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町喫茶(2) 千住宿 珈琲物語~北千住~
本当に名店と呼べる店は繁華街ではなく、住宅地の中にあるものらしい。隅田川にかかる千住大橋をわたり南北をはしる日光街道を北上すると、珈琲物語はある。
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北千住駅からは徒歩5分あまりで、商店街の喧騒をすり抜けて小さな路地に一歩足を踏みいれると住宅やいくつかの飲食店が軒をつらねている。しずかさが息づいている。そんな印象だ。
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開店直後(8時すぎくらい)で、先客は数人ほど。カウンター席に案内されモーニングを注文すると、間もなくマイルドブレンドが到着。店主がドリップしたコーヒーは一口すすると豆の香りがフワッと鼻をぬける。
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おそらく新鮮なコーヒー豆にしか出せないであろう香ばしさが口の中にひろがった。酸味はない。かといって苦味が強いわけでもなく、いつの間にか懐にはいってくるような親しみ深い味だ。ブラックの苦手な人もミルクなしで飲めてしまうのではないか。そう感じられるほど雑味がなく飲みやすい。逸品といってもいい(素人が上から目線でスイマセン)。
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ワンプレートで供されるフードはバタートースト、ゆで卵、ポテトサラダ。バタートーストは厚切りで外がカリッとしている。バターが舌を湿らせ、コクのある旨みがジュワッとひろがる。ゆで卵は半熟で食塩をふりかけて食べる。
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ポテトサラダはジャガイモの粒感と玉ねぎのシャキシャキ感があり、小気味いい。再びトーストをかじりコーヒーで舌をあらい、ゆで卵、ポテサラと順番に口にはこんでいくとだんだん満足感でみたされていった。高級食材は使ってないのに「贅沢してる」って思わせてくれる。
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そして食後にストロベリーショートケーキを食べた。ショートケーキも手作りらしいのだが、だいぶ美味しい。クリームが口の中ですっと溶けていく。クドさはまったくなく、甘味もきっと何度も試行錯誤したんだろうって思わせるくらいちょうど良い。甘すぎず、かといって物足りなさもない。スポンジもふわっとしていて、イチゴも新鮮そのもの。文句のつけようがない(つけるつもりも最初からないんだけど)。
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いま、ふとおもい出そうとしている。実は十年以上前に友達に連れられて来たことがある。その後も一回か二回か、一人で訪れてコーヒーを飲みながら本を読んでいたことがはっきりと記憶に残っている。確か奥にあるソファー席に座ったはずだ。カウンター席にも一度座ったことがある。
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その当時と店の落ち着いた雰囲気は変わらない。コーヒーの美味しさも変わらず、店主やスタッフの女性(一人だけ)も当時と同じだ。
照明も白熱灯で柔らかい光が店内を包みこんでいる。小さめの音量でジャズ音楽が流れ、少しも会話を邪魔しない。気づいたら店内にはお客さんが増えていた。大きな声で話す人もいない。店主、スタッフの女性が常連らしい女性と世間話しているのも、長年愛されている喫茶店の光景らしくてなんだか羨ましくなってしまった。徒歩圏内にこんな喫茶店があると、きっと生活の質も曇りなく磨かれそうだ。もう一度言わせてください。名店だ。
~メニュー~
モーニングセット 800円(おかわり350円)
ケーキ単品 550円
ケーキセット 1100円
(2025年2月時点)
【千住宿 珈琲物語】
〒120-0034 東京都足立区千住3丁目6