オイ!
お願いだよ!
気合いのプッシュで36m待ちを継続した親番・内村に、
七瀬が嵌4m待ち聴牌で追いつく。七瀬は局後に『園さんの現物待ちで聴牌取れたので、勝てるかも…と思いました。』と語った。
本当だ!
ヤベェ!
てかスゲェ!
南3局のピンズ絞りも!
どうなってんだコリャ!
と、ワタワタが止まらない三軒聴牌の行方は…
『ツモ。』
麻雀の神様は、園に
■一発
■ツモ
■表ドラ
■裏ドラ
の全てを与えたのだった。いやいやいや、ラス抜けのためにはそんなにたくさんいらないよ…と思ってたんだけど、この3000・6000は3100・6100で、園は一気にトップ目まで駆け上がり、本戦出場を決めた。
いやあ、すごい。こりゃあ久々のシンデレラofシンデレラじゃないか。
あと、この局終了後の内村がまた素晴らしかった。
放送対局で痛恨のまくられ脱落、頭が真っ白で何も考えられなくなっておかしくない状況で、冷静に園の和了りをチェックしている。ノーテンやフリテンがあったら、すぐに指摘できたのだろう。こっちはこっちでとんでもないルーキーが出てきたものだと思う。フォトブックも出てるって聞いたし。
園りささん、大逆転での本戦進出おめでとうございます!南2局〜南3局の不遇に耐えてた姿が、ボクの苦しい今と重なり、感情移入して見てました。次も頑張ってください。