会社設立時の会社名を決める前に

会社設立時の会社名の決め方

今回は、会社名を付ける際の法的な注意点を簡単にお話しします。
いい名前ができた、と思っても、登記する前に、少し立ちどまってみてください。

■社名と商号

会社設立の際には、「商号」を決める必要があります。
商号て何?と思われるかもしれません。

会社の場合は、商号は1つだけで、社名がそのまま商号となります。(会社法第6条第1項)
個人事業主の場合、事業ごとに商号を使い分けることができます。

■社名(商号)のルール5つ
ルール①
前後に会社の種類(株式会社、合同会社等)を入れなければならない。
・株式会社○○
・○○合同会社

逆に自身と異なる種類の会社の名称を使用することはできません。
・株式会社に「合同会社」という名称を付ける。

またいくつかの業種に関しては、その業種をしない場合、使用できません。
・法律事務所、銀行、保険会社等

ルール②
使用できる文字等及び記号は下記のとおりです。
(商業登記規則第50条:http://www.moj.go.jp/MINJI/minji44.html)
・漢字
・カタカナ
・ひらがな
・ローマ字(大文字、小文字)
・アラビア数字
・以下の記号
 「&」(アンパサンド)
 「’」(アポストロフィー)
 「,」(コンマ)
 「-」(ハイフン)
 「.」(ピリオド)
 「・」(中点)

ルール③ 同一所在地での同じ名称の禁止
同一の本店所在地に同一の社名の会社を置くことはできません。


ルール④ 同一又は誤認されるおそれがある名称の禁止
不正の目的をもって、他の会社と誤認されるおそれがある名称は禁止(会社法第8条)
広く認知されている他人の名称や類似の名称を使用し、消費者や取引先が混同するおそれがある行為の禁止(不正競争防止法第2条第1項)

本店所在地が異なる場合でも、相手の社名やブランド名の認知度が高く、取引先や消費者が混同するおそれがある場合は、社名として使用できません。
仮に、登記ができても、後で相手から訴えられる場合もありますので、基本的に有名な会社やブランドに似た名称の仕様は避けましょう。

ルール⑤ 公序良俗に反する用語の使用禁止
誹謗中傷や卑わい、差別用語、犯罪(詐欺、窃盗等)等、社会的に不適切な名称は使用できません。
法的とは違いますが、海外展開や、インバウンドを見込む場合は、日本以外でどのような意味を持つかも注意した方がいいでしょう。

■その他確認しておくべきポイント
①ドメインがとれるか
 ウェブサイトやメールアドレス、SNSアカウントで、基本的に社名と同じものを使用したい場合は、事前に取得可能かを確認しておきましょう。

②誰かに商標をとられていないか
 誰かの商標と被っていても使えないわけではありませんが、同業者や多事業展開している企業と被っている場合は、トラブルのもとになりやすいので、避けましょう。
 
 商標は、特許庁の下記サイトで検索できます。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

自社ブランドを今後商標登録するかという問題もあるので、不安な場合は、弁護士、弁理士、商標事務所、特許事務所等に相談しましょう。(特許事務所は、基本的に商標も扱っています。)

③他の人の著作権を侵害していないか。
 これは、何かの作品の名称や作品内の組織名等を真似したり、モチーフにした場合、特に注意が必要です。同じ名称だと絶対使用できないわけではありませんが、商標と同じようにトラブルになりやすいので、基本的に避けましょう。

以上簡単ですが、法的なルールになります。

社名自体は、登記後も変更可能ですが、会社の履歴事項全部証明書に履歴が残るので、悩んだら専門家に相談しつつ、慎重につけましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?