官品メディカルポーチのブロウアウト化は基本的にやめたほうが良いという話
こんにちは、Ac!d.SNAKEです。
今日は表題の通り官品メディカルポーチ(正式名称:収納袋、個人携行救急品)のブロウアウト化について話したいと思います。
まずブロウアウト化という何かと言うと通常固定されているポーチをベルクロやバックルを用いて取り外しを可能にし中身の取り出しを簡単できるというものです。
メディカルポーチは普段は戦闘行動中頻繁に使うものではない代わり負傷時には素早く使用できないといけないため装備する位置が難しいギアであると言えます。
負傷時に使いやすいようにと前面に装備すると普段よく使うマグポーチやユーティリティポーチの装備位置を圧迫し、邪魔になるからと後方に装備すると咄嗟に使えなくなるというわけですね。
その上、官品メディカルポーチは私の印象ですがどちらかというと前面に装備して使うようにデザインされているように感じ、後方に装備するといまいち使いやすくありません。
なので様々なギアメーカーから官品メディカルポーチをブロウアウト化するキットが販売されています、簡単に作れるので個人で自作する人もいます(私も自作しました)
普段は邪魔にならない後方に装備しておき使用時は取り外して素早く中身にアクセスできるのは便利だと思い、私も一時ブロウアウト化キットを使っていたのですが結構致命的な欠点がありました
処置する隊員が使い方が咄嗟に分からず負傷した私が使い方を教える事態が発生
現在自衛隊の救急法では処置する時には負傷者のメディカルポーチを使う要領で行っており、今のところは基本的に世界標準でこの方法が採られているようです。
なのでブロウアウト化キットを使用している場合は自分以外の隊員が使用方法を分かっていないといけません。
私が使っていたのはベルクロでとバックルで固定するシンプルなものでこのくらいなら見たら使い方はすぐ分かるだろうと考えていました。
しかし私が状況中に重傷判定を受け近くにいた隊員が補助官に指定され救急処置を行うことがありました。
この際処置をしてくれる隊員から「これどうしたら良いですか?」と質問が飛んできました。
バックルを外すだけのブロウアウト化キットですら咄嗟に使い方をわかってくれなかったのです。
その隊員は常備自衛官でエースに分類されるような隊員ではない普通の隊員でした。
にもかかわらず状況中に使い方を分かってもらえず負傷、それも重傷判定の私が使い方を伝えるという事態になったのです。
訓練ですらこの事態が起こったわけですからよりストレスにさらされる実際の戦闘行動中では同様の事態になる可能性が高いわけです。
これでは命を預けることはできないと思いブロウアウト化キットの使用はやめてしまいました。
ブロウアウト化キットはおすすめしない
上記のようにブロウアウト化キットを使用すると処置者が咄嗟に使い方を判断できずに処置が滞るリスクがあるわけです。
私が使用していたものは官品メディカルポーチが露出している作りだったので見た目でメディカルポーチであることはわかるのでどこに装備しているかくらいは判断できますが、
ものによってはメディカルポーチを覆うようなデザインのブロウアウト化キットもあるのでこの場合どこに装備しているか分からないという事態が発生する可能性もあります。
普通戦闘行動中に負傷した場合、激痛や朦朧とする意識の中で受け答えができなかったり、あるいはそもそも意識が無かったりという状態になることが容易に想像できます。
そのような状態で自分を処置する隊員がメディカルポーチを見つけられなかったり外し方が分からない可能性が少しでもある以上はブロウアウト化キットを使うのが難しいというのが私の感想です。
同様に他の人にもおすすめはしたくありません。
ブロウアウト化キットを使っても良い条件
しかしながらブロウアウト化キットは便利なものなので使えるなら使いたいのが心情です。
なので下記に私が思うブロウアウト化キットを使っても良いと思う条件をあげたいと思います。
少なくとも小隊単位でブロウアウト化キットの使い方が周知されている。
メディカルポーチのブロウアウト化がSOPとして確立されている。
救急法の要領が改定され負傷者のメディカルポーチを使用するのではなく処置者のメディカルポーチを使用するようになる。
メディカルポーチをブロウアウト化して使っている隊員が多い部隊は一つ目または二つ目の状態なのではないでしょうか。
また三つ目は未確定情報ですが米軍でそのような訓練が行われつつあるという話を耳にしたことがあるので自衛隊もその要領になれば自分のメディカルポーチを使うのは自分だけになるのでブロウアウト化を気にする必要はなくなるわけです。
結論
ギアは命を預けるものでもあるので周りの隊員が使い方を理解していないという恐れが少しでもあるのであればメディカルポーチのブロウアウト化はおすすめをしません。
特にメディカルポーチを覆うタイプはメディカルポーチの判別を難しくすることもあるので使用には一考の余地があると言えます。
以上