会社設立と事業年度

事業年度

今回は、事業年度を決めるの法的な注意点を簡単にお話しします。


■事業年度とは

法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(法人税法第13条)

会社の経済活動の節目となる期間をいいます。
法人税の納付額の決定、融資の際に必要になる決算報告書や株主への配当、株主総会での役員変更など、会社にとって大きなイベントが事業年度毎におきます。

■事業年度の決め方

事業年度は、会社設立時に税務署に届け出た期間、となります。

定款に事業年度を定める会社も多いですが、必ずしも定款に記載する必要はありません。
定款の記載内容と税務署への届出内容が異なる場合は、税務署への届出内容が優先されます。
当然、定款に記載した場合は、事業年度を変更する際に、定款の変更手続きも必要になります。

■事業年度の考え方

では事業年度はどう決めるといいでしょうか。
法律上は、1年以内の期間であれば自由に決めることができます。
それこそ自分の誕生日にあわせる、ということも可能です。

ただ、事業年度は決算報告書の密接に関わるため、あまり一般的でない期間を設定すると、融資先等から会社の信用を失う要因にもなりかねないため、迷ったら一般的な期間から選ぶといいでしょう。

①4月1日から3月31日まで:
国の会計年度とあわせたもので、多くの企業が採用している期間になります。
国の補助金の募集期間や学校を卒業した新入社員の入社時期などとも会計年度があっているため、特にこだわりがなければ、この年度であわせると問題は起きにくいかと思います。

デメリットとして、多くの企業が採用しているため、税理士さんの繁忙期が被っており、決算内容に関してゆっくり顧問税理士と相談する時間が取れない可能性があります。

②1月1日から12月31日まで:
暦に合わせたもので、こちらも多くの企業が採用しています。

デメリットをあげるとすれば、年度締日が年末年始の休暇をまたぐため、ご自身の会社や顧問税理士の営業日を確認しておく必要があることでしょうか。

③その他1日から末日まで:
上記①②以外の場合でも、基本的に1日開始、末日終わり、で設けることが多いです。

■その他の考慮他要素
①事業年度の終わりにやること

事業年度の終わりでは、会社は以下のように多くの作業が必要になります。特に計算書類の作成は、かなり社長の手間もとられるので、会社の繁忙期に被らない時期にしましょう。

・計算書類(貸借対照表、損益計算書等いわゆる決算書)及び事業報告書の作成
・定時株主総会の招集
・役員の選任(役員の任期は、任期期内に行われる最後の定時株主総会まで)
・株主への配当
・決算公告(貸借対照表を官報等を用いて公に発表すること)
など

②資金猶予

事業年度の終わりでは、法人税の支払いがあります。また融資の際に必要な決算報告書、事業報告書を作成する時期でもあります。
資金的に余裕がない時期に設定してしまうと、法人税が支払えなかったり、決算報告書の数値が殊更悪く見えたりなどありますので、注意しましょう。

■まずは税理士に相談を
上記以外にも事業年度に絡む要素は意外と多いので、基本的に税理士等の専門家に一度は相談することをおススメします。

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