法務部は必要か?
法務部は必要か?
これから会社を立ち上げる、既に会社はあるけど法務部はない、という場合にどうしたらいいか。
そもそも法務部は必要なのか、、、について簡単にお話しします。
■結論
法務部という名称をもつかどうかはともかく、
法務の責任者は必要
です。
ここでいう責任者とは、必ずしも弁護士や法務経験がある人でなくてもいいです。
後で話すように、「法務実務」に関しては外部の弁護士等をハンドリングすればいいです。
適任者がいない場合は、社長か社長の右腕の人が兼任することになります。
■法務部とは
法務部の役割は、大きく5種類あります。
①契約法務
取引先や従業員、オフィス、リース機器、銀行融資、商標出願、行政への各種届出、保険約款などの具体的な契約締結だけでなく、その前段階となるどのようなビジネスモデルやスキームを組むのかといった、経営企画・営業戦略等にもかかわります。
例えば、お店が来場者にプレゼントを配りたい場合は、景品表示法等から検討が必要になります。
②機関法務
機関とは株主総会や取締役会をいいます。議事録や招集通知等会社法上定められた手順をふみ、記録を残す必要があります。
③コンプライアンス(法令調査含む)
コンプライアンスを訳すと法令遵守となりますが、ここでは法令を含めて、社内体制を健全な状態に整備することをいいます。
業務フローの有無や情報資産の管理方法が決まっているか等、会社の業務が適切に運用されるためのルール作りになります。
ビジネススタート時から運用フローなどが全て整っているのが理想ですが、補助金申請や上場、事業売却、大規模な増資・融資などを検討する際は必要になってきますので、ない場合も早めに作りましょう。
④法律相談
主にスタッフからの法律相談窓口としての機能をいいます。セクハラや給与未払い、残業、パワハラ等社内の繊細な事項の相談先として法務部が求められる場合もあります。
⑤紛争法務(トラブル対応)
未払いの取引先に対する請求だけでなく、スタッフの就業中の事故やメール誤送信による個人情報の漏えい、お店であれば万引きや器物破損などの犯罪被害、ネットでの誹謗中傷対応等への対応も必要です。
■どこから手を付けるか
まずは①契約法務から。
出来れば③コンプライアンスも。
全て必要ですが、現実問題として、緊急性と重要性が高いのは①の契約法務です。
売上がない会社はそもそも生き残れません。
②機関法務も会社法上必要ですが、上場企業でもない限り、株主も数名しかいなかったり、取締役会もなかったりで、年1回の定期株主総会の準備だけすればいいので、そのときだけ弁護士や税理士に相談すればいいです。
同様に④法律相談、⑤紛争法務も、発生頻度を考えると都度弁護士に相談するでいいと思います。仮に法務がいても、法務担当者が弁護士でもない限り、結局外部の弁護士に依頼することになります。
問題は③コンプライアンスで、「個人情報の管理」「情報資産の管理」「指揮命令系統」「通常の業務フロー」等は法務部がいなくても、会社として早めに整えておくと、事故やトラブルを未然に防げます。
■予算は
法務関係の予算として
一般スタッフ採用(月20万円~):月40万円~
法務スタッフ採用(月25万円~。経験者だと月30万円~):月50万円~
弁護士への契約書作成依頼:1件3万円~
顧問弁護士:月5万円~(稼働時間によって追加タイムチャージあり)
弁護士事務所への法務部アウトソーシング:月10万円~
法務部アウトソーシングサービス | 提供サービスについて | 契約書作成の理論と実務 (masuda-law.com)
※弁護士法等の法律上、契約業務等の依頼は弁護士等の士業にしかできない。
月給20万円のスタッフを雇用すると、だいたい会社の経費は40万円くらい。
法務の場合、新卒でも25万円、経験者なら30万円~になるので、月50万円~60万円くらいでしょうか。
残念ながら法務は、人を入れたからといって会社の売上があがる部門でもない(実際は契約トラブルの回避や不利な契約条件の回避による損失回避がありますが)ので、スタッフの優先順位はどうしても後回しになりがち。
おそらく、社長秘書、経理、総務人事、営業事務等の事務方の人が法務(①契約法務)を兼任する形で始めるのが一番現実的でしょう。
■リーガルサービスの活用
リーガルテックとよばれる法務業務のAI化もいまはかなり進んでおり、今後もどんどん新しいサービスが出来ると思います。
その一つに契約書の自動レビューがあります。
こちらは私の事務所でもお世話になっているリーガルフォースです。
ほぼ全ての会社の業務に対応した契約書から、ネットサービスで当たり前になった利用規約、更に機関法務で必要な株主総会議事録まで幅広く、雛形とAIによる自動診断をしてくれます。
もちろん診断結果をうまく活用する必要はありますし、コストもかかりますが、新規スタッフをいれるよりはコストが抑えられるので、興味がある方は検討されるといいでしょう。
リーガルフォース
【公式】LegalForce(リーガルフォース)| AI契約審査プラットフォーム (legalforce-cloud.com)
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